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true love 本当の……
百万円
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「AV……?」
今度は脅し。
「そう。モザイク無しの商品って、地味でいかにも素人っぽい女の方がリアルで需要あるんだってよ!」
腹黒く笑う山下。
カメラを取り付けたのは信だとしても、見せかけなんかじゃなく、本当の金銭目的で、部屋に侵入したのは、この山下かもしれない。
「……信、見せたの? 他人に見せてもないって言ったよね?」
見せたとなると、また別の罪が生まれてくる。
信は、私から目をそらした。
「見なくったって想像つくし。 お前が、橋元をベッドにひき入れて乳揉まれてるとこなんて!」
下品に笑う山下が、私の事を違う色の目で見始めた。
「それでも鷲塚じゃぁ、C級以下の出来具合だろうけどな」
その目がイヤらしくて、間違いなく画像を見たんだと確信した。
「それが嫌なら、信にキッチリ慰謝料払え。500万って言いたいところだけど、300にまけてやる」
信は、もう何も言わない。洗脳されたように、山下の発言に頷いてるだけ。
「慰謝料の件は車で話そうか」「え」
山下が、抵抗する私を車に押し込もうとした。
「……車で?」
「車に俺が作った契約書あるんだわ」
山下は、ニヤリと笑って私の背中を押す。
信のではない、知らない車に乗せられそうになり、10年前の事件を思い出した。
祭りの日。襲われそうになって、車から捨てられたあの夜をーー
「嫌っ!!」
「なんだよ、デカイ声出すなよ」
山下の手を振り払おうとした、その時、
「おー、吉田に山下、お前ら何やってる?」
低く、頼もしい声が、すぐ後ろから聞こえた。
「…… 橋元」
山下と、信の顔に陰りができる。
後ろを見ると、橋元先生がコンビニの袋を提げて、私たちを見ていた。
「三人でプチ同窓会か? 俺も混ぜてくれよ」
先生の顔は、険しかった。
十年前。
橋元先生は、体育会系で、生活指導もしてて、普段は適当な感じで優しかったのだけど、度が過ぎた生徒には、とても厳しかった。
「……ちょうど良かった、話はえーわ」
山下がひきつった笑いを浮かべて、橋元先生に顔を近付けた。
片手には、スマホ。
「これ、あんたも映ってんだぜ? 結構キワドイだろ?」
どうやら、盗撮した画像を見せているようだ。
やっぱり、信は、画像を見せるだけじゃなく、山下の携帯にも送っていたんだ。
ーー最低。
睨み付けると、信はバツが悪そうに、再び私から目をそらした。
「これを広められたくなきゃ、信に結婚破棄の慰謝料払って欲しいって鷲塚に話してたとこなんだよ。何なら、センセが払ってくれてもいいんだ」
一方、画像を見せられた橋元先生は、軽く鼻を鳴らして笑ってた。
「クリスマスイブに、独身の男女がイチャついて何が悪い?」
そして、山下が持っていたスマホを、チョップするかのようにバシッ!!と叩きつけ、地面に落としてしまった。
「アァァぁぁああ!?! 何すんだっ!?」
山下は、落とされたスマホを慌てて拾い、ヒビの入ったガラス面を見て再び、「アァァあ??」と声を上げた。
「壊れてんじゃねーか!!てめぇ、よくもっ!!」
橋元先生の胸ぐらを掴み、キレまくる。
「いくら俺の携帯を壊したからって、データは消えないんだからな?! 慰謝料払わねーんなら ″ 裏ビ ″ だけじゃなくて、ネットでばらまいてやる! わかったんなら、今すぐそこのATMから金おろしてこいっ!」
その姿は、もう、お金の亡者にしか見えない。
「……慰謝料?」
そんな元教え子を前に、橋元先生は、また笑い始めた。
「……な、なに笑ってんだよ? 」
ハラハラと見守る私。
一方、信は、周りの目を気にし、ずっとキョロキョロしていた。
橋元先生は、緩んでいた顔をキッと引き締めて、山下に返す。
「バカか。慰謝料払うのはお前達だ。勝手に撮影された肖像権の侵害、第三者への開示による精神的苦痛、訴えたら示談金でも100万にはなるぞ?」
今度は脅し。
「そう。モザイク無しの商品って、地味でいかにも素人っぽい女の方がリアルで需要あるんだってよ!」
腹黒く笑う山下。
カメラを取り付けたのは信だとしても、見せかけなんかじゃなく、本当の金銭目的で、部屋に侵入したのは、この山下かもしれない。
「……信、見せたの? 他人に見せてもないって言ったよね?」
見せたとなると、また別の罪が生まれてくる。
信は、私から目をそらした。
「見なくったって想像つくし。 お前が、橋元をベッドにひき入れて乳揉まれてるとこなんて!」
下品に笑う山下が、私の事を違う色の目で見始めた。
「それでも鷲塚じゃぁ、C級以下の出来具合だろうけどな」
その目がイヤらしくて、間違いなく画像を見たんだと確信した。
「それが嫌なら、信にキッチリ慰謝料払え。500万って言いたいところだけど、300にまけてやる」
信は、もう何も言わない。洗脳されたように、山下の発言に頷いてるだけ。
「慰謝料の件は車で話そうか」「え」
山下が、抵抗する私を車に押し込もうとした。
「……車で?」
「車に俺が作った契約書あるんだわ」
山下は、ニヤリと笑って私の背中を押す。
信のではない、知らない車に乗せられそうになり、10年前の事件を思い出した。
祭りの日。襲われそうになって、車から捨てられたあの夜をーー
「嫌っ!!」
「なんだよ、デカイ声出すなよ」
山下の手を振り払おうとした、その時、
「おー、吉田に山下、お前ら何やってる?」
低く、頼もしい声が、すぐ後ろから聞こえた。
「…… 橋元」
山下と、信の顔に陰りができる。
後ろを見ると、橋元先生がコンビニの袋を提げて、私たちを見ていた。
「三人でプチ同窓会か? 俺も混ぜてくれよ」
先生の顔は、険しかった。
十年前。
橋元先生は、体育会系で、生活指導もしてて、普段は適当な感じで優しかったのだけど、度が過ぎた生徒には、とても厳しかった。
「……ちょうど良かった、話はえーわ」
山下がひきつった笑いを浮かべて、橋元先生に顔を近付けた。
片手には、スマホ。
「これ、あんたも映ってんだぜ? 結構キワドイだろ?」
どうやら、盗撮した画像を見せているようだ。
やっぱり、信は、画像を見せるだけじゃなく、山下の携帯にも送っていたんだ。
ーー最低。
睨み付けると、信はバツが悪そうに、再び私から目をそらした。
「これを広められたくなきゃ、信に結婚破棄の慰謝料払って欲しいって鷲塚に話してたとこなんだよ。何なら、センセが払ってくれてもいいんだ」
一方、画像を見せられた橋元先生は、軽く鼻を鳴らして笑ってた。
「クリスマスイブに、独身の男女がイチャついて何が悪い?」
そして、山下が持っていたスマホを、チョップするかのようにバシッ!!と叩きつけ、地面に落としてしまった。
「アァァぁぁああ!?! 何すんだっ!?」
山下は、落とされたスマホを慌てて拾い、ヒビの入ったガラス面を見て再び、「アァァあ??」と声を上げた。
「壊れてんじゃねーか!!てめぇ、よくもっ!!」
橋元先生の胸ぐらを掴み、キレまくる。
「いくら俺の携帯を壊したからって、データは消えないんだからな?! 慰謝料払わねーんなら ″ 裏ビ ″ だけじゃなくて、ネットでばらまいてやる! わかったんなら、今すぐそこのATMから金おろしてこいっ!」
その姿は、もう、お金の亡者にしか見えない。
「……慰謝料?」
そんな元教え子を前に、橋元先生は、また笑い始めた。
「……な、なに笑ってんだよ? 」
ハラハラと見守る私。
一方、信は、周りの目を気にし、ずっとキョロキョロしていた。
橋元先生は、緩んでいた顔をキッと引き締めて、山下に返す。
「バカか。慰謝料払うのはお前達だ。勝手に撮影された肖像権の侵害、第三者への開示による精神的苦痛、訴えたら示談金でも100万にはなるぞ?」
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