いたずらはため息と共に

常森 楽

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4.踏み込む

245.爆弾発言(236.先輩と同時進行)

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お母さんがダイニングテーブルで仕事をしていた。
「こんにちは」と千陽が挨拶する。
永那ちゃんの家に持っていっていたゼリー(グミ)をお母さんに渡していた。
ついその箱を目で追いかけた。
千陽と目が合って、前髪を梳く。
千陽が当たり前のように私の部屋に入っていく。
慌てて追いかけて、着替えるためにドアを閉める。
「はい」
「え…!」
ゼリーの箱を渡されて、口のなかに唾液が広がっていく。
「いいの?」
「うん。…そんなに好きだって知ってたら、もっと前にあげられたのに」
「ありがとう、嬉しい」
私はゼリーの箱をテーブルに置いて、クローゼットから部屋着を出す。
「千陽は…」
千陽を見ると、鞄から服を出していた。
…ん?
そういえば、ゼリーの箱も2箱あって…用意周到すぎない?
もう…泊まることは決定事項だったんだ…。知らなかった…。

「穂?」
「ん?」
「服、置いていってもいい?」
拒否権は、ない。
「うん」
千陽は満足そうに笑って私のクローゼットに服をかける。
私は制服のスカートを穿いたまま、スウェットのパンツを穿く。
そのままスカートをおろして、千陽に背を向けてシャツを脱ぐ。
キャミソールを着ているし、隠れる必要もないんだけど…。
上を着て振り向くと、下着姿の千陽がベッドに座っていた。
目の端には、なんとなく見えていたよ?
見えていたけど…(早く千陽服着ないかなあ?)なんて、少し服を着るペースを遅くしてみたけど、明らかに彼女は私が彼女を見るのを待っていた。

「千陽、風邪引くよ」
「着させて?」
彼女の横に畳んであるワンピースを見る。
明るいラベンダー色が可愛い。
胸元にパッドがついていた。
「ナイトブラがついてるの。…大きいと、ブラつけてないと、そのうち垂れてくるから」
「そうなんだ…」
千陽がブラを外す。
何回見ても、つい見てしまう。
「さわる?」
千陽が笑う。
私が頷くと、姿勢を正してくれる。
正面から揉む。
少し揉みにくくて、ベッドの上に乗って、後ろから触れた。
あたたかくて、やわらかい。
永那ちゃんのは、あんまりさわる機会がないし…自分のは、さわっても良いと思えないし…。
千陽が私に寄りかかるように背中を倒す。
見上げられて、見つめられて、心臓が速くなる。
「穂、好き」
「私も…千陽、好きだよ」
腕を伸ばされて、後頭部に回される。
そのまま、キスした。
彼女の腕が離れるから、ノースリーブのワンピースを着させる。
千陽は白のカーディガンを上から羽織って、くるりと回った。
「可愛い?」
「うん、可愛い」
彼女が嬉しそうに笑って、私に抱きついた。
「好き」
「私も」

部屋のドアを開けると、誉が千陽をゲームに誘う。
千陽は迷ってから「1時間だけね」と言った。
私はお母さんの向かいに座って、テスト勉強をする。

千陽がゲームを終えて、隣に座った。
「私も何かする」と言うから、部屋に戻って、教材を貸す。
誉は漫画を読み始めて、お母さんのパソコンを打つ音が響く。

6時になって、私は食事の支度を始めた。
千陽も勉強をやめて私の隣に立つ。
誉も立って「俺、味噌汁とサラダ作るよ」と笑う。

ご飯を食べ終えて、千陽が先にお風呂に入った。
誉、私、お母さんの順で入って、私と千陽は部屋に行く。
私が勉強を始めると、千陽もやる。
2人きりになると途端に甘えてくるから、その切り替えに戸惑いつつも、私は受け入れた。
手を繋ぎながら、寝る時間まで勉強をした。

「そろそろ寝よっか」
11時半頃、私が言うと、彼女が頷く。
「布団…あるけど…」
彼女の目がスッと細くなるから(そうだよね)と苦笑いしながら、2人でベッドに潜った。
「穂、抱きしめて」
私に背を向ける彼女が言う。
モソモソと彼女に近づいて、抱きしめる。
「千陽」
「なに?」
「“道具みたいに扱われる”ってどういうことなのかな?」
「さあ…」
「じゃあ…“助ける”ってどういうこと?」
「穂」
「ん?」
「永那はきっと…穂に知られたくないの。だから、あんな・・・言い方をした。穂に、わからないように…」
…私に、知られたくない。
「あたしも、穂は知らなくていいことだと思う」
「千陽は、どういうことか、わかるんだね」
「うん、たぶん」

「どうして…私は知らなくていいの?」
「穂は、綺麗だから…」
「私が?」
「そう」
私の腕の中で、彼女が体を反転させる。
「穂は、綺麗」
両頬を包まれる。
「綺麗なままで、いてほしい」
「…でも」
唇を塞がれる。
舌が入ってきて、絡める。
「千陽」
話すと、後頭部に手を回されて、話せないようにされる。
…永那ちゃんのこと、話すんじゃないの?
モヤモヤした気持ちを言えないまま、彼女の胸に触れる。
彼女が肩の紐をおろして、自分の胸を露わにする。
彼女は私よりも上に移動して、私の顔を胸にうずめさせた。
不安で、涙が落ちる。
私が、永那ちゃんに無理をさせているのではないかと。
「大丈夫」
そう、優しく囁かれる。
「永那は、そんなに弱くない」
頭を撫でられて、彼女をギュッと抱きしめた。
「永那が、穂を求めたときに、応えてあげればいいと思う。…穂は、もう、ちゃんと永那を大事にしてるから…大丈夫」
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