君の行く末

常森 楽

文字の大きさ
上 下
19 / 20

* 19

しおりを挟む
「いいの?」

いっちゃんが、困惑と驚きと期待が混ざった顔で、私を覗き込む。

「嫌な気持ちにならない?」

不安そうに、上目遣いになる。

「そりゃあ、まだ付き合ったばっかりだし、不安だよ。もしいっちゃんが、お姉さんに対する気持ちを思い出して、すぐ振られちゃったら……って思うとさ」
「本当は、これを解決してから 実結に告白するつもりだったんだ……」

いっちゃんは慌てて弁明する。
でも『お姉さんへの気持ちが戻ることはない』とは、ハッキリ言わない。

「けど、ここでいっちゃんがお姉さんに会わなかったら、私たちはずっとモヤモヤした気持ちを抱えたまま付き合っていくことになるって思った」

いっちゃんの弁明は無視する。

「お互いがモヤモヤした気持ちを抱えたまま、関係が長く続くとは思えない」

私は不安で揺れる自分の心に鞭を打つ。

「私は、いっちゃんと なるべく長く一緒にいたい」

ゴクリと唾を飲んで、彼女を見据える。

「『ずっと一緒にいようね』とか、可愛らしいことは言えないけど、いっちゃんと 少しでも長く一緒にいられたら嬉しい」


*


ふたり旅から ひと月経った。

いっちゃんはお姉さんと会って、戻ってきた時には、特に感情を出すこともなく 落ち着いた雰囲気を漂わせていた。

どうしてもじっとしていられなくなって、お姉さんと会った直後だったいっちゃんのところに走っていくと、いっちゃんは嬉しそうに笑った。

「実結は、ペットみたいで可愛いね」
「ペット!?全然嬉しくないー!」

いっちゃんの一人暮らしの家に行く。

道中、ざわめく心を隠しながら 他愛ない話をする。
きっといっちゃんも 私にどう話そうか考えて、忙しなく思考を巡らせていることだろう。

いっちゃんの部屋には、あんまり物がない。服は、たぶん10着くらいしかない。
あとは、テーブルと椅子とベッドと、少し多めの本だけ。

私は、いっちゃんが本を読んでいるときの、真剣な顔が好き。
紙を優しく捲る、細長い指が好き。

そして、彼女はいつもそんな目で私を見て、そんな手で私に触れる。

だけど、今日は、なんだか違った。

ドアを閉めると、いっちゃんはそのまま私を壁に押しやって、キスをした。

急なことに驚いて、頭が真っ白になる。
お姉さんのこと、いろいろ聞こうと思ってたのに、忘れちゃいそう。

薄暗い玄関で、いっちゃんの呼吸を感じる。
少し荒い息が混じりながら、舌を絡ませた。
それだけで、とろけてしまいそうになる。

いっちゃんの腰に手をまわす。

いっちゃんは私の胸に左手をそえてから、少し強めに包み込んだ。

いじわるだけど、繊細な物に触れるように、優しかった" 最初の日 "を思い出す。
あの日よりも、少し強引だけど、恐怖心は全然なかった。

服の上からでも、揉まれながら、ピンポイントに気持ちいいところに触れてくる。

下半身に熱っぽさを感じながら、とろりと蜜が出てしまいそうな感覚に、戸惑う。

いっちゃんはシャツのなかに手を忍ばせて、さらに激しく乳房を揉んだ。

唾液は既に混ざり合い、口のなかに目一杯いっちゃんを感じた。

壁に押し当てた右手を離して、頭を撫でられる。
優しくではなく、髪がぐしゃぐしゃになるように、激しく。

より深くいっちゃんの舌が入ってくる。

すぐに右手は頭から離れて、太ももに移動した。
ゆっくりとなぞるように上がっていって、お尻を揉まれる。

ショーツが食い込んでしまいそうなくらい、強く揉みしだかれる。
お尻の穴を開かされる感覚が、恥ずかしさを生む。

ズボンのボタンが外されて、チャックもおろされた。
その隙間から、窮屈そうに 手が入ってくる。
スキニーのズボンに締め付けられるように、いっちゃんの手が入ってきた瞬間に、敏感になってる 小さな種子が擦れる。

「ん…っ」

下腹部が一瞬、ビクッと反応する。

そのままつつくように、いっちゃんの指に何度も刺激された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

さくらと遥香(ショートストーリー)

youmery
恋愛
「さくらと遥香」46時間TV編で両想いになり、周りには内緒で付き合い始めたさくちゃんとかっきー。 その後のメインストーリーとはあまり関係してこない、単発で読めるショートストーリー集です。 ※さくちゃん目線です。 ※さくちゃんとかっきーは周りに内緒で付き合っています。メンバーにも事務所にも秘密にしています。 ※メインストーリーの長編「さくらと遥香」を未読でも楽しめますが、46時間TV編だけでも読んでからお読みいただくことをおすすめします。 ※ショートストーリーはpixivでもほぼ同内容で公開中です。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...