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fluctuation 変動Ⅲ
終わるとき
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そんな中。
今年に入って、立道の裏切りが発覚。
どのくらいの報酬を受けるか知らないが、闇業者がハッキングできるように仕向け、製品を不活性化させるだけでなく、大事な情報を流出させた。
奴が逃げるように辞める際、
「奥田とはやっていけない」
俺に向かって、殺意すら感じる憎悪の目を向けていた。
ゾクッ……とした。
人当たりには自信があった俺は、今まで、誰かに恨まれた事なかったからだ。
自分は、うまく泳げているはずだった。
……プラス、会社への不審。
立道を在職させた後悔。
客先からのクレームの嵐。
失った信頼と損失を取り戻すのには、心労を重ねた。
本当は、ストレスで死にそうだった。
その、やり場のない捌け口を、つい伊織にぶつけた。
「挿れにくい、もっと腰あげろよ」
酔ってたとはいえ、女をあんなにひどい扱いしたのは初めてで、その行為は、きっと伊織の心を深く傷つけたに違いない。
彼女は、暗闇の中に、飛び降りようとした。
「いい加減にしろ!」
焦った。
慌ててその身体を抱き止めた。
我に返り、俺の鼻血を心配するあたり、本当に衝動的だったんだろう。
俺は、彼女が落としてしまった靴を拾いに行った。
そういえば、 会議室で抱いた時、靴を履かせたな。
従順だった女の、精一杯の自分の意思表示ーー
俺には衝撃的だった。
自殺行為に走っていた姉さんと重なった。
「会社を辞めるなよ」
もう、鷲塚伊織を追い詰めるのは止めようと思った。
そして。
俺は、また一つ、間違いに気付く。
正月に姉さんに会いに行った時だった。
今年に入って、立道の裏切りが発覚。
どのくらいの報酬を受けるか知らないが、闇業者がハッキングできるように仕向け、製品を不活性化させるだけでなく、大事な情報を流出させた。
奴が逃げるように辞める際、
「奥田とはやっていけない」
俺に向かって、殺意すら感じる憎悪の目を向けていた。
ゾクッ……とした。
人当たりには自信があった俺は、今まで、誰かに恨まれた事なかったからだ。
自分は、うまく泳げているはずだった。
……プラス、会社への不審。
立道を在職させた後悔。
客先からのクレームの嵐。
失った信頼と損失を取り戻すのには、心労を重ねた。
本当は、ストレスで死にそうだった。
その、やり場のない捌け口を、つい伊織にぶつけた。
「挿れにくい、もっと腰あげろよ」
酔ってたとはいえ、女をあんなにひどい扱いしたのは初めてで、その行為は、きっと伊織の心を深く傷つけたに違いない。
彼女は、暗闇の中に、飛び降りようとした。
「いい加減にしろ!」
焦った。
慌ててその身体を抱き止めた。
我に返り、俺の鼻血を心配するあたり、本当に衝動的だったんだろう。
俺は、彼女が落としてしまった靴を拾いに行った。
そういえば、 会議室で抱いた時、靴を履かせたな。
従順だった女の、精一杯の自分の意思表示ーー
俺には衝撃的だった。
自殺行為に走っていた姉さんと重なった。
「会社を辞めるなよ」
もう、鷲塚伊織を追い詰めるのは止めようと思った。
そして。
俺は、また一つ、間違いに気付く。
正月に姉さんに会いに行った時だった。
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