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第3章 領改善編
第49話 九死一生
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「だったらこうだ!」
バリィンッ!!!
「………」
「ちょっ!何してるの!」
「え、えぇぇえぇぇぇ………!」
「おい、何とか言ったらどうなんだ!?」
「そうだそうだ!」
………
「こっちも、おらよぉ!」
ガシャアンッ!!!
「いけいけー!!!」
「………お止めください。これはクライトお坊ちゃまの私有物です。いくらお二人でも、あまり好ましくない行為かと」
「黙れよ!使用人風情が何か言ってんじゃねぇ!」
「ちょっ、ナイパーさんにそんな物言いないでしょ!」
「クレジアント様!抑えてください。あなたがこのようなことに関わっても百害あって一利なしです。このことは私めが解決いたしますから。先にお屋敷の中へ入っていてください」
このような面倒くさい方達に目を付けられたら、クライトお坊ちゃまが居ない所で何をされるか分かりません。お坊ちゃまの配偶者の方にそんなリスクを背負ってもらうわけには絶対にいけない。
「でも………」
「おいおい、さっきから何を言ってるんだ?というか、そこの女。めっちゃ可愛いなぁ?ちょっとこっちに来いよ」
「あ”?」
「クレジアント様!!!抑えてください!!!」
「ぐっ………すいません」
「おいお前、邪魔すんじゃねーよ!」
「そうだ。使用人の分際で随分偉そうなこった!そんな奴等にはこうだ、〈嫉妬〉2式!!!」
クスマが属性効果を発動させます。キュール様と使用人は倒れ、クレジアント様は激昂して、私めは、私めは………今なのかと、そう感じました。
「うっ………」
「………」
「あははははは!!!おいおい、こんなんで倒れるのかぁ?歯向かってくる割には随分雑魚じゃねぇか!あっはははははははぁぁあ!!!!!」
………クライトお坊ちゃま。すみません。私めは、もう。行く所まで行きます。
「………〈憤怒〉1式!!!」
「はははっぐぅあぁああ!?」
「〈憤怒〉1式、〈憤怒〉1式、〈憤怒〉1式」
「がぁっ!ぐはぁっ、ぁあっ………」
「はぁ、はぁ」
ゴフッ
クスマが苦しんでいるのと同時に。私めも血反吐を吐きます。
この〈憤怒〉1式は属性効果では唯一の攻撃効果をもって居て、相手の体を内部から破壊するという効果をもって居ます。しかし反動として、自身も同じ量の損傷を体のランダムな内部に負います。治癒は、自身で回復魔法を使えなければ不可。
私めは、使えません。
「まだ、まだです………」
でもこれだけでは終わってはいけない。後継ぎをクライトお坊ちゃまにするためには………まだ、あと一人いる。
「お、おい、お前!な、な、なにして………」
「………〈憤怒〉1式」
「う”っ!?」
「〈憤怒〉1式、〈憤怒〉1式、〈憤怒〉………ゴフッ、ガハッ………」
口の中の鉄分を噛み締めて、発動させようとしますが………限界の様です。
………立っているのも辛くなってきました。今はただ、気合だけで立っています。
「な、ナイパーさん………ナイパーさん!!!」
「か、回復します!」
「お、おっと、お二人共。ゴフッ………ご心配なさらず。回復魔法は、老いたこの身体には使えないのです」
「な、なんでですか………!!!」
「まぁ、ギッ………あぁ、ええと、何でですかねぇ………ゴフッ」
喋る度に血反吐を吐き、足元に広がる血の量はどこかを刺されたかの様です。
貧血からか、何か意識が遠のいてきました。キュールさんが回復魔法を行使してくださろうとしているのが見えますが………もう手遅れなのです。私は、それを覚悟で属性効果を行使したのですから。
「く、クライト!ちょっと助けて!」
「な、ナイパーさんが!!!」
振り変えると、クライトお坊ちゃまが呆然と立っておられます。
………ごめんなさい、お坊ちゃま。今までいろんなことがありましたね。お坊ちゃまなら、その経験を生かして何とかこの状況を切り抜けることが出来ると思います。それにお供することは出来ませんが………応援させていただきますね。
そこで、私めの意識は途切れました。
息子と、クライトお坊ちゃまの顔が、頭の中で重なっているように見えました。
☆★☆★☆
振り返ったナイパーは何か安心したような、申し訳ないと言ったような顔を浮かべて倒れた。どうしたんだ、なんで、なんでこんなことになっているんだ………
「な、ナイパー………」
脈を測る。弱い、明白に死に瀕しているという事実が僕に押し寄せて来る。
「あ、あの、私、回復魔法を使ったんですけど、全然効かなくて、その………」
「あの時、私が二人を斬っていれば………いや、そしたらクライトに迷惑がかかったのか?ボクは、どうしたらよかったんだ………!!!」
「………〈憤怒〉か」
「えっ?あ、た、確かに〈憤怒〉1式って言ってました。私達にその倒れている二人の背の高い方が〈嫉妬〉1式と言った後に………」
「………分かった、道理で回復魔法が効かない訳だ」
僕は剣を抜いて、切先をナイパーの横腹に当てる。
「く、クライト!何やって………」
「こうするしか、無いんだ」
「く、クライト………」
「キュール、僕が剣を抜いた瞬間に回復魔法をかけて。それを何回か繰り返す」
「な、なんでですか………!」
「………今は説明してる暇がない!僕を信じてよ!」
分かっている。傍から見たら何をしようとしているのか分からないことくらい。でも、今の僕は普段よりも余裕が無い。失敗したらナイパーは死ぬし、何もしなくてもナイパーは死ぬ。ただ成功したら、死ぬことはない。
だったら、やるしかないんだよ。一縷の望みにかけてでも………!!!
「………わ、分かりました。信じます!」
「………っ!あ、ありがとう」
「く、クライト。ナイパーさんは………助かるんだよな?」
「………成功したらね」
「だったら………成功させてあげてね」
「………もちろん!!!キュール、行くよ」
僕はキュールに合図を出す。
3、2、1………
グサッと刺して直ぐに抜く。
「回復魔法をかけて!」
「は、はい!………あ、回復魔法を行使できました!」
「よ、よかったぁ………」
「な、なんでクライトそんなこと知ってたんだ?」
「そんなの、しっかり授業受けてるからね。もしかして、クレジアントとかキュール、ちょっと眠ったりしてない?」
「「ギク」」
図星みたいだ。キュールの方はそんなに反応が無かったけれど、クレジアントはバツが悪そうな顔をしている。しっかり授業うけなさい。
まぁ一応今やったことの説明を軽くすると、〈憤怒〉の効果で傷を負った内臓は体内から治さないと一生治らないけれど、そこに外傷を加えることで回復魔法を傷口から中に行使できる………みたいな。上手く説明できないし、本当はもっと複雑なのだけれど大体は分かるかなと思う。
「まぁコツがいるって言ってたから、成功できるかは五分五分だったけれど。無事に成功で来たみたいで良かった」
「えっと、ナイパーさんはこれで無事ということなので良いんですけれど………そのお二人は?」
「………こいつらなにしたの?」
「それは………」
キュールとクレジアントから説明を受けて怒りがこみあげて来る。そんなくだらない事をしに来たのかという感情と、そんな奴等のせいでナイパーは死にかけたのかという感情。色んな思いがごちゃ混ぜになっている。
「………はぁ。まぁ一応僕が何とかしておくよ。こいつらは瀕死でも無さそうだし、様子を見ながらって感じかな」
あーもう。なんなんだよ………
「はぁ、はぁ………」
「あれ?クライト、息切れしてるけれど大丈夫?」
「はぁ、はぁ、え?………あ、本当だ」
何で僕は息切れしてるんだろう?
その答えはすぐにわかった。
バリィンッ!!!
「………」
「ちょっ!何してるの!」
「え、えぇぇえぇぇぇ………!」
「おい、何とか言ったらどうなんだ!?」
「そうだそうだ!」
………
「こっちも、おらよぉ!」
ガシャアンッ!!!
「いけいけー!!!」
「………お止めください。これはクライトお坊ちゃまの私有物です。いくらお二人でも、あまり好ましくない行為かと」
「黙れよ!使用人風情が何か言ってんじゃねぇ!」
「ちょっ、ナイパーさんにそんな物言いないでしょ!」
「クレジアント様!抑えてください。あなたがこのようなことに関わっても百害あって一利なしです。このことは私めが解決いたしますから。先にお屋敷の中へ入っていてください」
このような面倒くさい方達に目を付けられたら、クライトお坊ちゃまが居ない所で何をされるか分かりません。お坊ちゃまの配偶者の方にそんなリスクを背負ってもらうわけには絶対にいけない。
「でも………」
「おいおい、さっきから何を言ってるんだ?というか、そこの女。めっちゃ可愛いなぁ?ちょっとこっちに来いよ」
「あ”?」
「クレジアント様!!!抑えてください!!!」
「ぐっ………すいません」
「おいお前、邪魔すんじゃねーよ!」
「そうだ。使用人の分際で随分偉そうなこった!そんな奴等にはこうだ、〈嫉妬〉2式!!!」
クスマが属性効果を発動させます。キュール様と使用人は倒れ、クレジアント様は激昂して、私めは、私めは………今なのかと、そう感じました。
「うっ………」
「………」
「あははははは!!!おいおい、こんなんで倒れるのかぁ?歯向かってくる割には随分雑魚じゃねぇか!あっはははははははぁぁあ!!!!!」
………クライトお坊ちゃま。すみません。私めは、もう。行く所まで行きます。
「………〈憤怒〉1式!!!」
「はははっぐぅあぁああ!?」
「〈憤怒〉1式、〈憤怒〉1式、〈憤怒〉1式」
「がぁっ!ぐはぁっ、ぁあっ………」
「はぁ、はぁ」
ゴフッ
クスマが苦しんでいるのと同時に。私めも血反吐を吐きます。
この〈憤怒〉1式は属性効果では唯一の攻撃効果をもって居て、相手の体を内部から破壊するという効果をもって居ます。しかし反動として、自身も同じ量の損傷を体のランダムな内部に負います。治癒は、自身で回復魔法を使えなければ不可。
私めは、使えません。
「まだ、まだです………」
でもこれだけでは終わってはいけない。後継ぎをクライトお坊ちゃまにするためには………まだ、あと一人いる。
「お、おい、お前!な、な、なにして………」
「………〈憤怒〉1式」
「う”っ!?」
「〈憤怒〉1式、〈憤怒〉1式、〈憤怒〉………ゴフッ、ガハッ………」
口の中の鉄分を噛み締めて、発動させようとしますが………限界の様です。
………立っているのも辛くなってきました。今はただ、気合だけで立っています。
「な、ナイパーさん………ナイパーさん!!!」
「か、回復します!」
「お、おっと、お二人共。ゴフッ………ご心配なさらず。回復魔法は、老いたこの身体には使えないのです」
「な、なんでですか………!!!」
「まぁ、ギッ………あぁ、ええと、何でですかねぇ………ゴフッ」
喋る度に血反吐を吐き、足元に広がる血の量はどこかを刺されたかの様です。
貧血からか、何か意識が遠のいてきました。キュールさんが回復魔法を行使してくださろうとしているのが見えますが………もう手遅れなのです。私は、それを覚悟で属性効果を行使したのですから。
「く、クライト!ちょっと助けて!」
「な、ナイパーさんが!!!」
振り変えると、クライトお坊ちゃまが呆然と立っておられます。
………ごめんなさい、お坊ちゃま。今までいろんなことがありましたね。お坊ちゃまなら、その経験を生かして何とかこの状況を切り抜けることが出来ると思います。それにお供することは出来ませんが………応援させていただきますね。
そこで、私めの意識は途切れました。
息子と、クライトお坊ちゃまの顔が、頭の中で重なっているように見えました。
☆★☆★☆
振り返ったナイパーは何か安心したような、申し訳ないと言ったような顔を浮かべて倒れた。どうしたんだ、なんで、なんでこんなことになっているんだ………
「な、ナイパー………」
脈を測る。弱い、明白に死に瀕しているという事実が僕に押し寄せて来る。
「あ、あの、私、回復魔法を使ったんですけど、全然効かなくて、その………」
「あの時、私が二人を斬っていれば………いや、そしたらクライトに迷惑がかかったのか?ボクは、どうしたらよかったんだ………!!!」
「………〈憤怒〉か」
「えっ?あ、た、確かに〈憤怒〉1式って言ってました。私達にその倒れている二人の背の高い方が〈嫉妬〉1式と言った後に………」
「………分かった、道理で回復魔法が効かない訳だ」
僕は剣を抜いて、切先をナイパーの横腹に当てる。
「く、クライト!何やって………」
「こうするしか、無いんだ」
「く、クライト………」
「キュール、僕が剣を抜いた瞬間に回復魔法をかけて。それを何回か繰り返す」
「な、なんでですか………!」
「………今は説明してる暇がない!僕を信じてよ!」
分かっている。傍から見たら何をしようとしているのか分からないことくらい。でも、今の僕は普段よりも余裕が無い。失敗したらナイパーは死ぬし、何もしなくてもナイパーは死ぬ。ただ成功したら、死ぬことはない。
だったら、やるしかないんだよ。一縷の望みにかけてでも………!!!
「………わ、分かりました。信じます!」
「………っ!あ、ありがとう」
「く、クライト。ナイパーさんは………助かるんだよな?」
「………成功したらね」
「だったら………成功させてあげてね」
「………もちろん!!!キュール、行くよ」
僕はキュールに合図を出す。
3、2、1………
グサッと刺して直ぐに抜く。
「回復魔法をかけて!」
「は、はい!………あ、回復魔法を行使できました!」
「よ、よかったぁ………」
「な、なんでクライトそんなこと知ってたんだ?」
「そんなの、しっかり授業受けてるからね。もしかして、クレジアントとかキュール、ちょっと眠ったりしてない?」
「「ギク」」
図星みたいだ。キュールの方はそんなに反応が無かったけれど、クレジアントはバツが悪そうな顔をしている。しっかり授業うけなさい。
まぁ一応今やったことの説明を軽くすると、〈憤怒〉の効果で傷を負った内臓は体内から治さないと一生治らないけれど、そこに外傷を加えることで回復魔法を傷口から中に行使できる………みたいな。上手く説明できないし、本当はもっと複雑なのだけれど大体は分かるかなと思う。
「まぁコツがいるって言ってたから、成功できるかは五分五分だったけれど。無事に成功で来たみたいで良かった」
「えっと、ナイパーさんはこれで無事ということなので良いんですけれど………そのお二人は?」
「………こいつらなにしたの?」
「それは………」
キュールとクレジアントから説明を受けて怒りがこみあげて来る。そんなくだらない事をしに来たのかという感情と、そんな奴等のせいでナイパーは死にかけたのかという感情。色んな思いがごちゃ混ぜになっている。
「………はぁ。まぁ一応僕が何とかしておくよ。こいつらは瀕死でも無さそうだし、様子を見ながらって感じかな」
あーもう。なんなんだよ………
「はぁ、はぁ………」
「あれ?クライト、息切れしてるけれど大丈夫?」
「はぁ、はぁ、え?………あ、本当だ」
何で僕は息切れしてるんだろう?
その答えはすぐにわかった。
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