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変化

人違い

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  捕獲って!?

「ちょ、離して……」

  お面の下から発した声は、こもって相手に聞こえているのかも微妙。

「ねね、なんで最近、スカート短けぇの?」

  抱きつく男子は、マントの上から身体を無遠慮に触り始め、

「当然、男ウケのためだろ?」

「二学期になってからだよな?」

  他の二人は笑いながら囃し立て続ける。


  ーーこの人たち。
  始めから、暗がりの中で、野沢さんにイタズラするつもりで入ってきたんだ。

「私、野沢さんじゃないから!」

「あ?」

  しつこく触る手から逃れようと、しきりにもがく。

「じゃ、お前、誰なんだよ?」

  見ていた一人が私に近づいて、お面を上へとずらして、顔を覗き見た。


「やべ。こいつ、野沢じゃねぇ」


 ようやく、イタズラな手が私の身体から離れてくれた。

「どーりで、小さいと思った、胸」

「野沢のサイズなんか知らんやろ、お前」

「いや、見ただけでDはあるはずだもん」

「俺ー、いつもパンツ見えねーかなって思ってる」

  ギャハハ!と、他の二人も野沢さんをネタにゲスな話を始めた。

 ……なに、この人たち。
  野沢さんと仲いいわけでもないんだ。
  これじゃ、ストーカーとか痴漢の類いじゃない。

  野沢さんに教えなきゃ。

  私は、ずらされたお面を再び被って、

「……他のお客さん来たので、退館してもらってもいいですか?」

 平静を装った声で、3人に出るようにお願いした。

  もちろん、誰か入ってきたという連絡はないのだけど。

「あ? 何か言ったかブス」
 
  そんなお願いなんかもろともせずに、3人は悪乗りしたまま横暴な行動に出る。

「こんなつまんねぇお化け屋敷に人なんか入るかっつーの!」

  美術部に協力してもらって作った発泡スチロールの墓石を、

「この墓もショボッ!」

  笑いながら蹴り倒した。

「止めて!」

  おもりを付けていたとはいえ、いともかんたんに破壊されてしまう。

  これは、もう誰かに来てもらうしかない。

  ポケットに入れていたスマホに手をやると、ちょうど着信していてブブブと揺れていた。
  慌てて電話を取るも、

「も……」
「ブス!チクンじゃねーぞ!」

  奪われて切られてしまう。

 そのうえ、

「キャっっ!!」

「とりあえず野沢が入る時間帯教えろ」

  暗がりの中、羽交い締めされるように脅された。


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