いたずらはため息と共に

常森 楽

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3.成長

166.夏が終わる

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インターホンが鳴った。
宅配便で、昨日永那ちゃんがプレゼント・・・・・を買っていたことを思い出す。
箱を受け取ってリビングに戻ると、誉が「なに?」と聞いてきた。
「永那ちゃんの荷物だから、わからない」
曖昧に笑って、部屋に行く。
隠すように、リビングから見えない位置に箱を置いた。
永那ちゃんはスゥスゥ寝息を立てて寝ていた。
彼女の髪をそっと撫でて、リビングに戻る。

「誉、どうしたの?」
誉が立ち上がって、帽子をかぶっていた。
「ん?千陽がお菓子食べたいって言うから、買ってくる」
背筋がゾワリとする。
恐る恐る佐藤さんを見ると、優しく笑みを浮かべていて、逆にそれが怖い。
「お菓子なら、家に」
「駅前のケーキ屋さんのやつが食べたいんだってさ。…ちょっと行ってくるよ」
そう言って、誉は玄関のドアを閉めた。
ドッドッドッと心臓が速くなる。
彼女の気配をすぐそばに感じて、後ろから抱きしめられた。
「ねえ、永那に怒られた?」
「怒られて、ないよ」
「本当に?…何かされたんでしょ?」
「特に、なにも…」
「歩けないくらい、何かされてたんでしょ?」
そう言われて、昨日の感覚が蘇る。
子宮が疼きだして、私は目を伏せた。

彼女の手が私の胸に伸びる。
「何されたの?…あたしから、永那を盗った、穂は」
“だめ”と言いたいのに、彼女からの圧で、動けない。
優しく揉まれて「んっ」と声が出る。
「あたし、昨日、ちゃんと4時過ぎに帰ってきたでしょ?誉が何時に帰ってくるかわからない状況じゃ、思う存分楽しめないと思って…気を利かせてあげたの。お礼くらい、してもらっても、いいと思うけど?」
耳を甘噛みされて、全身に鳥肌が立つ。
「キス、して?」
胸から手が離れて、佐藤さんが私の前に立つ。
「して?」
頬を両手で包まれて、顔が近づく。
「してくれないなら、あたしがするね?」
私は目を閉じた。
彼女のやわらかい肌が、唇に触れる。
「明日も、ちゃんと、4時に帰ってきてあげるから」
そう言って、もう一度唇が触れ合う。
また胸を揉まれて、緊張で肩が上がった。
「穂、あたしの胸、さわりたくないの?」
私は歯を食いしばる。
「あたしの胸、好きでしょ?」
手を取られて、彼女の胸に触れさせられる。

手から溢れ落ちるほど大きいのに、やわらかくて、つい指を動かす。
「気持ちいい」
彼女の可愛らしい声が、脳に響く。
…また、浮気って、怒られるかな。
私、こんな、不設楽な性格だったっけ。
「穂?」
目を薄く開く。
彼女は片手を自分の背に回していた。
「直接、さわりたいでしょ?」
透け感のある白のブラウスを捲し上げて、私を上目遣いに見る。
大きな乳房の下半分が見えていて、私の理性が崩壊していく。
私は自分でそこに手を伸ばし、彼女の肌に、直に触れた。
「んっ」
…あぁ、そんな声出さないで。
彼女の硬くなっている突起に触れると「あッ」と身動ぐから、嫌になる。
癖になって、突起を抓ると、また彼女は声を出す。
やわらかい乳房を堪能しようと、私は手を大きく動かした。
たまに突起を抓ると、彼女が可愛らしく鳴いて、蜜がジワッ滲む。

ガチャッとドアが開く音がする。
「ただいまー」
理性が物凄い勢いで戻ってくる。
彼女のブラウスから手を引っこ抜いて、前髪を指で梳いた。
「もう終わりか…残念…」
彼女がブラをつけ直して、ブラウスを整える。
「穂、またさわってね?」
恐ろしい、子…。
私はトボトボと部屋に行く。
永那ちゃんの横に寝転んで、両手で顔を覆った。
もう、私はダメな人なんだ…。
真面目とか厳しいとか言われてきたけど…そんなの嘘っぱちだったんだ…。
自分がもう、信じられない。

「姉ちゃん、今日も俺が作ったほうがいい?」
しばらくして、誉の声が頭上から降ってくる。
「だ、大丈夫…私、作るよ」
私は起き上がって、キッチンに向かう。
佐藤さんが私を見て嬉しそうに微笑む。
目をそらして、冷蔵庫を開けた。

いつものように永那ちゃんを起こして、みんなでお昼を食べる。
佐藤さんはいつも通り無言だったけど、口元を少し緩めていたから、たぶんおいしいと思ってくれているのだと思う。
ご飯を食べ終えて、永那ちゃんを部屋に引っ張っていく。
「永那ちゃん、荷物、届いたよ?」
小声で言うと、彼女はニヤリと笑って部屋のドアを閉めた。
彼女が楽しそうに箱を開ける。
そばに正座して「永那ちゃん」と呼んだ。
彼女が手を止めて、私を見る。
「私、またキスしちゃった…胸も…さわっちゃった…。もう、私、ダメな人みたい…。永那ちゃんに、嫌われちゃう…」
ポンポンと頭を撫でられる。
「もう、それはいいよ」
「え?」
彼女を見ると、口元は笑っているけれど、目は笑っていなかった。
既に嫌われてしまったのかと思って、鼓動が速くなる。
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