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5.時間
258.修学旅行
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「そんな、傷ついてないんだけど。あたし今、幸せだし」
「そ、そうなの?」
「うん。とりあえず、あたしのこと大事にし続けてくれればいいやって、割り切ってる。家族みたいなのも、悪くないかなって」
「お、大人…」
優里があたしの手に手を重ねたまま、顔を突っ伏した。
あたしは隣に座る穂の膝にあいている手を置く。
潤んだ瞳が、ようやくあたしをとらえて、見つめ合う。
あたしが微笑むと、また俯いてしまう。
「明日最終日なんだし、勉強したほうがいいんじゃない?」
そう言うと、優里が「やっとテスト終わるー!」と両手を上げた。
夜、布団で寝るフリをして、みんなが寝静まった頃に穂のベッドに移動する。
「穂…寝ちゃった?」
「起きてる…」
思わず笑ってしまう。
「あたしのこと、待ってたの?」
返事がないことがYESと示しているようで、愛しくなる。
彼女の背を抱きしめる。
「千陽…私って、バカ?」
「うん」
「な、なんで?」
「永那と付き合ってるのに、あたしのことも大事にしようなんて、バカのすることだから。言っておくけど、元々あたし達、恋敵だったんだよ?」
「昨日の敵は今日の友…」
「ふーん」
なにを言っているのか、さっぱりわからない。
“友”どころの話じゃないと思うんだけど…。
「あ、あと…告白って…」
「してるでしょ?毎日」
毎日、毎日、欠かさずメッセージを送っているし、週に2回は通話して“好き”と言っている。
「ハァ」と彼女が深く息を吐く。
「あたし、永那よりも恋人っぽくない?」
「永那ちゃんが、恋人です」
「あっそ」
「千陽は、永那ちゃんのこと、どう思ってるの?…その…千陽の好きな相手は、私なの?」
「永那のことも好きだよ。前に言ったでしょ?あたし、2人の子供になりたいって」
穂があたしの腕のなかでモゾモゾ動く。
「で、でも…永那ちゃんには“好き”って言ってないんだよね?」
「うん」
今は、ね。
「違いは、なに?」
「あたしのことを、受け止めてくれるか、受け止めてくれないかの違い」
永那は、あたしがどんなに“好き”って言っても“おー”と言いながら頭を撫でるだけだった。
人から好かれ慣れてるから、嫌。
永那のは“受け止める”じゃなくて“受け流す”。
前のあたしはそれしか知らなかったから、それでも嬉しかったけど…一度受け止めてもらえたら、受け流されるだけでは物足りない。
受け止めてくれる穂のほうを好きになってしまうのは、当たり前だと思う。
「そっか。…私、受け止められてる?」
「うん。一緒にいられて、幸せ」
「そっか。千陽が、幸せなら…良かった」
「穂は…あたしに甘えられるの、嫌?」
「全然嫌じゃないよ」
…ほら、そういうこと、サラリと言っちゃうんだから。
それが“受け止める”ってことでしょ?
嬉しくて、胸がギュッと締めつけられる。
「穂、あたしに甘えられて嬉しい?」
「うん」
あたしのやることを、否定しない。
全部、受け止めてくれる。
でも“これはだめ”と、ハッキリ線引きもしてくれる。
それも含めて“受け止める”ということだと思う。
あたしのわがままを全部通して、穂が我慢しているのなら、それは受け止められているとは言えないと思うから。
その穂の塩梅が好き。
「“好き”って言われたい?」
「うん」
可愛い。
「じゃあ…穂、好き」
へへへと彼女が笑う。
「愛してる」
「そ、それは…ちょっと…恥ずかしい」
「愛してるよ、穂」
耳元で囁く。
「え、永那ちゃんからも言われたことないよ?…というか、誰にも」
「初めて貰っちゃった」
永那が嫉妬するところを想像して、ニヤける。
早く言わない永那が悪い。
「穂、しよ?」
ほんの少しの間があいた後、彼女があたしを見た。
唇を重ねる。
「愛してるよ」
彼女が照れて、目を伏せる。
あたしから唇を重ねる。
彼女が応えてくれるから、嬉しくて笑みが溢れる。
何度も触れ合ううちに、お互いの唇が艶めいて、図ったように舌先を出す。
ちょんと触れてから、握手するように絡める。
彼女があたしの舌を唇で挟んで、優しく吸った。
チュパッと音がして、離れる。
あたしが彼女のなかに舌を入れるから、もう一度唇で挟んでくれる。
あたしの舌は彼女に挟まれながら、彼女を探す。
すぐに見つかって、絡め合うと、彼女の口が開いた。
クチュクチュと音が鳴る。
彼女があたしの肩紐を下ろす。
その手が少し湿っていて、子宮が疼く。
ブラの支えを失った乳房を、彼女が優しく揉む。
「ねえ、穂」
「なに?」
「気づいてる?…あたし達、文化祭から毎週シてるんだよ?」
あたしがニヤリと笑うと、穂が顔をそらす。
「来週も、シたいな?」
「ち、千陽…生理は?」
…めっちゃ現実的な話。
穂らしいと言えば穂らしいけど…今話すことでは絶対ない。
「低用量ピル飲んでるから、あたし」
「ピル?」
「3ヶ月に1回だけなの、生理」
「え!?そんなのあるの!?」
「穂…そんな話、今どうでもいいから」
彼女の唇を奪う。
「そ、そうなの?」
「うん。とりあえず、あたしのこと大事にし続けてくれればいいやって、割り切ってる。家族みたいなのも、悪くないかなって」
「お、大人…」
優里があたしの手に手を重ねたまま、顔を突っ伏した。
あたしは隣に座る穂の膝にあいている手を置く。
潤んだ瞳が、ようやくあたしをとらえて、見つめ合う。
あたしが微笑むと、また俯いてしまう。
「明日最終日なんだし、勉強したほうがいいんじゃない?」
そう言うと、優里が「やっとテスト終わるー!」と両手を上げた。
夜、布団で寝るフリをして、みんなが寝静まった頃に穂のベッドに移動する。
「穂…寝ちゃった?」
「起きてる…」
思わず笑ってしまう。
「あたしのこと、待ってたの?」
返事がないことがYESと示しているようで、愛しくなる。
彼女の背を抱きしめる。
「千陽…私って、バカ?」
「うん」
「な、なんで?」
「永那と付き合ってるのに、あたしのことも大事にしようなんて、バカのすることだから。言っておくけど、元々あたし達、恋敵だったんだよ?」
「昨日の敵は今日の友…」
「ふーん」
なにを言っているのか、さっぱりわからない。
“友”どころの話じゃないと思うんだけど…。
「あ、あと…告白って…」
「してるでしょ?毎日」
毎日、毎日、欠かさずメッセージを送っているし、週に2回は通話して“好き”と言っている。
「ハァ」と彼女が深く息を吐く。
「あたし、永那よりも恋人っぽくない?」
「永那ちゃんが、恋人です」
「あっそ」
「千陽は、永那ちゃんのこと、どう思ってるの?…その…千陽の好きな相手は、私なの?」
「永那のことも好きだよ。前に言ったでしょ?あたし、2人の子供になりたいって」
穂があたしの腕のなかでモゾモゾ動く。
「で、でも…永那ちゃんには“好き”って言ってないんだよね?」
「うん」
今は、ね。
「違いは、なに?」
「あたしのことを、受け止めてくれるか、受け止めてくれないかの違い」
永那は、あたしがどんなに“好き”って言っても“おー”と言いながら頭を撫でるだけだった。
人から好かれ慣れてるから、嫌。
永那のは“受け止める”じゃなくて“受け流す”。
前のあたしはそれしか知らなかったから、それでも嬉しかったけど…一度受け止めてもらえたら、受け流されるだけでは物足りない。
受け止めてくれる穂のほうを好きになってしまうのは、当たり前だと思う。
「そっか。…私、受け止められてる?」
「うん。一緒にいられて、幸せ」
「そっか。千陽が、幸せなら…良かった」
「穂は…あたしに甘えられるの、嫌?」
「全然嫌じゃないよ」
…ほら、そういうこと、サラリと言っちゃうんだから。
それが“受け止める”ってことでしょ?
嬉しくて、胸がギュッと締めつけられる。
「穂、あたしに甘えられて嬉しい?」
「うん」
あたしのやることを、否定しない。
全部、受け止めてくれる。
でも“これはだめ”と、ハッキリ線引きもしてくれる。
それも含めて“受け止める”ということだと思う。
あたしのわがままを全部通して、穂が我慢しているのなら、それは受け止められているとは言えないと思うから。
その穂の塩梅が好き。
「“好き”って言われたい?」
「うん」
可愛い。
「じゃあ…穂、好き」
へへへと彼女が笑う。
「愛してる」
「そ、それは…ちょっと…恥ずかしい」
「愛してるよ、穂」
耳元で囁く。
「え、永那ちゃんからも言われたことないよ?…というか、誰にも」
「初めて貰っちゃった」
永那が嫉妬するところを想像して、ニヤける。
早く言わない永那が悪い。
「穂、しよ?」
ほんの少しの間があいた後、彼女があたしを見た。
唇を重ねる。
「愛してるよ」
彼女が照れて、目を伏せる。
あたしから唇を重ねる。
彼女が応えてくれるから、嬉しくて笑みが溢れる。
何度も触れ合ううちに、お互いの唇が艶めいて、図ったように舌先を出す。
ちょんと触れてから、握手するように絡める。
彼女があたしの舌を唇で挟んで、優しく吸った。
チュパッと音がして、離れる。
あたしが彼女のなかに舌を入れるから、もう一度唇で挟んでくれる。
あたしの舌は彼女に挟まれながら、彼女を探す。
すぐに見つかって、絡め合うと、彼女の口が開いた。
クチュクチュと音が鳴る。
彼女があたしの肩紐を下ろす。
その手が少し湿っていて、子宮が疼く。
ブラの支えを失った乳房を、彼女が優しく揉む。
「ねえ、穂」
「なに?」
「気づいてる?…あたし達、文化祭から毎週シてるんだよ?」
あたしがニヤリと笑うと、穂が顔をそらす。
「来週も、シたいな?」
「ち、千陽…生理は?」
…めっちゃ現実的な話。
穂らしいと言えば穂らしいけど…今話すことでは絶対ない。
「低用量ピル飲んでるから、あたし」
「ピル?」
「3ヶ月に1回だけなの、生理」
「え!?そんなのあるの!?」
「穂…そんな話、今どうでもいいから」
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