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第2章 俺だって、俺だって!
第25話 少し前のエピソード
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水槽に入っているような魚たちはある程度見終わったので
俺と紬さんはイルカショーを見に来た
あ、あとさかなちゃん呼びは遠慮しておいた
それにしてもチンアナゴとか、クリオネとか可愛かったな
ゴマアザラシとかコツメカワウソも良かったな~
オオカワウソもいたけど・・・黙ってれば可愛かったな
「さぁ皆さん!イルカショーの始まりです!」
どうやらもうそろそろ始まるみたい
「最前列のお客様には水飛沫が飛ぶことがありますので予めご了承ください」
ってわざわざショーの人が言ってくれたにもかかわらず
紬さんが
「どうせなら前に行こうよ!」
と言って聞かないので仕方なく俺は今最前列にいる
外を胸張って歩けないくらい濡れたらどうしよ
おっと、始まったようだ
「まずは、イルカちゃんたちがボール遊びをしたいようです!」
そう言うとイルカたちが
ボールを鼻の先に乗せたり尻尾で叩いて空中にボールを上げたりと巧みに操り始める
凄いな~とかおもっていると、なんと突然こっちにボールが飛んできた
「え」
急すぎてあんまりよく分かってなかったので、そのまま当たる
「えい!」
当たると思ったが、紬さんのスマッシュでプールにボールが戻って行く
それにしても綺麗なフォームで打ったな
「小学校のときバレーやってたんだ~」
「危なかった、ありがとう」
「お客様!大変申し訳ありません!大丈夫でしたでしょうか?」
焦った様子でショーの人がこちらに声をかけてくる
紬さんが打ち返してくれたので全然大丈夫だった
というか、ビーチボールなのでなんなら頭に当たっても痛くは無いだろう
「大丈夫です~」
「本当に申し訳ありません!」
いや大丈夫ですって~
まあ俺優しいので、はい。ほんとだよ?
ひとしきり謝られたところで再びショーが再開する
「お次はイルカたちのジャンプです!」
イルカたちがボールをポイ捨てして円陣を組み始める
するとその中から一匹のイルカが空高くジャンプした
まるで胴上げみたいだ
「イルカたちやっぱりすごいね、間近で見ると迫力が段違い!」
「そうだね、ダイナmi・・・」
バシャッ
急に俺の目をイルカに水で狙撃された
大した量ではないものの普通に痛い
因みに俺はプールで目を開けられないタイプの人間だ
「あああああ、目が、目がああああ」
「あはは、啓介くんどうしたの?」
どうやら紬さんはプールの中で目を開けられるタイプの人間らしい
いつまでも痛がっていてもしょうがないので再び目を開ける
シバシバした状態の目でイルカショーを見るのを再開する
「最後はイルカたちの目玉の技です!それではご覧ください!」
薄目の状態のまま見物を続けているとなにやらイルカたちがグルグルと回り始めた
何をするんだろうか、渦潮でもつくるのか
「3・2・1・GO!」
合図共にイルカたちが中央に集まる
集まると思ったら、中央からプールの淵の方へジャンプした
直後あふれだすプールの水
「グワーッ!!!」
「それはアヒル?それともガチョウ?」
「今の叫び声って鳥類の鳴き声のまねしてると思われたの!?」
水をなるべく被らないように必死になって体をのけぞり手でガードする
こうなるだろうから最前列には並ぼうと思わなかったのに
並ぼうと言った張本人に叫び声を馬鹿にされた、理不尽すぎないか
「これから紬さんのことはお魚さむらいって呼ぶから」
「どういう事!?」
どうやらこの呼称は紬さんにとって効果てきめんらしい
〇●〇●〇●〇
イルカショーが終わったのでお土産コーナーに向かう
そういえばだけどボールが飛んできたお詫びにお土産の500円値引き券を貰った
別にそんなに怒ってないしいいのに。ただありがたいので貰っておいた
「面白かった~!」
「紬さんはなににする?」
「あれ、お魚さむらいじゃなくなってる?」
「いやぁ、ちょっと名前長くて。紬さんの方がしっくりくるし」
紬さんへのちょっとした意地悪だったつもりが、自分の首絞めてるだけだった
お魚さむらいって会話の中で使う分には言いにくいし
皆もお魚さむらいって5回言ってみてほしい、案外言いにくいから
「あ、みてみて!これ欲しい!」
「どれどれ、これ?・・・え、これ?」
指差された先にあったのは、ダイオウグソクムシのぬいぐるみだ
なんて言えば良いんだろう。キモ・・・カワ?
そう!キモカワ!きもかわいいって奴!
「ダンゴムシみたいで可愛いと思うよ、うん」
「でしょ?でもこれは買わなーい」
買わないのかい
「お、これ俺好きかも」
ふと目に着いたのはふわふわな毛が生えているアザラシのぬいぐるみだ
カラーバリエーションは白色と灰色のみ
つぶらな瞳も丸っこい体もふわふわな毛も全部可愛い
「ん~?どれどれ~、あわっ」
「おおぉぉっとー、大丈夫?」
「あ、ありがと」
こっちに向かってきたところで小さな段差にこけそうになっていた紬さんを支える
危なかった危なかった、セーーーフ
変なところを誤って触らないように直ぐに手を放す
「啓介くん、なかなか紳士的じゃん」
「よく言われる~」
「確かにこれ可愛い!」
紬さんは俺の言葉を無視してアザラシのぬいぐるみを手に取る
ひっどい人だ
ただ美人に可愛いぬいぐるみは似合うな
「鬼に金棒みたい」
「んぇ?バカにしてる?」
「いやいやその逆、可愛いなって」
「はぇ?え、あ、ありがと」
紬さんが顔を背ける
是非顔を見させて貰いたいものだが、嫌われそうなのでやめておく
それにしても可愛いなぁ
「こ、これ、買お」
「いいね~どっちの色にする?」
「えっと、私は白にする」
「じゃあ俺は灰色の方にしようかな」
二人で商品を持ってレジの方へ向かう
さっきもらった500円値引きを使って2000円
学生の財布を殴りに来るような金額だが、まぁ今日くらいはいいだろう
「二人でお揃いだね」
「嬉しいな」
少し前に傑と良哉と一緒に
『おそろっち~』とか『JK~』なんて言っていたのも懐かしい
今まさに紬さんという『JK~』と『おそろっち~』してるわけで
「啓介くん?ぼーっとしてどうしたの?」
「いやいや、感慨深いなって」
「感慨深い?」
大丈夫、こっちの話だ
まだこのエピソードを言う時じゃない
言ってもどうにもならないし
まあ、ゆっくりといこうじゃないか
俺と紬さんはイルカショーを見に来た
あ、あとさかなちゃん呼びは遠慮しておいた
それにしてもチンアナゴとか、クリオネとか可愛かったな
ゴマアザラシとかコツメカワウソも良かったな~
オオカワウソもいたけど・・・黙ってれば可愛かったな
「さぁ皆さん!イルカショーの始まりです!」
どうやらもうそろそろ始まるみたい
「最前列のお客様には水飛沫が飛ぶことがありますので予めご了承ください」
ってわざわざショーの人が言ってくれたにもかかわらず
紬さんが
「どうせなら前に行こうよ!」
と言って聞かないので仕方なく俺は今最前列にいる
外を胸張って歩けないくらい濡れたらどうしよ
おっと、始まったようだ
「まずは、イルカちゃんたちがボール遊びをしたいようです!」
そう言うとイルカたちが
ボールを鼻の先に乗せたり尻尾で叩いて空中にボールを上げたりと巧みに操り始める
凄いな~とかおもっていると、なんと突然こっちにボールが飛んできた
「え」
急すぎてあんまりよく分かってなかったので、そのまま当たる
「えい!」
当たると思ったが、紬さんのスマッシュでプールにボールが戻って行く
それにしても綺麗なフォームで打ったな
「小学校のときバレーやってたんだ~」
「危なかった、ありがとう」
「お客様!大変申し訳ありません!大丈夫でしたでしょうか?」
焦った様子でショーの人がこちらに声をかけてくる
紬さんが打ち返してくれたので全然大丈夫だった
というか、ビーチボールなのでなんなら頭に当たっても痛くは無いだろう
「大丈夫です~」
「本当に申し訳ありません!」
いや大丈夫ですって~
まあ俺優しいので、はい。ほんとだよ?
ひとしきり謝られたところで再びショーが再開する
「お次はイルカたちのジャンプです!」
イルカたちがボールをポイ捨てして円陣を組み始める
するとその中から一匹のイルカが空高くジャンプした
まるで胴上げみたいだ
「イルカたちやっぱりすごいね、間近で見ると迫力が段違い!」
「そうだね、ダイナmi・・・」
バシャッ
急に俺の目をイルカに水で狙撃された
大した量ではないものの普通に痛い
因みに俺はプールで目を開けられないタイプの人間だ
「あああああ、目が、目がああああ」
「あはは、啓介くんどうしたの?」
どうやら紬さんはプールの中で目を開けられるタイプの人間らしい
いつまでも痛がっていてもしょうがないので再び目を開ける
シバシバした状態の目でイルカショーを見るのを再開する
「最後はイルカたちの目玉の技です!それではご覧ください!」
薄目の状態のまま見物を続けているとなにやらイルカたちがグルグルと回り始めた
何をするんだろうか、渦潮でもつくるのか
「3・2・1・GO!」
合図共にイルカたちが中央に集まる
集まると思ったら、中央からプールの淵の方へジャンプした
直後あふれだすプールの水
「グワーッ!!!」
「それはアヒル?それともガチョウ?」
「今の叫び声って鳥類の鳴き声のまねしてると思われたの!?」
水をなるべく被らないように必死になって体をのけぞり手でガードする
こうなるだろうから最前列には並ぼうと思わなかったのに
並ぼうと言った張本人に叫び声を馬鹿にされた、理不尽すぎないか
「これから紬さんのことはお魚さむらいって呼ぶから」
「どういう事!?」
どうやらこの呼称は紬さんにとって効果てきめんらしい
〇●〇●〇●〇
イルカショーが終わったのでお土産コーナーに向かう
そういえばだけどボールが飛んできたお詫びにお土産の500円値引き券を貰った
別にそんなに怒ってないしいいのに。ただありがたいので貰っておいた
「面白かった~!」
「紬さんはなににする?」
「あれ、お魚さむらいじゃなくなってる?」
「いやぁ、ちょっと名前長くて。紬さんの方がしっくりくるし」
紬さんへのちょっとした意地悪だったつもりが、自分の首絞めてるだけだった
お魚さむらいって会話の中で使う分には言いにくいし
皆もお魚さむらいって5回言ってみてほしい、案外言いにくいから
「あ、みてみて!これ欲しい!」
「どれどれ、これ?・・・え、これ?」
指差された先にあったのは、ダイオウグソクムシのぬいぐるみだ
なんて言えば良いんだろう。キモ・・・カワ?
そう!キモカワ!きもかわいいって奴!
「ダンゴムシみたいで可愛いと思うよ、うん」
「でしょ?でもこれは買わなーい」
買わないのかい
「お、これ俺好きかも」
ふと目に着いたのはふわふわな毛が生えているアザラシのぬいぐるみだ
カラーバリエーションは白色と灰色のみ
つぶらな瞳も丸っこい体もふわふわな毛も全部可愛い
「ん~?どれどれ~、あわっ」
「おおぉぉっとー、大丈夫?」
「あ、ありがと」
こっちに向かってきたところで小さな段差にこけそうになっていた紬さんを支える
危なかった危なかった、セーーーフ
変なところを誤って触らないように直ぐに手を放す
「啓介くん、なかなか紳士的じゃん」
「よく言われる~」
「確かにこれ可愛い!」
紬さんは俺の言葉を無視してアザラシのぬいぐるみを手に取る
ひっどい人だ
ただ美人に可愛いぬいぐるみは似合うな
「鬼に金棒みたい」
「んぇ?バカにしてる?」
「いやいやその逆、可愛いなって」
「はぇ?え、あ、ありがと」
紬さんが顔を背ける
是非顔を見させて貰いたいものだが、嫌われそうなのでやめておく
それにしても可愛いなぁ
「こ、これ、買お」
「いいね~どっちの色にする?」
「えっと、私は白にする」
「じゃあ俺は灰色の方にしようかな」
二人で商品を持ってレジの方へ向かう
さっきもらった500円値引きを使って2000円
学生の財布を殴りに来るような金額だが、まぁ今日くらいはいいだろう
「二人でお揃いだね」
「嬉しいな」
少し前に傑と良哉と一緒に
『おそろっち~』とか『JK~』なんて言っていたのも懐かしい
今まさに紬さんという『JK~』と『おそろっち~』してるわけで
「啓介くん?ぼーっとしてどうしたの?」
「いやいや、感慨深いなって」
「感慨深い?」
大丈夫、こっちの話だ
まだこのエピソードを言う時じゃない
言ってもどうにもならないし
まあ、ゆっくりといこうじゃないか
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