オメガバース物語 ヤクザver.

本章

81話

-紬side-

ふと思い出しキッチンに向かえばカウンターに置いてある薬袋に手を伸ばす。
発情抑制剤の数が残り少ない。
また貰いに行かなくちゃ…
袋の中身と睨めっこしているとソファーでその様子を見ていた蓮さんが声をかけてきた。

「今回も飲むのか？」

「え？」

「いや、何でもない…」

正直ここまで発情期前にもなるとさすがに蓮さんが他の人と違って引き寄せる匂いを発していることくらいもうわかっていた。
魂の番…
離れるという選択肢はもうない。
となれば次の発情期では番う事はほぼ確実…
抑制剤を飲めば番わなくてもいいということでもなければ避妊できるというわけでもない。
理性を失わず繋がることを取るか本能で繋がることを取るか。
結果はさほど変わらないだろうけど自分にとっては大きな決断だった。