君の行く末

常森 楽

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「大丈夫だよ」

「怖い」と震えた私に、彼女は耳元で囁いた。
優しく包み込むように私に覆いかぶさって、彼女の心地よい重さを感じる。
安心して、全身の力が ふっと抜けた。

彼女はそっと私の頭を撫で、右手を握った。

まるで夢のような時間。

彼女のやわらかい唇が、私のにゆっくりと重なる。
慣れた手つきで、彼女は私の服を捲し上げた。

春の訪れを待つ季節。
少し肌寒い空気に、体が驚く。
まだ緊張も残っているんだろう。
ドキドキしてるのが、自分でもわかる。

ブラのホックを外され、冷えた指先が乳房を包む。

「ごめんね、冷たいでしょ」
いたずらっ子みたいに笑う彼女が、部屋の電気に照らされて 一層かっこよく見えた。

(今から、えっちなことするんだ……)

妙に冷静に現状を把握しつつも、胸の高鳴りはおさまらない。

「あったかいね」
優しく動く綺麗な手は、私の体温と混ざり合い、あたたかくなっていく。

唇がまた重なる。
すぐに離れてしまった彼女のぬくもりを追いかけたくて、閉じた目を開けた。

彼女は左の口角だけ上げてみせて、既に敏感になってる突起を舐めた。
「ん……!」
思わず声が出て、咄嗟に我慢する。

彼女はまたニヤリと笑った。
握られたままの右手が湿る。

「かわいい」
中性的な低音が、鼓動を速くさせる。

彼女は突起を避けるように、乳首のまわりを舐めた。
じれったくなって、無意識に足がむずむずと動く。

「早く……」
心のなかで呟いたはずの言葉は、気づけば 口から漏れ出ていた。

彼女は口角を上げながら乳房にキスをした。何度も、何度も。
乳首のまわりには、指で円を描く。

「早く、なに?」
もう片方の胸にもキスを落とす。
「どうしてほしいの?」

彼女は意地悪だ。
どう言えばいいかわからない。
こんなの、私は 初めてなのに……。

「どうしてほしいか言わないと、ずっとこのままだよ?」
わざとなのか、無意識になのか、円を描く彼女の指は たまに 突起に触れる。
かする程度のそれは、余計、じれったさを生み出して、私の体はどうにかなってしまいそうだった。

「さわって……」
「なに?聞こえないよ」
「さわって……!」
彼女は、眉を上げて 私を見下したように見た。
「しょうがないな、今日はそれで許してあげる」

とたんに、激しく乳首をさわられて、一瞬 体が跳ね上がった。
長い指が、赤い舌が、何度も上下に移動する。

私の体は、待ちわびていた快楽に全身を震わせた。

恥ずかしくて、彼女の顔を見ていられなくなって、目をぎゅっとつぶった。
顔がほてる。心臓がドクドクと脈打ってる。

右手を強く握る。
彼女の唯一の優しさにすがるみたいに。

激しく動いていた彼女の指が止まったかと思うと、噛まれたような感覚が 電気が流れたみたいに 全身を走っていった。
一瞬の刺激が流れた直後、彼女の指は また激しく動く。

握られていた右手が離される。
そろり そろりと腰のあたりに伸びていき、少しのくすぐったさを感じた。
さするように添えられた彼女の左手が、あたたかい。

お気に入りのピンクのスカートは、なんの抵抗もすることがないまま、彼女の左手を受け入れた。
ショーツ越しにも感じる彼女のあたたかさに、下腹部がきゅっとする。

ゆっくりと上下に動く彼女の手はあまりに優しくて、とろけてしまいそうにも思えた。

もっと、強くさわってほしい。
もっと、気持ちよくしてほしい。
言いたくて、でも 言いたくなくて、下唇を噛んだ。

彼女は、胸からおへそにかけて 舌を這わせた。
噛んだかと思うと、今度はそこを優しく舐めた。

「いっちゃん……好き」
早く気持ちよくして、という願いを込めた。

もっとさわって。もっと愛して。
私を、もっと、見て。

彼女は舐めるのをやめて、私を見た。
ニコリと笑った無邪気な彼女が、愛おしい。
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