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2.変化
91.友達
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私はそっと彼女の腕に触れる。
弾力のあるやわらかい肌、少しひんやりしていて心地いい。
思わずその感触に頰を緩めてしまう。
「永那ちゃん」
ぷにぷにと揉んでから、半袖のシャツの中に手を忍ばせていく。
「永那ちゃん、起きて」
永那ちゃんの肩がピクッと上がる。
これで9割方起きたとわかる。
袖に隠れた肌から手首のほうまで、ゆっくり撫でる。
「永那ちゃん、一緒に過ごすんじゃないの?」
手の甲から指先までゆっくり手を重ねて、指を絡ませる素振りをした後に、ゆっくり離れる。
「永那ちゃん、起きないの?」
ほんの少しだけ屈んで、彼女に近づく。
髪が肩から落ちて、彼女の腕を掠める。
永那ちゃんの耳が赤い。
もう、絶対に起きている。
眺めていても、彼女が起き上がる気配がない。
私は髪を耳にかけて、フゥッとため息をつく。
「優里ちゃん、もう置いて行っちゃおう」
突然話を振られた優里ちゃんの目が見開く。
「うぇっ!?…えっ、あ、うん!…ん?…いいの?」
彼女の体が勢いよく起き上がる。
「まっ…待って!起きてるって!起きた!起きました!」
私がジーッと彼女を睨むと、へへへと笑う。
「えー!す、すごい…永那が笑って起きた…」
「あー、エロかった」
永那ちゃんがそう小さく呟いて、私の眉間にシワができる。
優里ちゃんの顔がポッと赤くなる。
「いい加減、普通に起きてよ」
そう言うと、彼女はニヒヒと笑う。
「それが出来てたら誰も苦労しません」
思わず「ハァ」と大きなため息が出る。
「やっぱり」
佐藤さんがニヤリと笑いながら言う。
突然の言葉に私の頭にはハテナマークが浮かぶ。
「あの時も、普通に起こしたんじゃなくて、何かしてたんだ?」
墓穴を掘った…。
自分の顔が一気に紅潮するのがわかる。
「ねえ、何してたの?」
優里ちゃんはなんのことかわからず、目をキョロキョロさせて私達を見る。
「教えてよ、空井さん」
ジッと大きな瞳に捕らえられて、目をそらせない。
「2人とも…?」
優里ちゃんが助け船を出してくれる。
「ねえ、優里も気になるよね?」
その船すら、佐藤さんは絡めとっていく。
「え!?私は…」
顔を赤らめながら、俯いてしまう。
永那ちゃんは呑気にあくびをしている。
「足を…」
そう言って、初めて自分が息を止めていたことに気づく。
「足を?」
ニヤリと笑って、佐藤さんは永那ちゃんの背中に頬杖をつく。
私は息を吸って「足に手を置いただけだよ」と笑顔を作った。
佐藤さんにジッと見られて息を呑むと、「ふーん」と言われて解放される。
その後、みんなで私の家に向かい、人生ゲームやトランプで遊んだ。
初めて授業をサボった(?)けれど、不思議と私の心は落ち着いていて、純粋にみんなとの時間を楽しめている自分に驚いた。
みんなが帰った後、30分くらい経ってから、スマホにメッセージが届いた。
『そういえば話そうと思って忘れてたんだけど、穂の夏休みの予定ってどんな?』
金曜日に終業式があって、それが終わると晴れて夏休みだ。
私は生徒会の活動以外に、予定らしい予定は入っていない。
毎年1日か2日、誉と2人でどこかに出かけたりはするけれど、特に決まっている日があるわけでもない。
たまにお母さんの仕事が落ち着いていて、お盆におばあちゃんの家に行くこともある。
でも今のところそんな話は出ていない。
行くとなるといつも直前に言われるから、話が出ていないのはいつものことだけれど。
生徒会の合宿(旅行)は8月の頭にある。ボランティアは2回予定していて、今月末の土曜と8月の終わりにある。
その予定を永那ちゃんに送ると、すぐに既読がつく。
『月曜から金曜まで、毎日会いたいって言われたら、迷惑?』
全く予想していなかった提案に、心臓がピョンと跳ねた。
永那ちゃんに毎日会える…。2人きり、だよね?
結局テスト期間中も、その後も、2人きりになれる時間が全くなかった。
みんなと過ごすのも楽しかったけれど、やっぱり永那ちゃんと2人でも過ごしたい。
胸が高鳴って、体が疼いて、息が少し荒くなる。
『嬉しい』
嬉しくて震える手を必死に落ち着かせながら、ゆっくり入力して、送った。
すぐに既読がつく。
『よかった。じゃあ来週の月曜から、2人で会おうね。どこに行く?…それとも、穂の家でも良かったりするのかな?まだ、記念日のプレゼントもらってないし。…ほしいなあ?』
スマホを握りしめて、胸に抱く。
未だに、鮮明に思い出せるあの日のことを、体が勝手に思い出す。
胸がキュウキュウ締め付けられて、下腹部が疼く。
『わかった。家で大丈夫だよ』
誉にもお母さんにも確認はしていないけれど、おそらく問題ないだろう。
…でも、誉も夏休みだから、どうなんだろう?
ご飯は作ってあげられるけど、あれは…。
弾力のあるやわらかい肌、少しひんやりしていて心地いい。
思わずその感触に頰を緩めてしまう。
「永那ちゃん」
ぷにぷにと揉んでから、半袖のシャツの中に手を忍ばせていく。
「永那ちゃん、起きて」
永那ちゃんの肩がピクッと上がる。
これで9割方起きたとわかる。
袖に隠れた肌から手首のほうまで、ゆっくり撫でる。
「永那ちゃん、一緒に過ごすんじゃないの?」
手の甲から指先までゆっくり手を重ねて、指を絡ませる素振りをした後に、ゆっくり離れる。
「永那ちゃん、起きないの?」
ほんの少しだけ屈んで、彼女に近づく。
髪が肩から落ちて、彼女の腕を掠める。
永那ちゃんの耳が赤い。
もう、絶対に起きている。
眺めていても、彼女が起き上がる気配がない。
私は髪を耳にかけて、フゥッとため息をつく。
「優里ちゃん、もう置いて行っちゃおう」
突然話を振られた優里ちゃんの目が見開く。
「うぇっ!?…えっ、あ、うん!…ん?…いいの?」
彼女の体が勢いよく起き上がる。
「まっ…待って!起きてるって!起きた!起きました!」
私がジーッと彼女を睨むと、へへへと笑う。
「えー!す、すごい…永那が笑って起きた…」
「あー、エロかった」
永那ちゃんがそう小さく呟いて、私の眉間にシワができる。
優里ちゃんの顔がポッと赤くなる。
「いい加減、普通に起きてよ」
そう言うと、彼女はニヒヒと笑う。
「それが出来てたら誰も苦労しません」
思わず「ハァ」と大きなため息が出る。
「やっぱり」
佐藤さんがニヤリと笑いながら言う。
突然の言葉に私の頭にはハテナマークが浮かぶ。
「あの時も、普通に起こしたんじゃなくて、何かしてたんだ?」
墓穴を掘った…。
自分の顔が一気に紅潮するのがわかる。
「ねえ、何してたの?」
優里ちゃんはなんのことかわからず、目をキョロキョロさせて私達を見る。
「教えてよ、空井さん」
ジッと大きな瞳に捕らえられて、目をそらせない。
「2人とも…?」
優里ちゃんが助け船を出してくれる。
「ねえ、優里も気になるよね?」
その船すら、佐藤さんは絡めとっていく。
「え!?私は…」
顔を赤らめながら、俯いてしまう。
永那ちゃんは呑気にあくびをしている。
「足を…」
そう言って、初めて自分が息を止めていたことに気づく。
「足を?」
ニヤリと笑って、佐藤さんは永那ちゃんの背中に頬杖をつく。
私は息を吸って「足に手を置いただけだよ」と笑顔を作った。
佐藤さんにジッと見られて息を呑むと、「ふーん」と言われて解放される。
その後、みんなで私の家に向かい、人生ゲームやトランプで遊んだ。
初めて授業をサボった(?)けれど、不思議と私の心は落ち着いていて、純粋にみんなとの時間を楽しめている自分に驚いた。
みんなが帰った後、30分くらい経ってから、スマホにメッセージが届いた。
『そういえば話そうと思って忘れてたんだけど、穂の夏休みの予定ってどんな?』
金曜日に終業式があって、それが終わると晴れて夏休みだ。
私は生徒会の活動以外に、予定らしい予定は入っていない。
毎年1日か2日、誉と2人でどこかに出かけたりはするけれど、特に決まっている日があるわけでもない。
たまにお母さんの仕事が落ち着いていて、お盆におばあちゃんの家に行くこともある。
でも今のところそんな話は出ていない。
行くとなるといつも直前に言われるから、話が出ていないのはいつものことだけれど。
生徒会の合宿(旅行)は8月の頭にある。ボランティアは2回予定していて、今月末の土曜と8月の終わりにある。
その予定を永那ちゃんに送ると、すぐに既読がつく。
『月曜から金曜まで、毎日会いたいって言われたら、迷惑?』
全く予想していなかった提案に、心臓がピョンと跳ねた。
永那ちゃんに毎日会える…。2人きり、だよね?
結局テスト期間中も、その後も、2人きりになれる時間が全くなかった。
みんなと過ごすのも楽しかったけれど、やっぱり永那ちゃんと2人でも過ごしたい。
胸が高鳴って、体が疼いて、息が少し荒くなる。
『嬉しい』
嬉しくて震える手を必死に落ち着かせながら、ゆっくり入力して、送った。
すぐに既読がつく。
『よかった。じゃあ来週の月曜から、2人で会おうね。どこに行く?…それとも、穂の家でも良かったりするのかな?まだ、記念日のプレゼントもらってないし。…ほしいなあ?』
スマホを握りしめて、胸に抱く。
未だに、鮮明に思い出せるあの日のことを、体が勝手に思い出す。
胸がキュウキュウ締め付けられて、下腹部が疼く。
『わかった。家で大丈夫だよ』
誉にもお母さんにも確認はしていないけれど、おそらく問題ないだろう。
…でも、誉も夏休みだから、どうなんだろう?
ご飯は作ってあげられるけど、あれは…。
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