いたずらはため息と共に

常森 楽

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3.成長

162.夏が終わる

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首筋を、永那ちゃんの舌が這う。
這った後は少しひんやりして、まだこの感覚には慣れない。
何度も、何度も、執拗に同じところを舐められた。
ちょっと、くすぐったい。
右手が胸元にスッと入ってくる。
「やっぱ、浴衣の良さはこれだよね」
そのまま、胸に彼女のあたたかさを感じた。
私は目を閉じて、彼女を受け入れる。
もう既に下腹部がウズウズしていて、期待する体を鎮めるように、深呼吸した。
「穂、こっち見て」
そう言われて、私は顔だけ後ろを向く。
唇と唇が触れる程度に重なって、すぐに次を求めるように触れ合った。
彼女の舌が私のなかに入ってくる。
もう、心地よくなった感覚。
少し絡まって、離れる。
また重なって、今度は、長めに。

私は首が辛くなって、体ごと永那ちゃんに向く。
彼女の手が抜けて、抱きしめてくれる。
「こんなに綺麗に帯が結ばれてると、崩すのが勿体無い気もする…」
永那ちゃんの息が耳にかかる。
「けど、崩したら…もっと、可愛いかな」
その声だけで、私の期待は膨れ上がる。
…少し緩めに結んでおいたから、彼女が手を入れたところに空間ができている。
彼女は私の胸元をジッと見つめてから、視線を私に戻して、目が合った。
ニヤリと笑って、唇が重なる。
丁寧に、えりを上に引っ張られる。
布が肌に擦れる感覚が妙に鋭く感じる。
ゆっくりとしたその仕草が、呼吸を荒くさせた。
肌が露出して、胸元がはだける。
下着が透けないか不安だったけど、今日はキャミソールを着ていない。
永那ちゃんの視線が胸に落ちて、口元を綻ばせる。
ペロリと唇を舐めて、上目遣いに私を見た。
「エロ」

永那ちゃんに喜んでもらいたくて、下着も新調した。
透けにくい色を調べたら、意外にも赤が大丈夫だとわかって、初めて赤色の下着を買った。
浴衣も真紅だったし、意図せず色を合わせたみたいになった。
こんな派手な下着は初めてで、恥ずかしさで汗が滲む。
「穂…こんなブラあったっけ?」
前にクローゼットを漁られたことがあったけど…そのときに見られたのかな。
新調したことを先に気づかれるとは思わなかった。
「…新しく、買ったの」
永那ちゃんの鼻の下が伸びる。
上唇を噛んで、口角を上げている。
両手で胸を包まれて、谷間が深くなった。
永那ちゃんは大きく息を吸って、谷間に顔をうずめる。
フゥーッと息を吐くから、あたたかい風が胸にかかる。
子宮がキュゥキュゥ締まって“早く”と急く。
永那ちゃんの動きは、私の期待に反してゆっくりで、焦れったい。

彼女は楽しむように、ずっと顔を胸にうずめたまま、ゆっくり優しく揉む。
たまに舐められるような感覚もあるけど、何をしているのかはよくわからない。
ふいに彼女が顔を上げて、キスをした。
彼女の前髪が垂れ下がっていて、流し目で見られると、胸が締め付けられる。
チュッチュッと音を立てて啄むようにキスをする。
その間にも彼女の手はゆっくり私の胸を揉み続ける。
目を閉じていたら、胸元の締め付けが解放されたのを感じた。
薄く目を開けると、ホックが外されて、ただ肩にぶら下がっているブラが目に入る。
直に肌に触れられて、体がピクッと反応する。
同時に彼女の舌が口内に入ってきた。
私は舌に力を入れず、ただ彼女に身を任せる。
彼女の舌の感触がやわらかくて、ずっとこうしていられる気がした。

優しく胸を揉まれ続けて、突起に刺激を与えられたわけでもないのに、体がピクピク反応する。
これはこれで…気持ちいい。
マッサージされているみたいな、そんな気分にも似ている。
舌の動きもゆっくりで、彼女の舌の感触がよくわかる。
…どのくらい、そうしていたのかわからないけど、今までで1番長く感じた。
気づけば子宮の締め付けもなくなって、ただ心地よさに身を任せていた。
体は反応しているのに、落ち着いているみたいな不思議な感覚。

ゆっくりと、彼女が離れていく。
優しく微笑まれる。
「可愛い、穂。…浴衣も、ブラも、すごくよく似合ってる」
「…ありがとう」
永那ちゃんを想像して、永那ちゃんの笑顔が見たくて選んだ物。
こうも味わうように丁寧に扱われると、思っていたよりも嬉しくて。
買ってよかったって、思える。
肩を撫でられながら、じっくり体を見られる。
恥ずかしくて身動ぐと、彼女がフフッと笑った。
「穂、立って」
手を引かれて、ベッドからおりる。
彼女はまた私の全身を見て、口元を綻ばせた。
「は、恥ずかしいよ」
「綺麗だよ」
心臓がトクンと鳴って、顔が熱くなる。

永那ちゃんが私の肩を持って、体を回転させる。
目の前に全身鏡が置かれていて、ドキッとした。
胸元が大きくはだけて、真っ赤なブラが固定されずに揺れる。
その下には露わになっている胸があって、私は俯いた。
隠したくて、腕を前で組むようにする。
「穂」
後ろから抱きしめられる。
永那ちゃんを見たくてチラリと上を見ると、自分の腕で強調された胸が鏡に映っていて、慌てて手をおろした。
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