いたずらはため息と共に

常森 楽

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4.踏み込む

247.爆弾発言(236.先輩と同時進行)

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満月みたいに白く綺麗な乳房を堪能しつつ、どうしたらもっと彼女に感じてもらえるだろう?と考える。
永那ちゃんは…どうしてたかな?
舌を絡めながら…熱い吐息を交換しながら、考える。
…考えても、わからない。
「千陽」
唇を離すと、彼女と目が合う。
「どうされたい?」
大きな瞳が、さらに大きくなる。
彼女が、あいている手を自分の口を隠すように乗せた。
「…もっと、可愛いって…言って?好きって、言って?」
「千陽、可愛い。好き」
彼女の耳元に唇を近づける。
「千陽可愛い」「好き」「大好き」を繰り返しながら、彼女の耳に舌を這わせた。
「ハァッあっ、んぁっ…アッ…」
乳房が大きく揺れる。
彼女が“もう一回”と言う前に、私は続ける。

何度か彼女が果てて、彼女の髪を撫でた。
「あたし、穂のこと、もっと、好きに…なっちゃうよ?」
「うん」
「いいの?」
「いいよ」
「永那が嫉妬するかも、よ?…あたし、止められなく、なっちゃうかも」
「永那ちゃんが悲しむのは、嫌だなあ。…他に方法、ない?」
彼女が唇を尖らせる。
「ずるい…穂は、ずるい…」
目を覆うように、彼女が顔に腕を伸ばす。
唇が強調されるから、そこに私のを重ねた。
彼女が受け入れてくれる。
腕をどかして、彼女をより深く味わう。

離れると、唇に糸が引いた。
雨が止んだ後の蜘蛛の巣が光に照らされて輝くように、朝日が差し込んで、キラキラ光った。
「好き、千陽」
「永那のほうが…好きでしょ?」
「永那ちゃんは永那ちゃん。千陽は千陽…でしょ?」
「浮気者」
うっ…と、胸を押さえる。
千陽がプッと笑う。
私がジトーッと見ると、千陽が両眉を上げて、すまし顔になる。
「なに?」
「永那ちゃんも千陽も、すぐ私に“浮気”って言う…そんなつもりないのに…」
彼女の胸に顔をうずめた。
そんなつもりがなくとも、結果的にはそうなってしまっているのも自覚していて、胸が痛い。
「そうやって言い合える関係のほうが、気が楽でしょ」
「そういうもの、かな?」

フゥッと千陽が息を吐く。
「それに…あたしはいつか、2人以外の人を見つけるつもりだから」
勢い良く顔を上げる。
彼女が笑った。
「なに?寂しい?」
悪戯っ子みたいに、彼女が笑ってる。
「さ…寂しい…」
“寂しくない”と言おうとして、言えなかった。
「なにそれ…キュンとしちゃう」
彼女が私の顔を引き寄せて、唇が重なった。
「でも、いつまでもこんな関係は、永那が傷つくでしょ?…あたしは、あたしが寂しくなくなる日まで。限定品なの」
見つめ合う。
「だからそれまで、ちゃんと味わってね?」

千陽はショーツから手を出して、上半身を起こす。
自然と押されて、私も座る。
彼女が中指を浮かしながら、手をベッドについて、テーブルの上のティッシュに反対の手を伸ばした。
私は彼女の湿った中指を、口に入れた。
綺麗に掃除するように、彼女の蜜を舐めとった。
バッと指が抜かれる。
「す、穂…なに、してるの…」
「“味わって”って、言われたから」
彼女の顔が真っ赤なりんご色になる。
すぐに俯いて、左腕を右手で擦った。
「そういうことじゃ、ない…」
「ちょっと、しょっぱい」
私が笑うと、彼女が睨むように上目遣いになった。
「永那、怒るよ」
「そうかな?」
「ハァ」とため息をつかれた。

千陽は肩紐を元に戻して、パッドと胸の位置を調整する。
畳んで置いてあったカーディガンを羽織って「トイレ行ってくる」と、部屋を出た。
私も部屋を出て、冷蔵庫からお茶を出した。
コップに入れて、ゴクゴク飲む。
もう一杯入れて、千陽を待つ。
もう朝日が部屋を明るく照らしていた。
千陽の足音が聞こえて「千陽」と呼び止める。
「飲む?」
「ああ…うん、ありがと」
私はお茶を口に含んで、彼女に唇を重ねた。
彼女の口に流し込むと、口端からお茶が溢れる。
ポタ、ポタと床に落ちても、気にしなかった。
彼女の喉が上下する。
「永那ちゃんみたいに上手にできないや」
千陽はその場にしゃがみこんでしまう。
私はティッシュを取って、床を拭く。
ついでに彼女の顔を覗き込んだ。
「千陽?」
「…もう、嫌」
「どうしたの?」
「“どうしたの?”じゃないでしょ…」
腕で口元を隠しながら、彼女が顔を上げる。
その瞳が潤んでいて、ビー玉みたいに、すごく綺麗だった。

千陽が立ち上がって、コップを取って飲む。
「永那の真似ばっかりしてたら、本当に変態になるからね」
スーッと目を細めて、私を見た。
「…はい」
「穂が…変態になりたいなら、べつにいいけど」
首をぶんぶん横に振る。
彼女は息を吐いて「あたし、もう少し寝る」と、部屋に歩き出す。
鎖骨にかかっていた髪を後ろにやって、私を横目で見た。
「…まあ、嫌いじゃないけど」
小さく呟いて、耳を赤く染める。
私はそれに口元を緩めながら、小走りに追いかけた。
2人でベッドに寝転ぶ。
もう日差しが眩しいけれど、目を閉じれば、睡魔に襲われた。

夢を見た。
千陽が誰かと結婚してしまう夢。
結婚…私と永那ちゃんには、まだできないこと。
日本では、まだ認められていないこと。
嬉しいのか、寂しいのか、悔しいのか…その全てなのか、いろんな感情がぐちゃぐちゃに混ざった。
…きっと、まだ遠い未来の話。
それでも“離れないで”と叫びたくなる気持ちを、必死に飲み込んだ。
高校生の私達には、結婚なんて、まだまだ先の話。
だけど、いつか、必ず訪れる、巨大な壁。
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