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5.時間
269.修学旅行
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空港につく前に、永那ちゃんを起こした。
キスされそうになって、ほっぺを手の平で押す。
荷物検査で、永那ちゃんがガチガチに緊張しててみんなで笑った。
ずっとソワソワしていて、私が手を繋いでも、必死に笑顔を作っている感じだった。
…私は、小さい頃、何度か家族旅行で飛行機に乗ったことがある。
小さい頃だからあまり覚えていないけれど、その経験のおかげか、恐怖や緊張は感じていない。
“初めて”は、なんでも怖いよね。
私も、ウォータースライダー、すごく怖かったし。
飛行機に乗って席に座ると、私の手をギュッと握ったまま何も喋らなくなってしまった。
みんなは永那ちゃんをからかうのをやめて、各々楽しそうに話している。
「大丈夫だよ、永那ちゃん」
「う、うん」
へへへと笑うけど、すぐに俯く。
可愛い。
「永那ちゃん、はい」
飴をわたすと、彼女は首を傾げた。
「離着陸するときは飴を舐めたほうが、耳が痛くなりにくいんだよ」
「そうなの?」
「うん」
手を離して、彼女が袋を開ける。
私も開けて、飴を口に入れた。
彼女がすぐに私の手を繋いでくるから、心がほわほわする。
離陸するときには、永那ちゃんの手は汗でびしょびしょになっていた。
思わず笑ってしまう。
でもいざ安定すると「ハァ~、けっこう平気だったわ」と笑った。
余裕が出てきたのか、飛行機のなかをキョロキョロ見回して、窓を見た。
「すげー!」
永那ちゃんのはしゃぐ声を聞いて、嬉しさを噛みしめる。
「穂!ほら!雲だよ!」
「うん、そうだね」
私も窓を覗き込むと、永那ちゃんと顔が近くなって、心臓がトクンと鳴った。
「永那、元気になったんだ」
優里ちゃんが笑う。
「おー!余裕だわ!」
「全然余裕じゃなかったくせに~」
永那ちゃんが身を乗り出して、前の席の優里ちゃんの頭を叩く。
「痛い!暴力反対!断固拒否!最低!」
「うっさい。からかう方が悪い!」
「いつも私のことからかってるくせに!!」
永那ちゃんが舌を出して、席につく。
優里ちゃんがぶつくさ文句を言っていた。
着陸するとき、永那ちゃんは「余裕だよ」と言いながらも、ギュッと手を繋いだ。
着陸しても、しばらくギュッと握られていて、私は唇を噛んで笑いを堪える。
移動のバスでは、永那ちゃんはずっと寝ていた。
目的地につくたびに起こして、たまに起きなくて、強引に手を引いた。
1日目は全員での行動。
展望台のある公園に行って、有名な像を見て、記念館やお寺を回る。
途中、お昼も食べた。
その後、昔の洋風建築が並ぶ丘を、自由行動で見て回った。
私が説明のパネルを読んでいると、みんなが立ち止まってくれる。
それがなんだか嬉しくて“友達って良いな”なんて思ったりした。
ハートの形の石があって、撫でると恋が叶うと知ると、優里ちゃんが真っ先に撫でに行った。
その後千陽も触れて、永那ちゃんもさわっていた。
「永那は穂ちゃんがいるでしょー!」
優里ちゃんがポカポカ永那ちゃんの肩を叩く。
森山さんは2人が騒いでいる間に、指先だけちょこんと触れていた。
「優里はそもそも好きな人いないだろー!」
「な!?そんな…!悪魔だ!悪魔!」
集合時間になって、私達はバスに乗り込んだ。
ホテルについたら、大広間に移動して、食事の前に戦争体験者のインタビュー映像を見る。
寝ている人も多かったけれど、隣に座る永那ちゃんは真剣に見ていて、“やっぱり、私の好きな人だ”と改めて思った。
“やっぱり”って、なんだか変だけれど…私が無意識に“こうあってほしい”と望んでいた行動を取ってくれると、言葉にし難いほどの嬉しさが込み上げてくる。
一緒にいればいるほど、好きになっていく。
千陽は髪をいじりながらも、たまに映像に目を遣って、起きていた。
優里ちゃんと森山さんは…寝ている。
たくさん歩いて疲れたから、仕方ないとも思う。
食事を終えて、部屋に入ると、もう布団が敷かれていた。
「優里は絶対ここね」
千陽が言う。
3:2で布団が敷かれていて、2の方を指差しながら、布団を隔離する。
「ひどい!なんで!?」
「お泊まりしたとき、あたしの布団まで占領してたから」
「ガーン」
四つん這いになって項垂れる。
千陽は3つ並んだ布団の一番端、窓側に荷物を置いた。
森山さんが2つ並んでいる、あいている布団のそばに荷物を置く。
「穂、真ん中」
千陽が言うから、確認のために永那ちゃんを見ると、永那ちゃんが頷く。
「ねえ!みんな枕こっちにしようよ!」
優里ちゃんが、壁側に置かれていた枕を中央に移動させる。
それに倣って、みんなが枕を移動させた。
「お風呂20分しか時間ないとか、鬼だよな」
永那ちゃんがしおりを見ながら言う。
「だねー、着替えも含めてでしょ?全然温泉楽しめないじゃん」
優里ちゃんが頷く。
キスされそうになって、ほっぺを手の平で押す。
荷物検査で、永那ちゃんがガチガチに緊張しててみんなで笑った。
ずっとソワソワしていて、私が手を繋いでも、必死に笑顔を作っている感じだった。
…私は、小さい頃、何度か家族旅行で飛行機に乗ったことがある。
小さい頃だからあまり覚えていないけれど、その経験のおかげか、恐怖や緊張は感じていない。
“初めて”は、なんでも怖いよね。
私も、ウォータースライダー、すごく怖かったし。
飛行機に乗って席に座ると、私の手をギュッと握ったまま何も喋らなくなってしまった。
みんなは永那ちゃんをからかうのをやめて、各々楽しそうに話している。
「大丈夫だよ、永那ちゃん」
「う、うん」
へへへと笑うけど、すぐに俯く。
可愛い。
「永那ちゃん、はい」
飴をわたすと、彼女は首を傾げた。
「離着陸するときは飴を舐めたほうが、耳が痛くなりにくいんだよ」
「そうなの?」
「うん」
手を離して、彼女が袋を開ける。
私も開けて、飴を口に入れた。
彼女がすぐに私の手を繋いでくるから、心がほわほわする。
離陸するときには、永那ちゃんの手は汗でびしょびしょになっていた。
思わず笑ってしまう。
でもいざ安定すると「ハァ~、けっこう平気だったわ」と笑った。
余裕が出てきたのか、飛行機のなかをキョロキョロ見回して、窓を見た。
「すげー!」
永那ちゃんのはしゃぐ声を聞いて、嬉しさを噛みしめる。
「穂!ほら!雲だよ!」
「うん、そうだね」
私も窓を覗き込むと、永那ちゃんと顔が近くなって、心臓がトクンと鳴った。
「永那、元気になったんだ」
優里ちゃんが笑う。
「おー!余裕だわ!」
「全然余裕じゃなかったくせに~」
永那ちゃんが身を乗り出して、前の席の優里ちゃんの頭を叩く。
「痛い!暴力反対!断固拒否!最低!」
「うっさい。からかう方が悪い!」
「いつも私のことからかってるくせに!!」
永那ちゃんが舌を出して、席につく。
優里ちゃんがぶつくさ文句を言っていた。
着陸するとき、永那ちゃんは「余裕だよ」と言いながらも、ギュッと手を繋いだ。
着陸しても、しばらくギュッと握られていて、私は唇を噛んで笑いを堪える。
移動のバスでは、永那ちゃんはずっと寝ていた。
目的地につくたびに起こして、たまに起きなくて、強引に手を引いた。
1日目は全員での行動。
展望台のある公園に行って、有名な像を見て、記念館やお寺を回る。
途中、お昼も食べた。
その後、昔の洋風建築が並ぶ丘を、自由行動で見て回った。
私が説明のパネルを読んでいると、みんなが立ち止まってくれる。
それがなんだか嬉しくて“友達って良いな”なんて思ったりした。
ハートの形の石があって、撫でると恋が叶うと知ると、優里ちゃんが真っ先に撫でに行った。
その後千陽も触れて、永那ちゃんもさわっていた。
「永那は穂ちゃんがいるでしょー!」
優里ちゃんがポカポカ永那ちゃんの肩を叩く。
森山さんは2人が騒いでいる間に、指先だけちょこんと触れていた。
「優里はそもそも好きな人いないだろー!」
「な!?そんな…!悪魔だ!悪魔!」
集合時間になって、私達はバスに乗り込んだ。
ホテルについたら、大広間に移動して、食事の前に戦争体験者のインタビュー映像を見る。
寝ている人も多かったけれど、隣に座る永那ちゃんは真剣に見ていて、“やっぱり、私の好きな人だ”と改めて思った。
“やっぱり”って、なんだか変だけれど…私が無意識に“こうあってほしい”と望んでいた行動を取ってくれると、言葉にし難いほどの嬉しさが込み上げてくる。
一緒にいればいるほど、好きになっていく。
千陽は髪をいじりながらも、たまに映像に目を遣って、起きていた。
優里ちゃんと森山さんは…寝ている。
たくさん歩いて疲れたから、仕方ないとも思う。
食事を終えて、部屋に入ると、もう布団が敷かれていた。
「優里は絶対ここね」
千陽が言う。
3:2で布団が敷かれていて、2の方を指差しながら、布団を隔離する。
「ひどい!なんで!?」
「お泊まりしたとき、あたしの布団まで占領してたから」
「ガーン」
四つん這いになって項垂れる。
千陽は3つ並んだ布団の一番端、窓側に荷物を置いた。
森山さんが2つ並んでいる、あいている布団のそばに荷物を置く。
「穂、真ん中」
千陽が言うから、確認のために永那ちゃんを見ると、永那ちゃんが頷く。
「ねえ!みんな枕こっちにしようよ!」
優里ちゃんが、壁側に置かれていた枕を中央に移動させる。
それに倣って、みんなが枕を移動させた。
「お風呂20分しか時間ないとか、鬼だよな」
永那ちゃんがしおりを見ながら言う。
「だねー、着替えも含めてでしょ?全然温泉楽しめないじゃん」
優里ちゃんが頷く。
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