いたずらはため息と共に

常森 楽

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5.時間

289.好きのその先

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「ここは…おしっこ出ちゃうところ」
彼女が笑って、指が奥に進む。
「あぁっ…だめっ…ぁっ、ああッ…」
膀胱が押される。
陰が落ちたのを感じて目を開けると、彼女が私に覆いかぶさるように四つん這いになっていた。
指はなかに入ったまま。
「おしっこ、出していいよ?」
首を横に振る。
彼女は口元を綻ばせて、胸の突起にしゃぶりついた。
「ハァッあっ、ぁっ…ああッ」
「イく?」
「イく…っ、イ…く…!っあ、ッアァ、あッ」
頭が、ボーッとする。
「もう一回ね」
“もう一回”が何度か続いて、足がる。

彼女の指が抜けて、ホッとする。
自分の鼓動と呼吸の音がうるさい。
彼女が指を舐めて「穂、うつ伏せ」と容赦なく言う。
「え…永那、ちゃん…ちょ…ちょっと、休憩…」
「えー?私まだ疲れてないよ?」
…なんで。
「穂、まだイけるでしょ?」
爽やかな笑顔で言われて、目を閉じた。
「浴衣のとき、失神したじゃん?…なんでだろう?って考えて」
…考えなくていいよ。
「暑かったからかな?って思ったんだよね。でも今の季節は全然暑くないし…調べたら、酸欠で失神を起こすみたいなんだよ。ってことは、エッチしまくったら、もう一回失神するかな?って思ってる」
「失神…させ、たいの?」
「嬉しかったんだもん。それくらい気持ちよくなってくれてるんだって思えて」
…変態の重症だ。

「よし、休憩終わり!」
…早い。
「穂、うつ伏せになって」
私の体を転がすようにして、半ば強引にうつ伏せにさせられる。
膝を曲げさせられて、彼女の指がなかに入ってくる。
「んぁっ…」
「さっきと同じとこ。ここ、わかる?」
「おしっこの…とこ…?」
「違うよ。ここ、入り口のとこ」
違いが、あんまりわからない。
「こっちが、おしっこのとこ」
「あっ…ぁぁッ…」
「わかる?」
「わ、わかった…」
そのまま膀胱を撫でられ続けて、何度も果てる。

「次は、穂が1番好きなとこ、ね」
「んぁっ」
なかで指が動く。
「あぁっ…」
肛門側を押される。
「“やっと”でしょ?」
…もう十分だよ。
そう思うのに、私の体はやたら感じて、彼女の期待通りイッてしまう。
「穂は、一体何回イけるんだろうね?」
クチュクチュと音が響いて、私は何度も果てる。
まるで限界を知らないみたいに、何度も。

「最後は、ここ…」
「フああぁっ」
「え?…気持ちいい?」
「なん、か…奥…が…」
「そう!わっ!感じるようになってきたんだ!…もっと時間かかると思ってたけど、やっぱ穂の体すごい」
体全体が、彼女の手の動きによって揺らされる。
「ぁああっ、あっ…んんぅっ、ハァッあぁッ」
ガクガクと体が痙攣する。
痙攣が、続く。
「あっ……、あっ……ッ」
彼女が蕾を撫でる。
頭のなかが、真っ白になっていく。
パチパチと線香花火がまたたくように、快楽が体の芯を燃やして…落ちた。

目を開けるとニシシと笑う彼女の顔があった。
「5秒くらい、意識なかったね」
「…良かった、ね」
「前のが長かったけど…まあ、良しとしましょう」
…良しとしてくれなきゃ、困る。
「穂、もうちょっとする?」
「しない」
アハハッと彼女が笑った。
「私もちょっと手疲れたし、休憩するか」
…休憩?休憩ってどういうこと?ねえ、永那ちゃん、休憩ってなに?休憩の意味わかってる?
もう、私、疲れたよ…。
永那ちゃんは立ち上がって、部屋からブランケットを持ってきてくれた。
私にかけて、顔のそばに座る。
汗で濡れた髪を、指で梳いてくれた。
その表情があまりに優しくて、胸がキュッとなる。
お茶を取って、口移しで飲ませてくれる。

「穂」
彼女に目を遣る。
「写真撮ってもいい?」
「…だめ」
「体は写さないよ?顔だけ。ツーショット。…初めて穂がうちに泊まった、記念に…って、だめだよね。ごめん」
そんな言い方されて、そんな悲しそうな笑みを作られて、断れる人なんているの?
「1枚だけ…だよ…」
「ホント?」
頷くと、永那ちゃんは私の横に並んで寝転ぶ。
永那ちゃんがスマホをポケットから出す。
私は彼女の顔に顔を寄せた。
「撮るよ」
彼女の頬にキスをした。
カシャッと音が鳴って、「穂」と鼻の下を伸ばす彼女の笑顔が見れた。

彼女が撮った写真を見る。
「わぁ…良い写真」
「私、汗びっしょり…恥ずかしいよ」
「可愛いよ」
たくさん言ってもらっているはずのに、なんだか、照れくさい。
額にキスされる。
「好きだよ、穂」
「私も、永那ちゃんが好き」
図らずも、2人の時間ができたこと。
私も…思ってはいけないのかもしれないけれど、“嬉しい”って思ってる。
永那ちゃんが最低なら、私も最低。
一緒に、背負う。
一緒に、生きる。
もう一度、心のなかで覚悟を決める。
「愛してる」
彼女をまっすぐ見た。
彼女の目がまん丸く見開かれて、動きが止まる。
そっと、唇を重ねた。
それがスイッチだったみたいに、彼女が笑う。
だから私も、笑った。
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