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6.さんにん
362.クリスマス
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「何回かは、わかんない。けど、エッチしてたのは半年間くらいかな。週に1回くらい」
彼女がゴクリと唾を飲む。
「楽しいとは思ったけど、幸せではなかったよ」
「どう、違うの?」
「全然違うよ。穂とのエッチは、いつも幸せ。…楽しいっていうのは…うーん…単純に、相手が気持ち良さそうにしてる顔を見て、普段見られない顔を見れてる優越感とか。どんな風にしたら相手が気持ち良いって思うのかな?っていう、実験的な要素もあるのかな?ホント、遊んでるって感覚が強い」
「幸せは?」
「えー…難しいな。…愛されてるって感じられることかな?」
「どうやったら感じるの?」
質問が多くて、笑みが溢れる。
「そうだなー…こうやって、穂が私のことを知ろうとしてくれることとか。私の願いを一生懸命叶えようとしてくれるとことか。気持ちを、ちゃんと伝えてくれるとことか。…そういうの全部含めて、愛を感じるよ。だから、エッチした後、いつも幸せな気持ちになるんだ。楽しいだけのときって、なんか、虚しくなるんだよね」
「…そっか」
「満足した?」
彼女が頷くから、私は安心してあくびが出る。
「永那ちゃん、好き」
「私も、穂が好きだよ。愛してる」
フフッと彼女が笑って、体を私に向ける。
そっとキスされて、私からもう一度キスをした。
平和な毎日が過ぎていく。
勉強して、お喋りして、散歩がてらお出かけして、寝る前に愛し合う。
29日には、お母さんも年末年始休暇に入って、4人で少し遠出した。
誉が助手席に座って、穂と2人で後部座席に座る。
それだけで楽しい。
穂のおばあちゃんの家に行く案も出たけど、お母さんが“疲れるから、やっぱり今年は行かなくていいや。お盆に行ったし”と言って、家で過ごすことになった。
あっと言う間に31日。
明日は千陽と優里と神社に行く予定だ。
穂が朝から黒豆を煮ていた。
私は暇だから、いつものように穂を後ろから抱きしめたんだけど…“お母さんいるからダメ!”と叱られてしまい、仕方なくテレビを見た。
いつもなら、抱きしめて、胸を揉んで、太ももを撫でて、最終的にはエッチに持ち込むんだけど…。
さすがにお母さんの前では、抱きしめるだけにしようと思ってたよ!?
でも抱きしめるのもダメと言われると…少し落ち込む。
夜、みんなでカウントダウンをした。
ふと、お母さんのことを思い出した。
いつも2人でカウントダウンしてたから。
お母さんも、病院でカウントダウンしてたりするのかな?
お母さんが退院する日まで、あと2週間ちょっと…。
早いな…あっと言う間だったな…嫌だな。
めでたい日だというのに、私の心はぐるぐると暗い感情が渦巻いた。
1時くらいまで音楽番組を見て、2人でベッドに潜った。
唇にやわらかい感触。
目を開けると、大好きな人。
微笑む彼女。
朝日に照らされた黒髪が綺麗だ。
毛先を手の平に乗せる。
キラキラしてる。
「永那ちゃん」
彼女は寝ている私の膝に座って、両手をお腹についている。
可愛い。エロい。襲いたい。
「あけましておめでとうございます」
女中さんみたいに、ペコリと頭を下げた。
「…あぁ、そっか。あけましておめでとうございます」
笑うと、顔を上げて彼女も笑った。
「食べたい」
花が咲いたみたいに、彼女が笑う。
「おせち!食べよう?」
そういう意味じゃない。
美味しそうだけど。
「お雑煮、今から作るね」
彼女が立ち上がろうとするから、手を引っ張って、強引に口付けする。
離れると、フフッと彼女が笑った。
ホント、食べちゃいたい。
「永那ちゃん、行こう?」
「うん」
彼女に手を引かれて、起き上がる。
穂はローテーブルの棚からゴムを出して、髪を結った。
私、この姿大好きなんだよね。
リビングに出ると、誉がもう起きていた。
正月のテレビを見ている。
「おはよー!」
「おはよう、誉」
「おはー」
寝癖を撫でると、ニシシと誉が笑う。
穂は顔を洗って、歯磨きをし終えた後、キッチンに立つ。
誉が寝癖を跳ねさせながら隣に立った。
私は椅子に座って、頬をテーブルにつけて、2人の様子を眺める。
そのうちお母さんがあくびをしながら起きてきた。
お皿に、豪華に盛り付けられたおせちが並ぶ。
お母さんが「すごーい」と小さく拍手していた。
「ほとんど買ったものだけど…」
穂が眉根を下げながら笑う。
「でも黒豆、煮てたよね?栗きんとんと田づくりもお姉ちゃんの手作り~!すごいよ~!」
お母さんが言って、へへへと穂が照れる。
「俺も手伝ったよ!」
「そうだね。ありがとう、誉」
お雑煮を持ってきてくれる誉の頭を、お母さんが撫でる。
「めっちゃうまそう」
私が言うと、穂の笑顔が弾けて、隣に座った。
可愛い。
こんな美味しいおせちは初めて食べた。
っていうか、ちゃんとしたおせち自体、何年ぶりかに食べた。
小学生のときは、伊達巻ばっかり食べてた気がする。
「お母さんのお昼の分は、取っておいてあるからね」
「は~い」
誉は友達と会うらしいし、私と穂は千陽と優里と会うから、お昼はたぶん外で食べることになる。
元旦の神社と言えば、屋台だもんね。
彼女がゴクリと唾を飲む。
「楽しいとは思ったけど、幸せではなかったよ」
「どう、違うの?」
「全然違うよ。穂とのエッチは、いつも幸せ。…楽しいっていうのは…うーん…単純に、相手が気持ち良さそうにしてる顔を見て、普段見られない顔を見れてる優越感とか。どんな風にしたら相手が気持ち良いって思うのかな?っていう、実験的な要素もあるのかな?ホント、遊んでるって感覚が強い」
「幸せは?」
「えー…難しいな。…愛されてるって感じられることかな?」
「どうやったら感じるの?」
質問が多くて、笑みが溢れる。
「そうだなー…こうやって、穂が私のことを知ろうとしてくれることとか。私の願いを一生懸命叶えようとしてくれるとことか。気持ちを、ちゃんと伝えてくれるとことか。…そういうの全部含めて、愛を感じるよ。だから、エッチした後、いつも幸せな気持ちになるんだ。楽しいだけのときって、なんか、虚しくなるんだよね」
「…そっか」
「満足した?」
彼女が頷くから、私は安心してあくびが出る。
「永那ちゃん、好き」
「私も、穂が好きだよ。愛してる」
フフッと彼女が笑って、体を私に向ける。
そっとキスされて、私からもう一度キスをした。
平和な毎日が過ぎていく。
勉強して、お喋りして、散歩がてらお出かけして、寝る前に愛し合う。
29日には、お母さんも年末年始休暇に入って、4人で少し遠出した。
誉が助手席に座って、穂と2人で後部座席に座る。
それだけで楽しい。
穂のおばあちゃんの家に行く案も出たけど、お母さんが“疲れるから、やっぱり今年は行かなくていいや。お盆に行ったし”と言って、家で過ごすことになった。
あっと言う間に31日。
明日は千陽と優里と神社に行く予定だ。
穂が朝から黒豆を煮ていた。
私は暇だから、いつものように穂を後ろから抱きしめたんだけど…“お母さんいるからダメ!”と叱られてしまい、仕方なくテレビを見た。
いつもなら、抱きしめて、胸を揉んで、太ももを撫でて、最終的にはエッチに持ち込むんだけど…。
さすがにお母さんの前では、抱きしめるだけにしようと思ってたよ!?
でも抱きしめるのもダメと言われると…少し落ち込む。
夜、みんなでカウントダウンをした。
ふと、お母さんのことを思い出した。
いつも2人でカウントダウンしてたから。
お母さんも、病院でカウントダウンしてたりするのかな?
お母さんが退院する日まで、あと2週間ちょっと…。
早いな…あっと言う間だったな…嫌だな。
めでたい日だというのに、私の心はぐるぐると暗い感情が渦巻いた。
1時くらいまで音楽番組を見て、2人でベッドに潜った。
唇にやわらかい感触。
目を開けると、大好きな人。
微笑む彼女。
朝日に照らされた黒髪が綺麗だ。
毛先を手の平に乗せる。
キラキラしてる。
「永那ちゃん」
彼女は寝ている私の膝に座って、両手をお腹についている。
可愛い。エロい。襲いたい。
「あけましておめでとうございます」
女中さんみたいに、ペコリと頭を下げた。
「…あぁ、そっか。あけましておめでとうございます」
笑うと、顔を上げて彼女も笑った。
「食べたい」
花が咲いたみたいに、彼女が笑う。
「おせち!食べよう?」
そういう意味じゃない。
美味しそうだけど。
「お雑煮、今から作るね」
彼女が立ち上がろうとするから、手を引っ張って、強引に口付けする。
離れると、フフッと彼女が笑った。
ホント、食べちゃいたい。
「永那ちゃん、行こう?」
「うん」
彼女に手を引かれて、起き上がる。
穂はローテーブルの棚からゴムを出して、髪を結った。
私、この姿大好きなんだよね。
リビングに出ると、誉がもう起きていた。
正月のテレビを見ている。
「おはよー!」
「おはよう、誉」
「おはー」
寝癖を撫でると、ニシシと誉が笑う。
穂は顔を洗って、歯磨きをし終えた後、キッチンに立つ。
誉が寝癖を跳ねさせながら隣に立った。
私は椅子に座って、頬をテーブルにつけて、2人の様子を眺める。
そのうちお母さんがあくびをしながら起きてきた。
お皿に、豪華に盛り付けられたおせちが並ぶ。
お母さんが「すごーい」と小さく拍手していた。
「ほとんど買ったものだけど…」
穂が眉根を下げながら笑う。
「でも黒豆、煮てたよね?栗きんとんと田づくりもお姉ちゃんの手作り~!すごいよ~!」
お母さんが言って、へへへと穂が照れる。
「俺も手伝ったよ!」
「そうだね。ありがとう、誉」
お雑煮を持ってきてくれる誉の頭を、お母さんが撫でる。
「めっちゃうまそう」
私が言うと、穂の笑顔が弾けて、隣に座った。
可愛い。
こんな美味しいおせちは初めて食べた。
っていうか、ちゃんとしたおせち自体、何年ぶりかに食べた。
小学生のときは、伊達巻ばっかり食べてた気がする。
「お母さんのお昼の分は、取っておいてあるからね」
「は~い」
誉は友達と会うらしいし、私と穂は千陽と優里と会うから、お昼はたぶん外で食べることになる。
元旦の神社と言えば、屋台だもんね。
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