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番外編 【傷と恋】
夢
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良く、性犯罪を受けた女の人が心の後遺症で、外に出られなくなる話があるけれど、まさか、そんな不幸が自分に降りかかるとは思ってなかった。
「伊織、お母さん、今日はもう仕事に行かないといけないから。ご飯はテーブルに置いてるね」
顔の腫れが引くまで学校を3日ほど休んだけれど、明日から登校できるのかどうかも分からなかった。
【伊織ー、祭りの日、なんかあった?
担任とか何も教えてくれないんだけど】
友達からのメールにも事件を知られたくなくて、
【車と接触してちょっとケガしただけ】
そんな嘘を返してた。
……けれど、一週間もたてば、皆、変に思う。
仲のいい子が家に訪ねてきたこともあった。
同じ委員会の男の子も心配して来てくれた。
それでも、直接は会わなかった。
顔はもう、元通りなのに、見せるのが恥ずかしかった。
″ ブス ″
″ ぶっ細工な女 ″
自分の ″ 女の子 ″ としての存在価値にも、自信を見出だせなかったからだ。
そんな私をお母さんは心配してたけど、パートの仕事を休んでずっと側にいるわけもいかず、日常を送りながら、私が立ち直るのを待ってたと思う。
けれど、私自身、以前のような日常を取り戻せるのか分からなかった。
このまま、学校の皆にも会わず卒業もしないで、
大人になっても、恋愛も結婚もしない、……時間の流れに逆らって、私1人取り残されていく暗い夢を何度も見た。
それも、明るい太陽の元、お昼寝で、だ。
ーーピンポーン……。
まだ夢うつつの状態で、アパートのインターホンのベルに気が付く。
のそのそと起き上がり、玄関ドアの覗き穴から見えた訪問者は、なんと、
『橋元先生……』
……しかも、赤ちゃんをおんぶして連れて来ていた。
「伊織、お母さん、今日はもう仕事に行かないといけないから。ご飯はテーブルに置いてるね」
顔の腫れが引くまで学校を3日ほど休んだけれど、明日から登校できるのかどうかも分からなかった。
【伊織ー、祭りの日、なんかあった?
担任とか何も教えてくれないんだけど】
友達からのメールにも事件を知られたくなくて、
【車と接触してちょっとケガしただけ】
そんな嘘を返してた。
……けれど、一週間もたてば、皆、変に思う。
仲のいい子が家に訪ねてきたこともあった。
同じ委員会の男の子も心配して来てくれた。
それでも、直接は会わなかった。
顔はもう、元通りなのに、見せるのが恥ずかしかった。
″ ブス ″
″ ぶっ細工な女 ″
自分の ″ 女の子 ″ としての存在価値にも、自信を見出だせなかったからだ。
そんな私をお母さんは心配してたけど、パートの仕事を休んでずっと側にいるわけもいかず、日常を送りながら、私が立ち直るのを待ってたと思う。
けれど、私自身、以前のような日常を取り戻せるのか分からなかった。
このまま、学校の皆にも会わず卒業もしないで、
大人になっても、恋愛も結婚もしない、……時間の流れに逆らって、私1人取り残されていく暗い夢を何度も見た。
それも、明るい太陽の元、お昼寝で、だ。
ーーピンポーン……。
まだ夢うつつの状態で、アパートのインターホンのベルに気が付く。
のそのそと起き上がり、玄関ドアの覗き穴から見えた訪問者は、なんと、
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……しかも、赤ちゃんをおんぶして連れて来ていた。
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