いたずらはため息と共に

常森 楽

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6.さんにん

340.まだ

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「穂、大丈夫だよ」
ギュッと彼女を抱きしめた。
「大丈夫、大丈夫」
彼女の頭を撫でて、言い続ける。
「永那ちゃんっ」
「ん?」
ドクドクと心臓が鳴る。
3人ですることを“考えて”なんて、急かしすぎた?
「永那ちゃんがっ…永那ちゃんが、いいよぉ」
「え?」
一瞬理解できなくて、「永那ちゃんがいいっ」と言い続ける穂の頭を撫でながら、徐々に口元が緩んでいく。
心臓も落ち着きを取り戻して、目を閉じて、上がる口角を必死に抑えようとするけど、無理だった。
「可愛い…」
「な、にが…っ?」
わあっと泣く穂が、あまりに可愛い。
「怖かったか。ごめんね」
深呼吸する。
嬉しい、ため息が出る。
「怖かったね、ごめんね。いらないね、玩具こんなの
彼女を抱きしめながら、言う。
「可愛い」
ひっく ひっくと、ほんの少し落ち着いてきた穂は、私の背中をギュッと掴む。

「可愛い、可愛い可愛い可愛い」
穂の、涙で濡れた顔に口付けの雨を降らす。
穂はされるがままに、少し戸惑うように、眉をハの字にした。
「…可愛い、の?」
「ハァ」と息を吐いて、「可愛すぎだよ」と彼女を見つめる。
「…だめ、かと…思った…」
「なにが?」
「我慢…しなきゃ…だめかと…思った…」
彼女の瞳に、また涙が溜まっていく。
可愛くて、愛しくて、彼女の髪を撫でる。
「我慢なんてしなくていいんだよ。嫌だったら言ってくれていいんだよ」
「永那ちゃん…傷つかない?」
全身から嬉しさが込み上げて来る。
愛だなあ…。
「全然。…むしろ、嬉しいよ」
彼女が首を傾げる。
「逆に、玩具のほうが気持ち良いって言われたらどうしよう?って、考えてたくらいだもん」
瞬きをして、目尻から、最後の雫を落とす。
「私がいい、なんて…嬉しすぎて、涎出そう」
ニシシと笑うと、へへへと彼女が笑う。

「可愛い穂」
彼女を抱きしめる。
「好きだよ」
私の背に回る彼女の腕に優しく力が込もって、抱きしめ合う。
「私も…」
「ごめんね、怖い思いさせて」
彼女が首を横に振る。
「今日はもう、やめとこうね」
彼女の頭をポンポンと撫でて、服を着させた。

横向きに、彼女を後ろから抱きしめて、寝る。
「穂、好き」
「私も、永那ちゃん好き」
「玩具より、私のほうが良かったの?」
彼女がコクリと頷く。
「玩具、気持ち良くなかった?」
「…わからない。…なんか、冷たいのが…入ってきて…。いつもと、全然、違って…。よく、わからなくて…怖かった」
「そっか」
「…慣れたら、気持ち良く、なるのかな?」
フッと笑って、彼女の髪の匂いを嗅ぐ。
「さあ?…また、いつか、してみる?」
「んー…しばらくは…いいや」
“しばらく”なんだ。
可愛いなあ。

本当は今日、穂に舐めてもらいたかったけど…なんか、心が満たされ過ぎてて、どうでもよくなった。
エッチの醍醐味…というか、私がエッチが好きな理由…。
心が満たされるんだよな。
相手が気持ち良さそうに、顔が蕩けていく姿を見るのが好き。
普段見られない顔だし、特別って感じがする。
それに、“私って、そんな上手いんだ”って自信にもなる。
いろんな人とシてきたけど、やっぱ、相手がイくと…満足感が凄まじい。
特別穂は、やってて、本当に幸せな気持ちになれるから不思議だ。
なんでだろう?
初恋の人だからっていうのは、あるだろうけど…。
穂から…愛情を感じるからなのかな。
愛されてるって、思う。
幸せだ。
ずっと、ずっと、続いてほしい。

彼女に手を握られた。
髪の匂いを嗅ぐのをやめて、手に意識をもっていく。
「少しだけ…」
「ん?」
握られた手が動かされて、あたたかくて、やわらかい、ゼリーのようにぷるぷるした触感が手の内側全体に広がる。
寝るとき、彼女はブラをつけない。
私は優しくそれを揉んだ。
可愛い。本当に。
「ハァ」と彼女が小さく息を吐く。
たまに突起を指で弾くと、「んっ」と可愛い声が出るから、途端にヤりたくなる。
心が満たされたんじゃないのかよ!私!!
…可愛い声を出す穂が悪いんだ。
彼女の背中に引っ付いて、右手を彼女の下腹部に置く。
擦るように撫でても、彼女が抵抗しない。
だから…ショーツの中に手を忍ばせて、茂みを抜けて、彼女の蕾に触れた。

コリコリと硬くなってる…。
「んぅっ…」
イきたかったんだ、穂。
可愛い。可愛い。可愛い…。
私は上半身を起こして、彼女の額にキスをした。
見つめ合う。
「可愛い」
へへと彼女が笑う。
「永那ちゃんは…かっこいい」
鼻の穴がピクピクと動いてしまうのが、視界に入る。
どんだけ興奮してんだよ、私は。
「それに…優しい」
心臓が、ギュッと引っ張られるみたいに、彼女の虜になる。

右手の中指をゆっくり動かして、彼女の求めに応える。
好きだ。
穂、好き。
好き。
…キスしたい。
したい。
深く呼吸しているつもりもないのに、やたら自分の呼吸する音が大きく聞こえる。
彼女の唇にゆっくり近づいて、重なる。
やわらかい。
息を吐くと、それが彼女の体内に取り込まれていって、同じ存在になれたような感覚に陥る。
私の息を、彼女が吸う。
彼女の息を、私が吸う。
「好き」
言うと、彼女が微笑む。
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