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4.踏み込む
251.爆弾発言(237.先輩と同時進行)
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■■■
“3人でシたい”
穂のわけのわからない言葉に、頭の整理が全くつかない。
あたしは、2人があたしを大事に想ってくれるから、2人の関係をこれ以上壊さないように考えたつもりだった。
“あたしはいつか、2人以外の人を見つけるつもりだから”
けっこう勇気を出して…そんな相手が見つかるのかもわからない不安を押し殺して言ったのに。
穂は簡単に“寂しい”なんて言うし。
“味わって”なんて、不安をかき消すために言っただけだった。
まさか…穂が、あたしのを…舐めるなんて…。
今思い出しても、ドキドキして、恥ずかしくて、胸が苦しくなる。
彼女にお茶を飲ませてもらったとき…あたしは、勘違いしそうになった。
穂、あたしのこと、本気で好きなんじゃないの?って。
…真面目が、変な方向に働いている気がする。
顔を真っ赤にしながらあたしと話す永那を見ている限り、永那も全然ついていけてないみたい。
あの、永那が…。
穂に変なこと教えると、恐ろしいことになるのが、よくよくわかった。
バイブも、あんまり見せちゃダメだな…。
本当は、使いたいけど。
穂があたしの家に泊まって、彼女に愛されて、次の日、永那に腕枕やお姫様だっこをしてもらって、2人で話して、あたしは十分幸せだった。
永那とまた前みたいに普通に話せて、嬉しかった。
いや、前以上に、永那が優しくしてくれた。
もう、ママの真似して自分を取り繕わなくていいんだって…取り繕わなくても、2人はそばにいてくれるんだって安心した。
ひとりぼっちじゃなくなったって心から思えた。
…なのに、さ…3人でって…どういうこと…。
全然わかんない。
今更、永那からそういう目で見られても、正直困る。
どうすればいいのか、あたしにもわからない。
永那にわからないんだから、わかるはずもない。
…実現なんて、しないよね?
穂も“その気はない”って言ってたし、大丈夫なんだよね?
2人が家でシたときの声を思い出して、鳥肌が立つ。
そもそも、あたし、誰ともまともにシたことないんだけど…。
穂だけ、なんだけど…。
あたしが話しかけても永那は耳を赤くしながら素っ気なくするし、あたしも調子が狂うから、話しかけなくなった。
穂だけが、普通に過ごしている。
そりゃあ、あたしから穂にキスしたことがきっかけでこんなことになってるけど…穂が斜め上を行き過ぎていてついていけない。
それも、彼女が必死に、まっすぐにあたし達のことを大事にしようとするのが伝わってくるから、余計に気まずい。
そもそも、永那だって“キスと胸はオーケー”なんて、おかし過ぎる。
あたしが一番まともなんじゃないの?
…なんて。拗らせてるのはみんな一緒かな。
ただの良い子でなんて、いられない。
永那がいないと、不思議とホッとする。
…おかしい。
前までは永那がいないと不安で仕方なかったのに。
金曜日、優里と2人で穂の家に来て、穂のベッドに寝転んで息を吐いた。
リビングで穂が優里に勉強を教えている。
「千陽は勉強しないの?」
目を閉じていると、頭上から声が降ってきた。
「後で」
「じゃあゲームしようぜ」
「やだ」
「えー」
誉が床に座って、ベッドに寄りかかる。
「…千陽?」
「なに」
「千陽ってモテるんだよね?」
「だからなに」
誉の気配があたしのそばに近づいて、目を開けた。
「俺…この前、クラスの女子に告られたんだけど」
耳元で、小声で言われる。
「へえ」
あたしは普通の声量で話す。
「どう思う?」
「意味わかんない」
「えー…なんかアドバイスちょうだいよ」
「穂に聞いたら?」
「無理無理!なんで姉ちゃん!?」
「モテるから」
「マ、マジで!?…あ、でもそっか。前に告られたって言ってたし…永那からも、だもんね。姉ちゃんって凄かったんだな…」
誉の息が耳にかかってくすぐったい。
あたしは少し壁に近づく。
「でも、姉ちゃんには言いたくないよ」
「なんで?」
「言いたくないだろー、普通」
「わけわかんない」
誉がため息をついて、ベッドに座る。
あんたが座るためにスペースをあけたんじゃない。
「俺、あんまその子と話したことないんだけど…付き合ってもいいのかな?」
「そっち?」
「え?」
てっきり穂の弟だから、真面目に“好きじゃないから断りたいけど、断り方がわからない”とか言うのかと思った。
「べつに、付き合いたいなら付き合えばいいんじゃない?」
「そうかな?」
…どうでもいい。
「は、初めて告られてさ…」
へへへと誉が照れながら笑う。
初めて、か。
あたしも初めて告白されたときは、嬉しかったな。
「なんて返せばいいのかな?」
「“いいよ”って言えばいいじゃん」
「“好き”しか言われてないんだよ?」
誉がベッドに寝転ぶ。
…近い。
あたしは更に壁に追いやられる。
「じゃあ“付き合おう”って言えば?」
「どんなタイミングで?学校でほとんど話さないんだよ?」
「メッセージで送れば?」
「直接言ってくれたのに?」
…ここで真面目なの?
ホント、意味わかんない。
「メッセージで呼び出せば」
「あ、そっか!そうだよね…。緊張するー!」
誉がポケットからスマホを出す。
何かを入力して「よし」とスマホをしまう。
“緊張する”わりに、行動が早い。
“3人でシたい”
穂のわけのわからない言葉に、頭の整理が全くつかない。
あたしは、2人があたしを大事に想ってくれるから、2人の関係をこれ以上壊さないように考えたつもりだった。
“あたしはいつか、2人以外の人を見つけるつもりだから”
けっこう勇気を出して…そんな相手が見つかるのかもわからない不安を押し殺して言ったのに。
穂は簡単に“寂しい”なんて言うし。
“味わって”なんて、不安をかき消すために言っただけだった。
まさか…穂が、あたしのを…舐めるなんて…。
今思い出しても、ドキドキして、恥ずかしくて、胸が苦しくなる。
彼女にお茶を飲ませてもらったとき…あたしは、勘違いしそうになった。
穂、あたしのこと、本気で好きなんじゃないの?って。
…真面目が、変な方向に働いている気がする。
顔を真っ赤にしながらあたしと話す永那を見ている限り、永那も全然ついていけてないみたい。
あの、永那が…。
穂に変なこと教えると、恐ろしいことになるのが、よくよくわかった。
バイブも、あんまり見せちゃダメだな…。
本当は、使いたいけど。
穂があたしの家に泊まって、彼女に愛されて、次の日、永那に腕枕やお姫様だっこをしてもらって、2人で話して、あたしは十分幸せだった。
永那とまた前みたいに普通に話せて、嬉しかった。
いや、前以上に、永那が優しくしてくれた。
もう、ママの真似して自分を取り繕わなくていいんだって…取り繕わなくても、2人はそばにいてくれるんだって安心した。
ひとりぼっちじゃなくなったって心から思えた。
…なのに、さ…3人でって…どういうこと…。
全然わかんない。
今更、永那からそういう目で見られても、正直困る。
どうすればいいのか、あたしにもわからない。
永那にわからないんだから、わかるはずもない。
…実現なんて、しないよね?
穂も“その気はない”って言ってたし、大丈夫なんだよね?
2人が家でシたときの声を思い出して、鳥肌が立つ。
そもそも、あたし、誰ともまともにシたことないんだけど…。
穂だけ、なんだけど…。
あたしが話しかけても永那は耳を赤くしながら素っ気なくするし、あたしも調子が狂うから、話しかけなくなった。
穂だけが、普通に過ごしている。
そりゃあ、あたしから穂にキスしたことがきっかけでこんなことになってるけど…穂が斜め上を行き過ぎていてついていけない。
それも、彼女が必死に、まっすぐにあたし達のことを大事にしようとするのが伝わってくるから、余計に気まずい。
そもそも、永那だって“キスと胸はオーケー”なんて、おかし過ぎる。
あたしが一番まともなんじゃないの?
…なんて。拗らせてるのはみんな一緒かな。
ただの良い子でなんて、いられない。
永那がいないと、不思議とホッとする。
…おかしい。
前までは永那がいないと不安で仕方なかったのに。
金曜日、優里と2人で穂の家に来て、穂のベッドに寝転んで息を吐いた。
リビングで穂が優里に勉強を教えている。
「千陽は勉強しないの?」
目を閉じていると、頭上から声が降ってきた。
「後で」
「じゃあゲームしようぜ」
「やだ」
「えー」
誉が床に座って、ベッドに寄りかかる。
「…千陽?」
「なに」
「千陽ってモテるんだよね?」
「だからなに」
誉の気配があたしのそばに近づいて、目を開けた。
「俺…この前、クラスの女子に告られたんだけど」
耳元で、小声で言われる。
「へえ」
あたしは普通の声量で話す。
「どう思う?」
「意味わかんない」
「えー…なんかアドバイスちょうだいよ」
「穂に聞いたら?」
「無理無理!なんで姉ちゃん!?」
「モテるから」
「マ、マジで!?…あ、でもそっか。前に告られたって言ってたし…永那からも、だもんね。姉ちゃんって凄かったんだな…」
誉の息が耳にかかってくすぐったい。
あたしは少し壁に近づく。
「でも、姉ちゃんには言いたくないよ」
「なんで?」
「言いたくないだろー、普通」
「わけわかんない」
誉がため息をついて、ベッドに座る。
あんたが座るためにスペースをあけたんじゃない。
「俺、あんまその子と話したことないんだけど…付き合ってもいいのかな?」
「そっち?」
「え?」
てっきり穂の弟だから、真面目に“好きじゃないから断りたいけど、断り方がわからない”とか言うのかと思った。
「べつに、付き合いたいなら付き合えばいいんじゃない?」
「そうかな?」
…どうでもいい。
「は、初めて告られてさ…」
へへへと誉が照れながら笑う。
初めて、か。
あたしも初めて告白されたときは、嬉しかったな。
「なんて返せばいいのかな?」
「“いいよ”って言えばいいじゃん」
「“好き”しか言われてないんだよ?」
誉がベッドに寝転ぶ。
…近い。
あたしは更に壁に追いやられる。
「じゃあ“付き合おう”って言えば?」
「どんなタイミングで?学校でほとんど話さないんだよ?」
「メッセージで送れば?」
「直接言ってくれたのに?」
…ここで真面目なの?
ホント、意味わかんない。
「メッセージで呼び出せば」
「あ、そっか!そうだよね…。緊張するー!」
誉がポケットからスマホを出す。
何かを入力して「よし」とスマホをしまう。
“緊張する”わりに、行動が早い。
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