ー密 会ー溺れる前に抱き止めて 【最後にSS】

光月海愛(こうつきみあ)

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outflow 流出

盗撮

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  私が着替えてる画像に、橋元先生と抱き合ってる画像ーー
  勿論、どれもを私の部屋でのモノ。

   信……もしかして。

   盗撮してるの?

  どうやって?



   ーーーまさか……


   Ririririririr!!!!

   ある答えにたどり着いたところで、今度は電話がかかってきた。
  シカトしたかったけれど、葉築さんが不審がるので直ぐに取った。

  「もしもし? 見た? 写真」

  電話の信の声が、全く知らない男みたいに聞こえる。

 「…… 隠し撮りでもしてるの?」

  激しい動悸で、呼吸が苦しかった。
  葉築さんが驚いたように、こちらを見ている。

 「さぁ……でも、動画もあるよ」

 「……最低……何がしたいの? 脅し?」

  ちゃんと怒りを表さなきゃ。
  そう思うのに、怖くて声は震えていた。

 「最低? 伊織に言われたくねーな。てっきり会社の男とデキて、結婚破棄にしたのかと思ったら、
まさか、相手はあの橋元だったなんてさ!お前、ずっと、俺が知らないと思って橋元と二股かけてたんだろ!ふざけんなよっ!!」

 「先生とは、とっくに終わってるわよ」

  まさか、あの夜のことも盗撮されてたの?

  怒りと羞恥で、スマホを持つ手まで震えた。


 「は?! 終わった男女がクリスマスにベッドでいちゃつくかよ? しっかり映ってるからな!橋元がお前ん中にアレ突っ……」

  ブツッ!!!!

  これ以上聞くに耐えなくて、電話を一方的に切った。

  ドクドクしながら、電源も切る。

  顔を上げたら、ずっと私を見てる葉築さんと目が合った。


  「元カレ……?」


 「……そう、彼です。去年、駅で会った……」

  葉築さんには聞かれたくなかった。

  特に……、

  「盗撮するなんてよっぽど執念深いんだな……さっき言ってた先生って……?」

  橋元先生と会っていたこと。
  知られたら、ますます嫌われてしまうから…。

 「信の誤解です。先生は、元教え子のために防犯グッズを取り付けてくれただけで…」

  お姉さんのこと、何か話してくれようとしたのに。

 「……そうか。なんか飯どころじゃなくなったな」

  表情が曇った葉築さんを見て、もう、無いんだなと思った。

  信頼を取り戻すこと。

 「……お疲れ様でした」

  一礼して、退勤のカードを押していると、

 「何で先に行く?」

  葉築さんが慌てたように追ってきた。

 「……え?」

 「飯じゃなくて、先に鷲塚さんの部屋に行こう。
盗撮カメラを探すんだよ」


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