オメガバース物語 ヤクザver.

しま

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本章

43話

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-紬side-

涙に気づいたからか、蓮さんの動きがピタッと止まる。
そして首筋にチクッと吸いつかれるような痛みが走った。
それからというもの今までのピリピリとした匂いから一気にいつもの甘い匂いに変わった。

「ん…蓮さ、ん…?」

冷静さを取り戻したのか静かに首輪を元あったように付け直された。
蓮さんの目を見るともういつもの目に戻っていた。

「 はぁ…悪い。怖かった、よな。翔太に家まで送らせる…」

「い、嫌だ…!帰りたくない!帰らない!」

無理矢理にでも家に送り返されるのではないかと蓮さんの服をすがるようにぎゅっと強く握る。
このまま朝まで店にいるわけにもいかない。
ましてや家に帰ることなど恐ろしく、次こそは孕ませられてもおかしくない。

「まさか…!はぁ…お前なぁ…」

蓮さんは誰が発情誘発剤を使用したのか悟ったのか深くため息をつく。

「大人しく帰さなければよかった。暫くは俺んとこにこい。このまま店にも居れねぇだろ。」

ヒートの波が少し落ち着いた頃を見計らい、店を出て蓮さんの家に向かった。
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