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エルフの寵児
しおりを挟む私とクロイツの多大な精神的疲労と引き換えにその規格外エルフに会いにいける事になりました。
いや、本当に私はエルフ族と相性がとことん悪いと改めて思わされたよね、思い切り。
出来れば、今日、集落に泊まらず帰りたいぐらい。
いっその事、温かい我が家……屋敷? に帰って此処の事をエルフ族ごと綺麗さっぱり忘れたい。
それか、この際文句は言わないから野宿でいいのでエルフ族のいない所に行きたい。
あ、さっぱり忘れるにしても風の神殿の事だけは覚えて居たいけど。
……我が儘じゃないと思うよ?
「<会う前から精神疲労が大きすぎて、既に嫌になってるんだけど。どうしようか?>」
「<んなもんオレもだからな? いっそ今から断っちまえ>」
「<それが出来たら苦労しないんだよねぇ>」
約束した手前、気分一つで破棄する事は出来ない。
そこまで私も堕ちてない。
と、いうか我が儘お嬢様ではあるけど、その方向性は無理。
私のプライドが許さない。
……一応私にもプライドはありますからね?
そりゃ、まぁ都合よく放り投げる事が出来る代物ではありますが、そんな事するのは緊急事態だけですし……多分ね?
何はともあれ、今は勢いよくぶん投げる場面ではない事に内心溜息を吐く。
まさか、此処まで精神的疲労が大きいとは。
私としても想定外過ぎて対処しきれないってのが本当の所である。
「<あー。疲れる。というか、まさか此処までエルフ族と相性が悪いとは>」
「<オレもそう思う。いや、本当にエルフ族が幻の存在で良かったな、互いに>」
「<まぁね。……ん? いや、理が違えば性質も違うから、幻じゃないエルフ族だったら、こんなに相性悪くないと思うけどね? 幻じゃないエルフってなんだろ?>」
「<落ち着け。これ以上の混乱はいらねー。……あー、まーいいたいことは分かるが。確かにな。そうとも言えるかも、な。オマエもオレも相性が悪いのは相手が“善人”だからだしな>」
「<んー。そうなんだけど、それだけだと語弊があるような?>」
確かに私もクロイツも根本的に“善人”との相性はあまりよくないとは思う。
冒険者ギルドの受付のお兄さんの善意も「ちょっとなぁ」って思ったし。
けれど、お兄さんには此処までの居心地の悪さは感じなかったし、お兄さんには別に二度と会いたくないとまでは考えなかった。
多分私達は善人である事自体は別に良いのだ。
世の中全て悪人である、なんて破滅思考は無いし、そんな無法地帯はむしろゴメンである。
善良である事は悪い事じゃないし、多少思う所があったとしてもいちいち気にしてはいられない。
当然、善人を全員偽善者と思う程捻くれているつもりもない。
「<ん? じゃあ何で私はエルフ族を此処まで拒絶してるんだろう?>」
「<リーノ?>」
「<混乱してきたなぁ。あー。んー? えぇと、さ。私もクロイツも別に善人を全員偽善者だ、なんて極端な事は考えてないよね?>」
「<まーな。流石にそこまでは考えてねーよ>」
「<だよね。ついでに言えば善人だからってイコールで拒絶する事もないよね? そりゃ多少思う所はあってもさ>」
ギルドのお兄さんみたいなさ、と付け加えるとクロイツも納得し頷いた。
「<そーだな>」
「<じゃあ、どうして此処まで私達はエルフ族の“善性”が鼻につくのかな?>」
理由の一つは無意識に同格に見られていないって事だと思う。
エルフ族は人族を「弱く、庇護しなければいけない存在」として見ている。
向けられる慈愛は基本的に愛玩動物への向けたモノと同じ代物と言える。
好意というフィルターの無い私達はそれをモロに感じ取ってしまう。
だからこそエルフ族の「善意」に対して思う所、言ってしまえばプライドをガリガリと傷つけられている気分になっているのだろう。
とは言え、それだけで此処まで鼻につく、拒絶寸前までいくものだろうか?
もしかして知らぬ間に後一押しされたのだろうか?
だとすれば、最後の駄目押しはなんなんだろうか?
「<よくよく考えると、今回の長の言動が一番鼻についた、かな? え? 何で?>」
「<確かになー。オレもあれで再確認したな。あの言動はすっげぇ腹立った>」
「<つまりダメ押しと言ってもいいのでは? じゃあどこの部分に?>」
今回の頼み事に殿下達、誰よりもリアが反対した。
叔母は積極的には否定しないけれど、あまり良い顔はしなかった。
逆に長はもろ手を挙げて賛成し、嬉々として反対するリア達を説得すらした。
とは言え、流石にそこが引っかかるわけじゃない。
じゃあ一体何処?
「<押し付けられた善意? 当然と言った態度? 断られると思っていない傲慢さ? ――ああ、そっか>」
私はエルフ族の「自分がそうだから、他人も同じようにするのが当たり前」という態度が気持ち悪いのか。
考えてみれば案外簡単に答えはでてしまう。
あまりの単純さに内心苦笑する。
「<今回、あのエルフの頼み事を受けるも受けないも私の心持ち一つ。決定権は私にあったはずだった。だって言うのに、あの長は“私が引き受ける事自体は当然だと言う前提で話をしていた”>」
「<あー>」
「<あの長は私が条件を付けて、それでも渋々頼み事を引き受けたと、ちらっとも思ってない。そういう思考が存在している事さえ理解しているかどうか。だって長は一言だって私に“頼み事を受けた事への礼も謝罪もなかったのだから”>」
エルフ族はそんな人が存在する事すら知らない。
だからそういった思考すら存在しない。
今回だって私はエルフの頼み事を快く受けたのだと、そこを疑わない。
疑う以前に考えもしない。
だって、自分達は頼み事をされれば何の打算も迷いもなく引き受けるのが“当たり前”だから。
流石に先約や頼まれた時点で何かをしていれば、引き受けないだろうが、今回のようにその場で解決しない頼み事の場合は自分の用事を済ませた上で頼み事を引き受けるに違いない。
たとえ、その後が自分にとって余暇や別の何かをしようと思っていた時間だったとしても。
更に言えば、その頼み事をしてきたのが、殆ど知らない、赤の他人当然の人間からの頼み事だとしても、返答は微塵も変わらないのだろう。
彼等は快く頼み事を引き受ける、その様がまざまざと思い浮かぶ。
なによりも、自分達がそうだから、私達もそうだと決めつけている。
嫌、違う。
私達が違う思考を持ち、違う言動をとる、という事すら考えもしない。
私達と貴方は全く違う生活環境で育った“全く思考を持つ存在”だというのに。
ああ、気持ち悪い。
この世界には数多の思考があり、数多の考えが存在しているというのに。
しかも嫌な類似点にも行き当たり私は顔を顰める。
吐き気が込み上げてくる。
「<物語の聖女サマや勇者サマも、そう。自分達がとんでもない重要度の高い旅をしてようとも、立ち寄る村で困りごとがあれば首を突っ込み、頼まれれば全身全霊で解決する。時には命をかけてさえ。そこで死んでしまえば旅は失敗。最悪世界自体が滅んでしまうかもしれないのにね?>」
「<物語ってのはそうじゃねーと盛り上がらねーからなー。が、物語だからあれはいいんだよな。もしも現実にいたら相当バカだよな。けどまぁ傍から見りゃそーいう奴等も善人ではあるな。善性であることは悪いことじゃねーしな。が、他人にもそれを押し付けるのはいただけねーってこった。――――吐き気がするぜ>」
「<ええ。本人が善人であるからこそ、そうではない他者が責められる。違う存在だっていうのに。自分とは違う思考があり、言動があるのも当然。けど、絶対それを認めない>」
「<そこまで偏ってると本当の善人とは呼べねーけどな>」
「<そうね。それはただの善意の押し付け。けど、見極める事は極めて難しく、大抵は一緒くたになっている。厄介なのは何処までも清廉潔白であるからこそ、他者の汚れに気づかず、善意を簡単に他者へ押し付ける。当たり前のようにね。押し付けられた方はどれだけ理不尽だと感じても受け取るしかない。腹立つ事に全ては仕方ない事になってしまう。だって彼や彼女等は汚れを知らないし、知ろうとしないのだから。はなから交渉にすらならない。割を食うのは何時だって相手の方>」
現実にいれば厄介でしかない人種。
それが、この世界のエルフ族だと言うのだから笑えない。
作り上げられた善性だとしても、相対する身としては勘弁してほしい。
会う人族の全てからの好意的な言動。
更に獣人族とほぼ会う事のない現状。
そんな環境がエルフ族の傲慢な善意を此処まで育て上げた。
「<根が深いなんてものじゃないわね。もはや魂に刷り込まれているレベルでしょう、これ>」
「<だな。そしてオレ達と相性が悪いわけだ>」
「<当たり前と言えば当たり前だったのね。結局我が儘同士が一緒に居られるわけがない>」
私達は自分達が傲慢であると自覚し、それでも貫くと決めているこの意志が我が儘だと自覚している。
エルフ族は自分達が傲慢である事に無自覚だからこそ変わる事は無く我が儘を振りまく。
我が儘同士の相性が良い訳が無い。
「<関わらないのがお互いにとって一番平和ね>」
「<だな。特に自覚がある分、オレ達のストレスにしかならねーし>」
「<本当にね>」
叔母がこの場所に私達を連れて来た事にはきっと理由があるはず。
それを無碍にしてしまう事に少しだけ申し訳ない気持ちになる。
なりはするが、無理なものは無理なのだ。
まさか、叔母も私とエルフの相性が此処まで悪いものになるとは思いもしなかっただろう。
けれど、こればっかりは仕方ない。
だって、私自身、此処までエルフ族と相性が悪いとは考えてもみなかったわけだし。
まさに青天の霹靂である。
ある種、出会い頭の事故にあったようなものだ。
申し訳ないが叔母の願いが叶う事はないだろう。
はっきり言って、何を頼まれても全力でお断りするのだから。
それくらい私はエルフ族と共に居るのは苦痛なのである。
「<見かけだけは極上なのにね? 完全に観賞用だわぁ>」
「<あぶねー発言だなー、それ>」
「<まーねー。そうとも思ってないとやってられないからだし。普段はこんな事考えないけどねぇ>」
ヒトをモノのように考えるのはあまりに非道な思考である事は重々承知である。
犯罪を助長する気も更々ない。
ただ、そうでも思ってないとやってられないぐらい消耗しているだけである。
元々、容姿にはあまり頓着しないのだ、私は。
いやまぁ、キースダーリエの容色は最高品だから、ケアはしてるけど。
これ、自身のケアを怠り、この容色を損なったら結構な損失じゃん。
……自分の事だと考えると気持ち悪い思考なんだけどさ。
「<観賞には最適、ぐらいに考えてないとストレスが溜まってしょうがないのよねぇ>」
「<ああ。人形だと思えば耐えられる、か>」
「<まさに人でなしの発想なのは分かってるんだけどさぁ。単純に現状が辛い>」
隠せない弱音を漏らせばクロイツにも同意される。
まさか精神攻撃がここまで辛いとは。
……今度やってみようかと考えている所、つくづく私は善人にはなれそうにない。
「主」
「なにかしら?」
実はついてきていたザフィーアの声かけに僅かに歩みを緩めると首だけで振り返る。
ザフィーア、いやルビーンも何処か剣呑な眼差しで案内しているエルフを見ていた。
実は彼等の同行を長は最初渋った。
私が行く事は確定事項だったってのに、獣人である二人が護衛としてつく事は何故か中々了承しなかったのだ。
危険なんて無いとか、ノエル? 多分目の前のエルフが居るから問題ないとか。
色々言っていたけど、どうも獣人が自分達の可愛い可愛い彼とやらに会って欲しくない、と思っているらしかった。
あの長は警戒心なんてドコゾに放り投げていると思っていたが、どうやら知識としては何やら色々知っているらしい。
考えてみれば噂の膨大な資料はエルフ族の叡智である。
長ともなれば一通り目を通していてもおかしくはない。
そこで人族に対しての認識にまで至らない所、典型的な“知っている”だけで身になっているとは言えないが。
ともかく、渋る長を色々説得し、二人の同行を認めさせた。
あの一件で私が自分達に友好的ではないと気づいているのかいないのか。
いや、気づいていても脆弱な人の身だと無意識に侮っているって所なのだろう。
「(どちらにしろ、やっぱり警戒心は死んでるよね)――……今は何もしてはいけませんからね」
「“今は”ネェ」
裏を読み取り哂うルビーン。
「正確に言えば、彼方が何もしていない“今は”ですけれどね」
現状、こっちから手を出せばあっという間に此方が悪者だ。
此方の精神的疲労なんて知るはずもない彼方に一方的に糾弾されるなんて冗談じゃない。
「(それに、これでも私は平穏が好きなのだ)」
この世界に転生してからこの方、平穏なんて感じた事は殆ど無いけれどね。
色々と苦い思い出が脳裏を過ぎ去り、密かにため息をつく。
「何もなければよいのですけれどね」
クロイツが「<それってフラグっていうんじゃね?>」と笑っていたが、黙殺する。
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