君の行く末

常森 楽

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私の想いに応えるように、彼女の左手が次第に速くなり、ピンポイントで 感じる場所が擦れる。

「んっ…んっ……」
ショーツ越しなのに、なんで気持ちいいとこがわかるの?
目に涙がたまっていく。

彼女はそんな私の様子を、笑みを浮かべて見ている。
私は彼女の右手を必死に掴んで、求めていた快楽に身をゆだねた。

「んーっ……!!」
一気に、ぎゅっと全身に力が入る。
足が少し痙攣したみたいだった。

荒い呼吸が落ち着かない。
彼女は気に止めることなく、キスをした。
舌が入ってくる。
絡ませた舌が敏感になっていることに気づく。

キスが気持ちいいのも、初めてだった。

彼女の唾液が、ほんのり甘い。
名残惜しそうに引いた糸が、キラキラしてるように思えた。

私は混ざりあった唾液をゴクリと飲んだ。
一瞬、彼女が驚いた顔を見せ、すぐにまたキスをした。

キスに酔ってると、知らぬ間に彼女の手が、ショーツのなかに入ってきていた。

びっくりして、慌てて「待って」と言った。
でも、私の声は彼女の口のなかに消えていった。

くちゅくちゅと音が鳴り、恥ずかしさで顔をそむけたくなった。
自分でも、濡れているのは気づいていたから、余計に恥ずかしかった。

彼女は楽しそうに、わざと音を鳴らしているみたいだった。
抗おうと、足を閉じた。
彼女は、するりと足の間に体を割り込ませ、強引に開かせる。

なにかが体の中に入ってくる。

彼女は唇を離した。
「痛い?」

息がかかる距離。

「少し……」
力み過ぎている。
わかってても、体がこわばる。

探るように、確かめるように、彼女の指はゆっくりと中に入ろうと試みる。

でも、私の膣は それを受け入れることはできなかった。
皮膚がちぎれるような感覚……っていうのかな。

「ごめん……」
さっきまでの熱が冷めていく。
嫌われてしまうんじゃないかと、怖くなった。
「ごめんね」

彼女は、ふっと笑った。
「謝ることじゃないよ。これから、少しずつ……ね」
そっと唇を重ねた。

そして 彼女の指は目標を変え、私の小さな蕾へと向かった。
優しく触れられたはずなのに、力強くて、波の満ち引きのように 快楽がやってくる。

「あっ、あっ……」
堪えきれなくて、声が漏れる。

次第に激しさを増し、私のあえぎ声も大きくなった。
恥ずかしい、恥ずかしい……。

つかの間、彼女のやわらかい笑顔が脳裏をよぎる。
見守ってくれるような、でも 愛くるしい笑顔。
直後、ホワイトアウトするように頭のなかが真っ白になった。

全身がビクッビクッと痙攣し、だらんと力が抜ける。

彼女は、息切れする私の頭を撫でた。
「気持ちよかった?」

汗を流して、頷くことしかできない私を見て、彼女はまた笑った。

彼女の腕まくらは、心地よかった。
男の人の腕はゴツゴツして寝にくかったから、こんなに違いがあるなんて思わなかった。

疲れもあったからか、私は眠ってしまっていた。

初めて彼女に抱かれた日。

今まで、性行為が汚くて怖いものだと思ってた私の常識は、見事に覆された。


*


私が彼女に出会ったのは、高校生の時だった。

彼女は、学校のアイドルみたいな存在だった。
スクールカーストという、学生の上下関係が存在するならば、間違いなく上に立つ人だった。

彼女がすごいのは、男の子から見ても女の子から見てもアイドルだったこと。

男の子からしたら ちょっとボーイッシュなかわいい女の子。
女の子からしたら ボーイッシュでイケメンな男(女)の子。

ただかわいいだけじゃなく、ただかっこいいだけでもない。
両方兼ね備えた存在だった。

だから、男の子からも女の子からも モテモテだった。

彼女がモテたのは、奥二重の切れ長な目や筋の通った鼻、すらりとした佇まいのおかげだけじゃない。
なにより、人を褒めるのが上手だった。
人に安心感を与えるのが、上手だった。

宝城 一ほうじょう いちを嫌う人は、きっと、一人もいなかった。
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