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三 未解決事件
メッセージ
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その夜、橋本先輩は家まで送ってくれた。
この前も感心したのだけど、橋本先輩は鳥居をくぐるとき、社殿に向かってちゃんと一礼していた。
やっぱり、普通の高校三年生じゃない。
霊能以外に、何か、私達には想像つかない秘密を持ってる気がしてならない。
「あの、つかぬことを訊いてもいいですか? 本当につまらないことです」
「なんだよ、あらたまって」
こう言えば途端に構えちゃうから、この人はやっぱりガード固いなぁとも思ってしまった。
「橋本先輩って、何か、その……実は重い病気だったり、します?」
「なんでそう思う?」
「この前、一年生の女の子に″誕生日にはこの世にいない″って言ったと聞きました、それで……」
皆は、女の子をふる時の先輩なりの決め台詞だって言ってるけど、私は、そうは思えない。
「心配してんのか?」
「そ、それはそれなりに! 尊敬してる先輩だし、あ、こ、……――」
″憧れている″ と言おうとして止めた。
そんなこと言ったら次の日からシカトされそうだ。
「ご心配なく。俺は、病気ではないよ。でも、山城も知ってるように、近頃、俺は厄介な事に足を突っ込みがちだから、それによって、命を削ってるような気がしただけ」
「……本当に?」
「あぁ」
「……そう、ですか」
何となく誤魔化された気がした。
何か、悩みを抱えてるなら、私みたいな役立たずでも打ち明けてほしい。
別に自分が少し霊感あるから、というだけでなく、先輩とはもっと繋がっているべきだと、何故か本能的にそう思ってしまう。
「じゃあ、おやすみ。今日はありがとな」
先輩が、闇に不似合いな、爽やかな笑顔を見せた時だった。
二人のスマホが同時に鳴った。
それは、弓道部のグループメッセージだった。
【三年の堀 賢吾くんが昨夜から帰宅してないと保護者より連絡ありました。電話は繋がらずメッセージも既読になりません。彼の行方を知ってる方、身辺の異変、どんな些細な事でも構わないのでご存知の方は弓道部 顧問もしくは学校までご連絡ください】
私と橋本先輩は、顔を見合わせた。
まさか――
この前も感心したのだけど、橋本先輩は鳥居をくぐるとき、社殿に向かってちゃんと一礼していた。
やっぱり、普通の高校三年生じゃない。
霊能以外に、何か、私達には想像つかない秘密を持ってる気がしてならない。
「あの、つかぬことを訊いてもいいですか? 本当につまらないことです」
「なんだよ、あらたまって」
こう言えば途端に構えちゃうから、この人はやっぱりガード固いなぁとも思ってしまった。
「橋本先輩って、何か、その……実は重い病気だったり、します?」
「なんでそう思う?」
「この前、一年生の女の子に″誕生日にはこの世にいない″って言ったと聞きました、それで……」
皆は、女の子をふる時の先輩なりの決め台詞だって言ってるけど、私は、そうは思えない。
「心配してんのか?」
「そ、それはそれなりに! 尊敬してる先輩だし、あ、こ、……――」
″憧れている″ と言おうとして止めた。
そんなこと言ったら次の日からシカトされそうだ。
「ご心配なく。俺は、病気ではないよ。でも、山城も知ってるように、近頃、俺は厄介な事に足を突っ込みがちだから、それによって、命を削ってるような気がしただけ」
「……本当に?」
「あぁ」
「……そう、ですか」
何となく誤魔化された気がした。
何か、悩みを抱えてるなら、私みたいな役立たずでも打ち明けてほしい。
別に自分が少し霊感あるから、というだけでなく、先輩とはもっと繋がっているべきだと、何故か本能的にそう思ってしまう。
「じゃあ、おやすみ。今日はありがとな」
先輩が、闇に不似合いな、爽やかな笑顔を見せた時だった。
二人のスマホが同時に鳴った。
それは、弓道部のグループメッセージだった。
【三年の堀 賢吾くんが昨夜から帰宅してないと保護者より連絡ありました。電話は繋がらずメッセージも既読になりません。彼の行方を知ってる方、身辺の異変、どんな些細な事でも構わないのでご存知の方は弓道部 顧問もしくは学校までご連絡ください】
私と橋本先輩は、顔を見合わせた。
まさか――
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