16 / 43
第1章 『最初の街』編
3
しおりを挟む
騒動があった翌日、私は再び冒険者ギルトに顔を出していた。
何でわざわざ、とは思うかもだけどね。昨日とは違い、今回は仕事を探すためなのだよ。
イリオスに換金してもらったお金は当面の間、ただ暮らしていく分には不足はない。でも、新しい場所では何かと物要りだし、お金は大事だ。転生早々に文無しの素寒貧になるのは、さすがにマズい。それにこの世界には、たぶんまだ生活保護とかの概念ないでしょうし。
そもそも、健康なのにイイ歳して働かないとかニートじゃん。そんなの、私の精神衛生上よくないよ。元・社畜でしたし!
ギルド内の酒場スペースを抜けて、やや奥まった所にある掲示板の前に立つ。
なんでも、ほとんどの依頼状はここに貼り付けられるんだそうな。で、受けたい依頼があったら紙を剥がして、受付まで持っていって申請するんだそう。セルフサービスっぽいね!………あれ?違うっけ。
でもさぁ……やけにギルド内に人が少ないな?とか思ってたら、依頼状があんまり残ってないんだけど。あっても埃被ったのが二、三枚だけ。
もしかして、冒険者ギルトって思ったよか仕事ないの?供給過多の需要不足?
「───そこにいるの、昨日のお嬢か。こんな時間に、そこで何してるんだ?」
もんもんとしているところに、ギルドマスターさん!昨日ぶりですね。
本日も、とっても漢らしいです。いい筋肉ですね。……って、そんなこと思ってる場合じゃなかった。
「いやぁ、ちょっとですね。職探し(?)をしてました。……丁度いい依頼が、なかなか無いんですよ」
「……そりゃそうだ。めぼしいのは、みんな早朝に持ってかれるからな」
なんと、朝早くにとな?
まぁ、先着順ならそうだよね。誰だって、自分が有利なのを取りたいもの。
……それ、暗に私が出遅れてるってことですよね?
やだもー、恥ずかしーなー!!
「そうだな……昨日見た様子だと、お嬢ならいけるか?」
私が内心で羞恥にプルプルと震えているうちに、何か閃いたらしいギルドマスターが、カウンターのお姉さんに指示してたようで……気がつくと、私の目の前には一枚の紙っぺら。依頼書っぽいけど、あのこれ紙質違くない?もしや、噂の羊皮紙ってやつなんじゃ……。
「は、拝見します」
ギルドマスターから、割りとぞんざいに手渡された物を、おそろおそろ手に取り目を通すと、そこには……。
〈【急募】魔物退治
メリーディエースの丘に【水】、【風】二種のスライムが大量発生。至急退治されたし。
推奨ランク→B以上、最低でも+C。
推奨人数→三~五人。(Aランク以上なら、一人でも可)
達成条件→スライム百匹以上の討伐。(アイテム・スライムの欠片の数で判断)
追加報酬→+百匹討伐ごとに、償金の追加あり〉
……スライムって、あのスライムだよね?
ほら、私の初回戦闘の相手の。………え、あれ違うの?小スライムって言うんだっけ。そういや。
でも、スライムと小スライムの違いって、大きさだけなんじゃ?………あぁ、やっぱりね。でも、その大型種の大スライムは別格と。なるほどなるほど。
……つまり、私が行っても問題ない、よね?
「行けますね。昨日倒したの……小スライム【風】でしたっけ?蹴りで一発でしたし」
「…………は?」
や、もしかしたら昨日のヤツはオーバーキルっぽかったから、手でもイケたかも。こう……ぷちゅっとね!
──このとき、私は知らなかった。
まさか、小スライムを握り潰すには、黒鉛(←鉛筆の芯とかに使われるやつ)を握力だけでダイヤモンドに変えるぐらいの力が必要だったなんて。その力は、約三〇トンほど。
………スライム種には物理耐性があるなんて、聞いてないよ!私は、範○勇次郎じゃねえぇぇっ!!
ギルドマスターが、一見非力に見える私に依頼書を渡してきた理由?
それは、私が酔っ払いを投げ飛ばしたときに、魔法を使ってるように見えたかららしいよ。実際、私から魔力も漏れてたらしいし……加減をするためのだったけど。きっと、無意識に殺人を防いだんだねぇ。本能もバカにできないや。
……おっと、話が逸れそうだった。
とにかく、異例(←だったらしい)の新人抜擢の根拠は、無詠唱であのレベルの《身体強化》が使えるなら……と言うことだったそうな。見た目的にそれらしいから、魔法特化の冒険者──魔導師だと思われてたんだと。
あ、ちなみに《身体強化》は四元素魔法の【土】に属する魔法だよ。なんでも、【土】属性は土壌と力を司るんだそう。不思議な区分だよね~。
まぁ、多少(?)の認識の違い(←このときは互いに気づいてない)はありつつも、無事に仕事は入手できました。イエー((パチパチパチ☆
さて、このまま身一つで行っても良いけど、折角だし少し町で買い物でもしてこようかな。
……この町でまだ酒(←絡まれたとき飲んでたヤツ)しか買ってないんだよな、私。
「それでは、今から準備に行ってきまーす」
そうと決めたら、即行動だ!
ギルドマスターに軽~く声をかけると、私はその足で町の中央通りへと出掛けていった。
……あ、迷子フラグはガチで困るから、もちろん地図は持っていくよ?基本だもの。
何でわざわざ、とは思うかもだけどね。昨日とは違い、今回は仕事を探すためなのだよ。
イリオスに換金してもらったお金は当面の間、ただ暮らしていく分には不足はない。でも、新しい場所では何かと物要りだし、お金は大事だ。転生早々に文無しの素寒貧になるのは、さすがにマズい。それにこの世界には、たぶんまだ生活保護とかの概念ないでしょうし。
そもそも、健康なのにイイ歳して働かないとかニートじゃん。そんなの、私の精神衛生上よくないよ。元・社畜でしたし!
ギルド内の酒場スペースを抜けて、やや奥まった所にある掲示板の前に立つ。
なんでも、ほとんどの依頼状はここに貼り付けられるんだそうな。で、受けたい依頼があったら紙を剥がして、受付まで持っていって申請するんだそう。セルフサービスっぽいね!………あれ?違うっけ。
でもさぁ……やけにギルド内に人が少ないな?とか思ってたら、依頼状があんまり残ってないんだけど。あっても埃被ったのが二、三枚だけ。
もしかして、冒険者ギルトって思ったよか仕事ないの?供給過多の需要不足?
「───そこにいるの、昨日のお嬢か。こんな時間に、そこで何してるんだ?」
もんもんとしているところに、ギルドマスターさん!昨日ぶりですね。
本日も、とっても漢らしいです。いい筋肉ですね。……って、そんなこと思ってる場合じゃなかった。
「いやぁ、ちょっとですね。職探し(?)をしてました。……丁度いい依頼が、なかなか無いんですよ」
「……そりゃそうだ。めぼしいのは、みんな早朝に持ってかれるからな」
なんと、朝早くにとな?
まぁ、先着順ならそうだよね。誰だって、自分が有利なのを取りたいもの。
……それ、暗に私が出遅れてるってことですよね?
やだもー、恥ずかしーなー!!
「そうだな……昨日見た様子だと、お嬢ならいけるか?」
私が内心で羞恥にプルプルと震えているうちに、何か閃いたらしいギルドマスターが、カウンターのお姉さんに指示してたようで……気がつくと、私の目の前には一枚の紙っぺら。依頼書っぽいけど、あのこれ紙質違くない?もしや、噂の羊皮紙ってやつなんじゃ……。
「は、拝見します」
ギルドマスターから、割りとぞんざいに手渡された物を、おそろおそろ手に取り目を通すと、そこには……。
〈【急募】魔物退治
メリーディエースの丘に【水】、【風】二種のスライムが大量発生。至急退治されたし。
推奨ランク→B以上、最低でも+C。
推奨人数→三~五人。(Aランク以上なら、一人でも可)
達成条件→スライム百匹以上の討伐。(アイテム・スライムの欠片の数で判断)
追加報酬→+百匹討伐ごとに、償金の追加あり〉
……スライムって、あのスライムだよね?
ほら、私の初回戦闘の相手の。………え、あれ違うの?小スライムって言うんだっけ。そういや。
でも、スライムと小スライムの違いって、大きさだけなんじゃ?………あぁ、やっぱりね。でも、その大型種の大スライムは別格と。なるほどなるほど。
……つまり、私が行っても問題ない、よね?
「行けますね。昨日倒したの……小スライム【風】でしたっけ?蹴りで一発でしたし」
「…………は?」
や、もしかしたら昨日のヤツはオーバーキルっぽかったから、手でもイケたかも。こう……ぷちゅっとね!
──このとき、私は知らなかった。
まさか、小スライムを握り潰すには、黒鉛(←鉛筆の芯とかに使われるやつ)を握力だけでダイヤモンドに変えるぐらいの力が必要だったなんて。その力は、約三〇トンほど。
………スライム種には物理耐性があるなんて、聞いてないよ!私は、範○勇次郎じゃねえぇぇっ!!
ギルドマスターが、一見非力に見える私に依頼書を渡してきた理由?
それは、私が酔っ払いを投げ飛ばしたときに、魔法を使ってるように見えたかららしいよ。実際、私から魔力も漏れてたらしいし……加減をするためのだったけど。きっと、無意識に殺人を防いだんだねぇ。本能もバカにできないや。
……おっと、話が逸れそうだった。
とにかく、異例(←だったらしい)の新人抜擢の根拠は、無詠唱であのレベルの《身体強化》が使えるなら……と言うことだったそうな。見た目的にそれらしいから、魔法特化の冒険者──魔導師だと思われてたんだと。
あ、ちなみに《身体強化》は四元素魔法の【土】に属する魔法だよ。なんでも、【土】属性は土壌と力を司るんだそう。不思議な区分だよね~。
まぁ、多少(?)の認識の違い(←このときは互いに気づいてない)はありつつも、無事に仕事は入手できました。イエー((パチパチパチ☆
さて、このまま身一つで行っても良いけど、折角だし少し町で買い物でもしてこようかな。
……この町でまだ酒(←絡まれたとき飲んでたヤツ)しか買ってないんだよな、私。
「それでは、今から準備に行ってきまーす」
そうと決めたら、即行動だ!
ギルドマスターに軽~く声をかけると、私はその足で町の中央通りへと出掛けていった。
……あ、迷子フラグはガチで困るから、もちろん地図は持っていくよ?基本だもの。
0
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
初めての異世界転生
藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。
女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。
まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。
このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる