いたずらはため息と共に

常森 楽

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5.時間

270.修学旅行

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お風呂…。
フゥッと静かに息を吐く。
永那ちゃんとは入ったことがあるけれど、他のみんなとは初めて。
少し、緊張する。
お風呂の準備をして、私達の班の時間が来るまでみんなでお喋りした。
主に永那ちゃんと優里ちゃんが喋って、たまに千陽と私が話す。
優里ちゃんが森山さんに話しかけると、ビクビクしながらも、森山さんも話してくれる。

「そろそろ行こっかー!」
優里ちゃんが言って、部屋を出た。
「楽しみ」
千陽が私の腕に胸を押し付けて、私は息を吐く。
「千陽」
永那ちゃんが千陽を睨むけど、千陽は素知らぬ顔だ。
「桜ちゃん!?大丈夫!?」
「あい…だいじょぶれす」(はい…大丈夫です)
森山さんは顔を真っ赤にして、鼻を摘みながら、パタパタと手で扇いでいた。
千陽が楽しそうに笑って…2人の関係性が、よくわからない。

脱衣所で、カゴに荷物を置く。
両隣に永那ちゃんと千陽がいて、なんだか落ち着かない。
「穂、脱がしてあげよっか?」
「いいです」
「じゃあ、あたしがやってあげる」
「大丈夫です」
「じゃー私が!!!」
「なんで優里ちゃん?」
優里ちゃんが楽しそうに笑う。
…優里ちゃんがいてくれて、本当に良かった。
森山さんが走ってトイレに行く。
「大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ」
千陽が澄まし顔で言う。

永那ちゃんと優里ちゃんが先に服を脱ぎ終えて、お風呂に入った。
私が脱ぐと、千陽にジッと見られて、フェイスタオルで体を隠しながら、そそくさとお風呂場に行く。
すぐに千陽が来て、少ししてから森山さんも来た。
「穂、背中洗ったげるよ」
ほとんど洗い終えていた永那ちゃんが言う。
「だ、大丈夫だよ…」
「えー!じゃあ私の洗ってー!」
優里ちゃんが言う。
「あー?しょーがないなー」
永那ちゃんが優里ちゃんの後ろに座って、ゴシゴシ背中を洗う。
「もっと優しくー!」
「うっせー」

「千陽は、シャンプーとコンディショナー持ってきてるんだ」
「うん。こういうところのって、安っぽいし」
…私の家のシャンプーとかも安いけど。
「使う?」
「いいの?」
スッとボトルが前に移動されて、恐る恐る手に出す。
「良い匂い」
千陽が微笑む。
つい、そのまま視線を下ろしてしまう。
「ホント、穂は変態」
そう言われて、そっぽを向く。
随分遠くの方で洗っている森山さんが視界に入った。

「穂」
後ろから抱きしめられて、鳥肌が立つ。
千陽がチラリとこちらに視線を向ける。
「洗ったげる」
優しく背中を洗ってくれる。
スッと胸をさわられて、彼女の手を叩いた。
「ちぇっ」
永那ちゃんは諦めて、洗い終えた優里ちゃんと一緒にお風呂に浸かった。
「露天風呂もあるー!」
優里ちゃんが言って、永那ちゃんが「穂早くー!」と叫ぶ。

「穂」
「ん?」
「あたしの背中、洗って?」
ボディタオルを手渡される。
フゥッと息を吐いて、彼女の背中を洗う。
「はい。できたよ」
「ありがと」
ボディタオルを渡そうとしたら、手を掴まれた。
そのまま胸に当てられる。
「お礼」
フフッと彼女が笑う。
石鹸で滑りが良くなっている胸のさわり心地が、やたら良い。

シャワーで体を流して、千陽と2人でお風呂に入る。
「2人とも遅いよー、のぼせちゃう!」
優里ちゃんの顔が真っ赤だ。
「ごめんね」
「お詫びにおっぱい揉ませろー!」
私が謝罪をしたのに、なぜか優里ちゃんが千陽に飛びかかる。
「うざっ」
千陽が逃げる。
結局捕まって、胸を揉まれていた。
「うへへへへ」
「じゃあ私は穂~」
永那ちゃんに後ろから抱きしめられる。
一気に鼓動が速まって、硬直してしまう。
「あれ?なんも言われない」
顔を覗き込まれる。
「穂?」
どう反応すればいいのか、全然、わからない。
「穂ちゃん?大丈夫?」
優里ちゃんに話しかけられて、ようやく息をする。
「…うん」
「永那、ホント最低だね?」
そう言われて、口元が緩む。
「お前が言うな!千陽の揉んでただろーが!」
「えー?千陽にはいつものことだもん」
いつものこと、なんだ…。
私には、友達同士で体をさわり合う感覚が、まだわからない。
相手が了承しているなら良いんだろうけど…。

露天風呂に移動すると、優里ちゃんが真っ裸のまま立って、両手を広げた。
「開・放・感!」
「ゆ、優里ちゃん…」
目のやり場に困る…。
「おーい、優里。穂が困ってるぞー?」
永那ちゃんがニヤニヤ笑う。
「穂ちゃんもやるー?」
私は苦笑して、首を横に振った。
森山さんが会釈しながら露天風呂に来たから、私達は場所を詰めた。
「穂、あたしのさわる?」
胸を強調されて、目をそらす。
「さわるさわるー!」
「穂に言ってんだけど?」
優里ちゃんがお湯の中に入ってくる。
「うへへ。マシュマロマロマロ」
優里ちゃんが何を言っているのか、やっぱり・・・・私にはよくわからない。

「ほら、優里も普通にさわってるんだし」
千陽が優里ちゃんの手をどけて、私のそばに来る。
普通…。
「千陽のおっぱい気持ちいいよ~」
優里ちゃんの純粋な目で見られて、少し罪悪感にも似た感情が生まれる。
…千陽の胸が気持ちいいのは…知ってるんだよなあ…。
恐る恐るさわろうとして、森山さんが「ふげ!」と叫びながら顔を岩にぶつけた。
「だ、大丈夫?」
「代わりに私がさわろう」
私が森山さんに気を取られていると、永那ちゃんが私と千陽の間に割り込んで入った。
永那ちゃんが千陽の胸に触れる。
千陽の顔が一気に紅潮して、瞳を潤ませた。
「うん、でかいな」
「永那ちゃん!?なにしてるの!?」
「え?ダメだった?」
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