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エルフの中でも厄介なヒト(4)
しおりを挟む好奇心旺盛、というよりも一歩間違えると危ない域まで達しているエルフはある程度話をした事で落ち着いたらしく(多分)私達を自分達の集落へと案内してくれた。
どうやら先程の姿が素で初対面の時のは外行用の言葉使いと態度だったらしい。
どっちもどうかと思ったのは私だけだろうか?
後、道中で叔母との関係を聞いたが、叔母とエルフの出逢いはとある遺跡だったらしく、そこで意気投合、以後互いに研究を教え、議論するいわゆる研究仲間? と言う奴らしい。
分野が違うからこその仲なのか、それともエルフだからこそなのかは分からないけど、結構仲が良く、見える。
生きた年数の違いか、それとも残っている文献や知識の差のせいか、叔母が教えを受ける側の事が多いらしいし、叔母の研究にエルフの存在は不可欠とまでは言わないが、助言がなければ行き詰ってもおかしくはない、らしい。
その事を踏まえると、先程の叔母の言葉は相当な衝撃をエルフに与えた事だろう。
後でその話を聞いた私も未だにあんな事を言った叔母を計りかねているのだから。
と、それはともかく、二人共好奇心旺盛で研究馬鹿な所があるのは確かっぽい。
今更だけど助言をしているって事は同じ分野なんだろうか?
「(まぁ叔母とエルフさんの場合、同じ分野の研究とは言っても利権の取り合いとかなさそうだけど)」
そもそもこの世界では利権争いとかあるのだろうか?
……いや、ありそう、ってかあるよね。
滅茶苦茶普通にあるでしょう。
むしろ研究者の中こそ貴族と平民は仲悪そう、というよりも貴族が平民から手柄を奪って、とか横行してない?
調べないと分からないけど、取り締まる法とかもなさそう。
そう言う意味では王国は貴族の強い国だし。
結果として、研究者の中で貴族と平民との間にはふかーい溝ができてます、と。
「(うわぁ、簡単に想像できたんだけど)」
そういう意味では叔母が研究者ってのは凄い事なのかも。
女である事で貴族から侮られて、貴族である事で平民から距離を置かれる。
はっきり言って、その状況でよく研究なんて出来るものだ。
「(あ、だから【探究者】になれた? そりゃそうなるわ。後、利権の関係無いエルフと仲良くなるのもそういった事が関係してそう)」
単純に意気投合しただけかもしれないけどね。
案外、人族には優しいヒトなのかもしれないし。
ただ私はこのエルフと仲良くなるのは無理。
リアを傷つけた事を悪びれてない時点で絶対無理。
今後、このエルフと私が親しくなる日はこない。
幾ら、彼がこの世界の真理に詳しいとしても。
「<そう言えば、あのエルフ。随分【世界の真理】とやらに詳しかったような?>」
「<エルフって言う種族がそーなんじゃねーの? ほら、あんだろ? 世界の守り人? みたいな?>」
「<あー。ありがちと言えばありがちな設定ね。けど、どうなんだろう?>」
考えてみれば獣人族の集落の長も何かしら知っていて継承者であるルビーン達に書を託した。
場所を貸している代わりに文献を読む権利を貰っているけど(一応そういう事になっている。本人達は譲渡した気満々だけど)まだ全部読んではいない。
けど、もしかしたら、あの書の全てを読み解けば私も世界の真理とやらに近づけるのかもしれない。
いまいち気分が乗らないけど。
「<ただなぁ。この世界の錬金術だと意味合いがなぁ>」
「<オマエな、【念話】でひとり言を言ってんじゃねーよ>」
「<あ、ごめんごめん。いやさ『前世』では錬金術って学問だったでしょう? 更に言えば錬金術という学問の最終目標地点は世界の真理を解き明かす事、だったはず>」
「<そうだったか? あー? いや、そうか? オレは金を造るための学問的なイメージなんだが?>」
「<ちょっと私もうろ覚えだから、確かな事は言えないけど、そういった感じだったはず。……でさ。この世界での錬金術ってちょっと違うと思わない?>」
「<この世界での錬金術ってのは魔力を使った物質創作魔法って感じだな。学問として学術体系化はしてるみてーだが、目標は別に世界の真理ではない、よな?>」
「<と、私は今の所判断してる>」
少なくとも、現時点では錬金術の最終目標が世界の真理を解明する事ではないと思っている。
『ゲーム』では賢者の石なんてものも創ってたけど、あれ、普通に回復用アイテムだったしなぁ。
流石にこの世界では失われたレシピの魔道具なんて扱いでもおかしくないと思うから、お手軽に錬成出来る物ではないのは確実だ。
そして錬金術を極めても別に世界の真理は解明できない。
いや、錬金術という学問を使って真理を究明する研究者なんかはいそうだけど。
あくまで手段というのかアプローチ方法って感じだと思う。
「<んで? 何で錬金術に関して真面目くさって考えてんだ?>」
「<ん? いやさ。錬金術に関係無いのに、ルビーン達が貸してくれた書物を全部読み解くのはモチベーションが上がらないなぁ、と>」
「<そこかよ。オマエって案外面倒くさがりだよな>」
「<興味の有無に凄く影響されるんだよねぇ、私って>」
人間関係もそれで済まそうとするから良くて変わり者、悪いと人でなしになるわけだけど。
最低限はやってるし、そんなに文句言わなくても良いと思うんだけどねぇ。
「<ルビーン達から預かっている書物自体は読んでいて面白いし、いつかは全て読みたいとは思ってるけど、優先順位の面から考えると、ねぇ?>」
「<然程高くねーと。って別に直ぐによまねーとならねー理由もないし、いーんじゃね?>」
最もと言えば最もなんだけどさ。
ここにきて、それだと少し危機感を感じたり?
「<獣人族もエルフ族もこの世界の理に関して詳しいと思わない?>」
「<んあ? あー。そういやそうか>」
「<そう。抑止力、又は枷と言っている神々の祝福を私達、人族だけが知らない。その事実が気持ち悪いんだよね>」
「<理を知らないこと自体は問題ねーが、俺達だけ知らないってなると話は別、か>」
「<そういう事>」
私やクロイツは『地球』で生きて来た頃からそうだったから、獣人族がこの世界の神々や理について詳しくてもあまり気にならなかった。
ただ獣人族はそういったモノに対して詳しい知識を得る方法があったのだな、で済む話だ。
ぶっちゃけてしまえば獣人族はこの世界に置いて“そういう役割”を割り振られているのだと考えれば良い。
けれど、ここでエルフ族が現存しており、更にこの世界の理に詳しいとなると話は変わってくる。
人族と獣人族、ドワーフ族、そしてエルフ族。
この世界の大まかな種族の内人族だけが、それを知らない。
そこに何かしらの意図を感じてしまうのは私がひねくれているせいだろうか?
三つ巴と言える三者の中で人族だけ、詳細を知らないのは、知る方法が失伝したのか、神々の意図か。
前者ならば人族は愚かというだけだが、後者の場合、人族は神々にとって悪い意味で特別という事になる。
「<獣人族のような高い身体能力を持たず、エルフ族のような高い魔法素養を持たず、ドワーフ族のように強靭な肉体を持たないが故に悪知恵も卑怯な手も普通に思いつく人族。そんな人族に理を知られれば抜け道を見つけられると思った――なんてね>」
「<たいそー性格の悪い神々だな>」
「<ま、推測すらクロイツにしか言えない秘密事だけどね>」
神々に対するスタンスが違う過ぎて言えない。
流石に私でもそこは配慮せざるを得ない。
この世界の異端だが、異物として排除されたくはない。
なにより家族に、その事で嫌われたら死にたくなるし。……いや、死なないけどさ。
「<単純に神様がポンコツな可能性もあるけどねぇ>」
「<それはそれでこの世界のやつにはいえねーな>」
「<だよねぇ>」
何方にしろ不遜すぎる。
なんて神々に対して色々考えているとエルフに声をかけられてしまった。
「君はどう思う?」
「え? はぁ、申し訳御座いません。お話を聞き逃してしまったようです」
と、言うか「<私って話しかけられてた?>」なんてクロイツに聞いたら「<いや、一人でくっちゃべってなかったか?>」なんて返ってきた。
どうやら本当にそうだったらしく、エルフは叔母に背中を叩かれた。
「貴方、何時ものように一人で喋り倒していましたわよ?」
「ああ、それはすまない! この溢れんばかりの思いを言葉にしていたのだけれどね。どうやら肝心なことを言ってなかったらしい――ねぇキースダーリエ嬢? 君のその【スキル】はどうすれば習得できると思う?」
「その、とは、【魅了完全遮断】のことですか?」
「そう! 今まで【半減】や【軽減】された話を聞いていたけれど、君のように【遮断】は初めてなんだ」
「ワタクシが嘘を言っている可能性もありますけれど?」
「いや、それはないね! だって君は僕を“嫌悪”しているじゃないか! それこそ証拠になるのさ」
いや、リアも含めて皆さん結構引いてますけどね。
内心突っ込んでしまう程度には言いたい事は分かるが、微妙に納得したくない。
なんて他所事はともかく。
「習得条件、ですか」
私が他の人と違う所なんて【神々の気紛れ】にあった事ぐらいだ。
実際クロイツも習得している節があるし、前提条件に入っていてもおかしくはない。
けど、それよりも問題なのは神々に対する不信に近い、疑心が必要かもしれないという事実だ。
この世界は神々を疑わない。
神々と近しいためか、他の理由か。
……もしかしたらこの世界に生誕した時点で強力な刷り込みがあるのかもしれない、とは流石に考え過ぎだろうか?
けれど、私がこのスキルを習得した時の事を思い出すと、どうしてもその疑心が拭えないのだ。
あの時、私は「わたし」の言葉を完全に否定した。
もし、あれがこの世界でうまれた「わたし」に刷り込まれたモノから生まれた言葉だとしたら?
私がこのスキルを習得した事に説明がつく、のではないかと思うのだ。
つまり、このスキルを習得する絶対的条件は……――
「(――……神々に対する、ある種の訣別)」
幾ら修練しようと、この世界に生まれた存在は決して習得する事は出来ないスキル。
「(此処まで行くと【ゼルネンスキル】かと疑ってしまう)」
実際、習得する事の出来る存在なんて数える程しかいないだろうけど。
「(さて、と。自分の中で筋は通ったけど、問題は全く解決してないのがなぁ)」
顔を上げるとエルフと叔母は目を輝かせているし、殿下達もさりげなく気になっているらしく此方を気にしている。
困る。
素直に推測を話す訳にはいかないからとても困る。
じゃあ【神々の気紛れ】の事を言えば良いのか?
「(いや、それもダメだ)」
リアに殿下達、そしてクロイツは知っている。
けど、ルビーン達や叔母、何よりもエルフは知らないし話したくない。
何故、私にとってかなりの秘密を彼等に暴露せねばいけないのか。
しかも話す事での私に利は一切ない。
つまり、話す気にもならない。
代理の案も却下となると……。
「さぁ? 激しい頭痛に襲われ、それが治まったらスキルを習得致しましたので、ワタクシにも理由は」
……しらばっくれるしかないでしょう。
習得条件だって推測に推測を重ねている状態なのだし、問い詰められてもそう言えば良い。
それ以上聞き出そうとしても私には口を割る理由などないし、魅了は効かない。
警戒は必要だが、無理強いはしてこないだろう。
そんな事をすれば余計、私は口を閉ざすと、この短い期間の付き合いで分かっているだろうし。
「(それが分からない程盲目になっているならば、むしろ好都合。あしらってあげれば良いだけ)」
私は困った風を装い笑う。
さぁ、どうでるかな?
挑むように、からかうように微笑むとエルフもニッコリと笑った。
――戦闘開始、かな?
先制攻撃を仕掛けて来たのは当然エルフからだった。
「ちらっとも思いつかないのかい?」
「ええ」
私は言葉少なに返す。
「推測ぐらいはたてられていそうだけれど?」
「過大な評価、有難う御座います。なれど、このような事はワタクシも初めてに御座いまして」
「何て奥ゆかしい! けれど、この場には君の言葉を蔑ろにするヒトなどいないよ? さぁ心のままに話してみないかい!?」
「さて。強いて言えば激しい頭痛というのは珍しいかもしれませんけれど、何故そうなったのかまでは分かりませんもの」
笑い交わすと、今度はアプローチを変えて来た。
「そうか。なら、僕と一緒にその原因を追究してみないかい?」
巧い手かもしれないけど、おあいにく様。
私にその申し出を受ける理由はありませんよ?
手を差し伸べたエルフに私はすっと一歩下がるとカーテシーにて頭を下げる。
「申し出は有難く存じます。ですが、ワタクシはまだ若輩者に御座います。研究を生きる全てになさっている方と共に研究するなど、とてもとても。突然の事に困惑し、情報も提供できぬ愚か者であるワタクシなど捨て置いて下さいませ」
シンと場が静まりかえる。
卑下しまくった言葉だが、実の所、絹を着せぬ言わせてもらえば「おとといきやがれ」だ。
貴族相手ならば、此処まで卑下すれば私を侮る。
その結果、色々な事を暴露してくれたり、本性を表してくれるわけだが。
まだ幼いからこそ出来る事だし、次期当主などの場合は家名に傷が付きかねないので、多用出来る方法ではないが。
少なくともこの場合、問題は無い。
次はどうでるかと下げた頭で考えていると、上から爆笑が降り注がれた。
「アハハハハハ! これは手強い! 流石に僕もここで退かないとだめみたいだね! これ以上は君の心象を損ねるだけだ。……その内、僕に心の内を話せる日が来たら話してくれるかい?」
気分を害してはいない。
ただし、諦めても居ない。
とても面倒な相手に興味を持たれたと改めて認識し内心ため息をつく。
「ワタクシ、根に持つ方ですの。別の方を頼った方が建設的だと思いますわ」
「大丈夫! 僕には悠久の時があるからね!」
諦める様子の全くないエルフに私は今度こそ隠さず嘆息する。
「その前にワタクシの寿命がつきますけれどね」
不毛な関係が続きそうな予感に頭痛が戻って来たような気がした。
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