7 / 35
1部 1章
想い人の名はモエ=ファニー
しおりを挟む
長屋に戻ってきたオレとシルキアは、あちこちの部屋から漏れ出た朝食のイイ匂いで満ちた通路を、ちょうど出くわした住人たちと挨拶を交わしながら進んでいく。
自宅の戸を開けた瞬間、甘い香りに出迎えられた。
え?
部屋を間違えたかと思い、全身の動きを止めてしまう。
それくらいに、我が家とこの甘さには縁がなかったから。
「くんくん」と、シルキアが鼻を鳴らす。「お兄ちゃん、なんかあっまぁ~い匂いするぅ」
「そうだな。どうやらウチからしてくるみたいだが」
そう口にしてみて、やはり違和感しかない。
我が家から、しかも朝から、こんなにも甘い匂いがしてくるだなんて。
信じられない。
しかし、生まれ育った場所だ、ここで合っている。
薄く開いたところで止めていた戸を、しっかりと押し開く。
「ただいま~」と言いながら、妹を先頭に、オレは中へと入った。
「おかえりなさい」
迎えてくれた声に、オレは内心ドキッとした。
高鳴った心臓は、ドクドクドクドクと、鼓動が聞こえてくるほどに加速している。額や背中には、じわっと、汗まで滲んできた。
緊張だ。でも嫌なものではない。
嬉しすぎるからこそというか、自分の振る舞いに失敗が許されなくなったことに対する緊張というか、そういったものだ。
まさか来ているなんて微塵も思っていなかった。
あまりにも不意打ちすぎる。
ゴクッと唾を飲み、変な顔していないかな~とか、オレ臭くないかな~とか、いろいろなことを頭に過らせながら、声のしたほうへと顔を向ける。
「あ~、モエお姉ちゃん!」
シルキアが食卓を囲うようにして並ぶ椅子の一つへと走っていく。
そこに座っているのは、オレやネルよりも三つ年上の女性。
「おはようございます、シルキア。今日も元気いっぱいですね」
「お姉ちゃん! 抱っこ抱っこぉ!」
「ふふふ、甘えん坊さんですね」
両手を広げ、胸を空けたモエねぇ。
シルキアが、両手に持っていた卵をちゃんと傍にある食卓に置いてから、モエねぇの太腿によじ登る。モエねぇの、瞳と似た濃い青色のドレスに包まれた胸に飛び込んだ。
柔らかそう……。
羨ましい……。
そんなやましいことを思ってしまい、自分が恥ずかしくなって体温が上がる。
オレは、妹の髪を撫でるカノジョの微笑に見惚れながら、また唾を飲みつつ近づく。
カノジョの目がこっちに向いた。
雲一つない快晴のような蒼い瞳はあまりにも美しくて、直視できなかった。
「おはよ、モエねぇ」
オレは右斜め下を見ながら、ぼそぼそと挨拶した。もっとハキハキ喋りたいのに――そのほうが好印象なのはわかっているからだ!――上手く声を出せなかったのだ。
「……床に何か落ちているのですか?」
「えっ、え?」
何を言われたのか、わからなかった。
「ワタクシには見えませんが、何かあるのですか?」
「へ、え、何かあるってっ、何がっ?」
「何がって、ワタクシにもわかりません。アクセルくんがこちらを見ずに、斜め下を見てばかりなので、何かあるのですか?と聞いたのですが」
ああ! そういうことか!
「いやっ、なっ何もない何もないっ、ごめんごめんっ」
そうだよな! 顔を見ないなんて変だよな! そう言い聞かせて、顔を向ける。
ぱっちりと目が合った。うわぁい可愛いっ!と心ときめいて反射的にまた逸らしてしまいそうになったが、グッと堪える。二度もやってしまえば、悪印象だ。絶対に。
「改めて。アクセルくん、おはようございます」
「おはよう、モエねぇ」
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!と脳が嬉しい悲鳴を上げているも、カノジョに嫌われたくない!という想いだけで抗い、ちゃんと見返したままオレは返答した。
微笑みを深くしたカノジョ。
「かっ――」
あまりにも可愛くて。
可愛い!と思わず言ってしまいそうになった。
やばい!と堪えられてよかったと思う。
「か?」
「あ、えと、モエねぇの後ろにっ虫が飛んでてっ」
「虫ですか」首を右に左にと捻れるだけ捻って、モエねぇは周りを見た。「いませんね」
「あ~、うんっ、今はいないっ。もしかしたら見間違いだったかもっ」
あはは、とオレは場を繋ぐためだけに笑う。
「まあ、春が始まりますから。虫も出てくるでしょう」
「そうだねっ」
「虫さんかぁ~、やだなぁ~。刺されたら、かいかいだし~」
シルキアが、本当に嫌そうな口調で言った。
「痒くなったら、毎年のように軟膏を塗ってあげますよ」
「うんっ」
「アクセルくんも。ね?」
「ありがと……」
優しさを浴びて、顔が赤くなっていくのがわかる。すでにもう最高潮にあった照れ臭さがどばっと溢れたのだ。
真っ赤になる顔なんて絶対に見られたくない。
だから。
「あれ?」と言いながら、オレは部屋内を見回す。「母さんと父さん、いないのか……」
話題を変えることによって、いろいろなものを誤魔化すことにした。
誤魔化していることが見透かされたら死ぬほど恥ずかしいが、親がいないことを話題にすることはなんら不自然ではないはずだから、その心配はないだろう。
「今はお二人ともいませんよ。おじ様はもう仕事に出て行かれて、おば様は煮たばかりの牛乳をおじ様に持って行っているので」
「あ、そうなんだ、って! 牛乳っ⁉」
ビックリして、モエねぇのほうを見た。照れ臭さなんて、一瞬で吹っ飛んだ。
牛乳という存在は、それくらいの衝撃だった。
でも、やっぱりそうだったのか。
玄関戸を開けたときに嗅いだ匂いは、想像通り牛乳のものだったのだ。
しかし、予想通りの正体だったとはいえ、そもそもの疑問の解決にはなっていない。
どうしてこの家に牛乳なんてものがあるのか。
いや、考えるまでもないか。
モエねぇの存在が答えだ。
「このあっまぁ~いの! 牛乳なのっ? 牛乳あるのっ?」
シルキアがモエねぇの胸に凭れて甘えたまま、顔だけ上げてキョロキョロする。
「台所にありますよ。ワタクシが持ってきたんです」
「飲みたぁ~い!」
モエねぇの膝から離れたシルキアが、台所のほうへと駆けていく。
「火は消えていますが、まだ鍋は熱いはずなので触ってはダメですよ」モエねぇが椅子から立ち上がった。「ワタクシがコップに注いであげますから」
歩き出したモエねぇ。
オレの脇を通った瞬間、ふわりと爽やかな心地よい香りがした。
いつもカノジョが身に付けている匂い袋のものだ。
体温が急上昇していくのがわかる。
匂い、というものは印象深いというか、脳にとって強烈だ。
だって、カノジョからした匂いは、別に珍しいものではないから。
近くの林で採取できるハーブの一種だ。だから、さっき会ったときには感じなかったけれど、母親の仕事の手伝いをしているときやしたあとのネルのほうが、濃く身体から発していることも多い。それこそ、時々、臭いと思うくらいに。
モエねぇからした匂いは、匂ったといっても、本当に薄いものだった。
それなのに、脳にバチッときたというか、ひと嗅ぎしただけで身体は熱くなった。
ネルに対しても、ほかの異性に対しても、こんな、匂いで興奮なんてしたことないのに。
どうしてなのか。
……多分。
ハーブの匂いだから、ではない。
モエねぇからする匂い、だからだ。
モエねぇ、だからだ。
「アクセルくん? こっちに来てください。飲みましょう」
ハッとして、身体がさらにカッとなった。
モエねぇはすぐそこにいるのに、オレは何を考えているんだ。
「あ、うん」と返しながら、台所のほうへ向かっていく。
妹が小さな両手で包むように持ったコップに、ふぅふぅと息を吹きかけている。
マークベンチ家の使い古された鍋の前に立っているモエねぇが、右手に持つ木製の柄杓で掬い取ったものを、左手に持つ木製のコップに注いだ。
とろりとした乳白色の液体は、感動的な輝きを放っていた。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
差し出されたコップを受け取る。
湯気と共に立つ甘い香りはとても濃かった。
ふぅふぅと適当な回数息を吹きかけ、ちびっと飲む。
「おいしぃ~! 美味しい美味しい美味しいぃ~!」
感激して大興奮のシルキア。
「うっまぁ」
オレもまったく同じ感想だった。
「喜んでもらえてよかったです」
ふふ、とモエねぇの嬉しそうな満足気な声。
「これ、モエねぇが持ってきてくれたんだよね?」
牛乳は高級品だ。
少なくとも、この町では。
なぜなら、牛を飼っている人がいないから。
それに、野生の牛もこの辺りには生息していない。
稀に商店に並ぶけれど、あまりに高価だからウチみたいな貧乏人では買えない。
そんな代物が、今、ここにある。昨晩までなかったものが、ここに、ある。
「はい。家にあったものです」
やっぱりか。
考えたとおり、モエねぇの存在自体が答えで当たっていた。
モエねぇの家は、豊かさでこの町五本の指に入るくらいの、裕福さだ。
その豊かさは、カノジョの両親とカノジョの三人が、装飾品を作って売ったことによって築いたもの。
『ファニーの飾り屋』という屋号は、王都のほうでも知られているのだと、以前、グレンさんから教えてもらった。実際、定期的に、装飾品を買い付けに馬車でやってくる、いかにも金を持っていそうな人たちを、オレも見かけたことがあった。
裕福なファニー家に牛乳があっても不思議なことはない。
だから今ここにある牛乳は、モエねぇが持ってきてくれたのだと予想は容易かった。
しかし、なぜ分けてくれたのかは、疑問だ。
こんなことは初めてだから。
――自分で稼いで得たものを人に渡すな。
モエねぇの父親のそんな言葉を、以前、耳にしたことがある。
それは何も間違っていない。厳しいことにも聞こえるが、正しさしかそこにはない。
だからこそ、今この状況に引っ掛かる。
牛乳は、ファニー家が丹精込め苦労して作った装飾品を売って、得たものなのだから。
「そうですね、本題に入りましょうか」
本題?
オレはなんとなく嫌な予感がした。
でも、それはそうだよなと納得もする。
朝のこの時間は、どこの家でも、誰であっても、真面な人間なら忙しくしている。そんな時間にわざわざやってきた理由が、牛乳をお裾分けに来た~だけなわけがない。
考えればわかること。
だから……悪いことを言われるような気がしてしょうがないのだ。
椅子に座って話しましょうとモエねぇに言われ、オレたちは先ほどまでいた食卓のほうへと戻った。四人家族だから四脚ある椅子に、オレとモエねぇは向かい合う形で座る。シルキアは、またモエねぇの膝の上に座った。
「アクセルくん」
「うん……」
嫌な予感があるせいか、オレの口調は意図せず落ち込んだものになった。
「ワタクシは、今日、この町を出て行くことになりました」
「……え?」
何を言われたのか、言葉としては意味も理解できた。
言葉として何一つ難しいことなんて言われていないのだから。
それでもバカっぽく尋ねてしまったのは、理解したくなかったから。
モエねぇが、この町を出て行く?
しかも、今日?
そんなの、そんなの……理解したいわけがない。
「モエお姉ちゃん、いなくなっちゃうのぉ?」
「はい」
「やだぁ! やだやだやだぁ!」
シルキアの抵抗は、幼いからこそ許されるものだった。
オレだってそんな風に感情だけで喚きたいが、オレがすれば情けなさの極みだろう。
やだやだやだやだやだやだ! いぃ~~~やぁ~~~だぁ~~~!
頭の中では、心の内では、もう一人の自分が両手両足ブンブンさせて喚いているが。
「ごめんなさい、シルキア。でも、これは大事なことなの」
「大事なこと?」と、オレは尋ねた。
「両親と共に、この国を見て回ることになったのです。各地に足を運び、そこで生活をしながら、装飾師としての腕を磨きつつ、商人としての知恵や経験を習得して欲しい。そう言われれば、ワタクシには拒む理由がありませんでした。ファニー家の後継ぎとして」
「そう、なんだ……」
確かに、大事なことだった。
あまりにも大事な、大事すぎることだった。
オレみたいな受け継ぐものもとくにない家に生まれた子どもにはないものが、モエねぇにはある。
一番わかりやすいものでいえば、それは親が築いてきた財産。
蓄えている金銭はもちろん、『ファニーの飾り屋』というお店やファニー家の装飾品に対するお客さんの信頼とか、そういったものだ。
モエねぇは、ファニー家の一人娘だ。
カノジョには、使命や責任というものがある。
一人娘だからといって、投げ出すこともできる。
でも、モエねぇがそんなことをしない人なのも、オレはよくわかっていた。
だから、家のため、そして自分のためと言われたら、もう何も言えない。
内側で駄々をこねていたもう一人の自分が、シュルシュルと縮んでいった。
「旅立つことを伝えるの、当日になってしまってごめんなさい。納品の近い仕事もいくつかある中で、荷造りもしなければならず、あまりにも忙しくて」
「ううん。ずっと忙しくしてたもんね……」
こうして会えた喜びで満たされて、そういえば考えもしなかったけれど、モエねぇとは最近しっかりと話せていなかったっけ。そうだ。町中で見かけることは何度もあったけれど、挨拶を交わして終わりということばかりで。カノジョはずっと忙しそうにしていた。
話したくて、遊びたくて、ネルと一緒に工房兼住居である家まで行ってみたことも一度ではなかったけれど、会えても、ごめんなさい仕事があるから……と断られてばかりだった。
装飾師としての仕事に迫られながら、旅立ちの支度もしていたのなら、オレたちと暢気に過ごせる時間なんてあるわけがなかった。
「本当は、旅立つからこそ、みんなと少しでも一緒にいたかったのですが」
「しょうがないよ。仕事があることはイイことだしさ」
ハハハ、とオレの口から出た笑い声は、とても渇いていた。
牛乳を飲む。
「っていうことは、この牛乳は旅に持っていかないから、ウチにくれたの?」
「はい。肉や魚、果物は干せば携帯食料にできますが、牛乳は氷室から出せばすぐに悪くなってしまうので、多めに持っていくことはやめました。ですから、持っていけないぶんは、アクセルくんたちに飲んでもらおうと思って」
水ものは、傷みやすい。
旅の天敵と言われるくらいに、旅行者や行商人は扱いに気を付けるという。
人間が生きていくことに欠かせないものだが、体調を壊す最大の原因でもあるのだ。
だから遠出する者は、道中で新鮮なものを確保していかなければならない。
そう、グレンさんから教えられたことを思い出した。
「――ただいまぁ」
背後で母親の声がした。
せっかくの牛乳という高級品を父親に持って行き、帰ってきたのだ。
「アンタたち、戻ってきてたのね。朝ご飯、すぐ作っちゃうから」
「それでは、ワタクシはお暇させていただきます」
「はぁい! 本当にありがとうねぇ! ほら、シルキア、お姉ちゃんが立てないでしょ」
母親に注意され、ムスッと顔のシルキアがモエねぇの膝から退いた。不機嫌な表情をしているのは、モエねぇがいなくなってしまうことを受け入れられていないからだ。
オレだって、受け入れられていない。
受け入れるだなんて、できるわけがない。
想い人が自分の日常からいなくなるなんて……。
でも、受け入れなければならない。
決心している想い人を困らせるなんて情けないこと、したくないから。
立ち上がったモエねぇが、母に丁寧にお辞儀をし、玄関へと向かう。
見送りしようと、オレもコップを食卓に置いて立ち上がった。
モエねぇを先頭に、通路に出る。
シルキアはついてこなかった。拗ねているからだ。
長屋から出たところで、オレとモエねぇは向き合う。
「アクセルくん。先ほど話したこと、ネルちゃんに伝えてもらっていいですか?」
「旅立つこと?」
「はい。ここに来る前に、ネルちゃんの家にも牛乳を持って行ったのですが、おば様にも会うことができなくて。待つこともできましたが、ここへ来ることもズルズルと遅くなってしまうほうがよくないかと考えまして」
待つよりも、次の予定を優先した。
確かに、そうしていなかったら、オレとシルキアがモエねぇに会えなかったかもしれない。モエねぇの来訪があったから母親は朝食作りを後回しにしたのだから。来訪がなければ母親はちゃっちゃと朝食を作り、オレたち兄妹はサッサと食べて外に出ていたかもしれない。
「わかった。学舎でネルに伝えるよ」
「ありがとうございます。それと、もしよければ、北門まで見送りに来てくれませんか? 学舎での学びが終わってから出発しますので」
え? もしよければ、だって?
何を言っているのだろうか、この人は。
「行くよっ」オレは前のめりになるくらい、言葉に勢いを乗せた。「絶対行くっ!」
行かない、なんて選択肢はない。
「嬉しいです」と、モエねぇは笑った。
それではまた後で、と言って背を向けたモエねぇ。
離れていくその背中を見て、オレは無性に抱き付きたくなった。
そんなことは、できないけれど。
というか、恋人でもないのだから、してはいけないけれど。
でも。
触りたかった。
抱き締めたかった。
好きだからだ、モエねぇのことが。
……告白、しておけばよかったな。
いつかしよういつかしよう、と恋心を抱いてからずっと思っていた。
でも、もうできない。
今日旅立つ人に告白するなんて、最低のことだ。
相手を困らせるだけってことくらい、恋愛ド初心者のオレでもわかる。
――いつかしよう、なんて言うばかりですぐに動こうとしないヤツは、どうせずっと動けはしない。もちろん、どんな物事かにもよるが、そういう人間には気を付けろ。傍に置くと足を引っ張らられる危険性があるぞ。
グレンさんの教えに、そんなこともあったな。
「……その通りだ」
小さく呟き、自虐的に笑う。
先延ばしにしてきた今のオレは、モエねぇが大好きなオレの足を引っ張ったんだから。
溜息を一つ吐いて、朝食のために長屋へと戻った。
自宅の戸を開けた瞬間、甘い香りに出迎えられた。
え?
部屋を間違えたかと思い、全身の動きを止めてしまう。
それくらいに、我が家とこの甘さには縁がなかったから。
「くんくん」と、シルキアが鼻を鳴らす。「お兄ちゃん、なんかあっまぁ~い匂いするぅ」
「そうだな。どうやらウチからしてくるみたいだが」
そう口にしてみて、やはり違和感しかない。
我が家から、しかも朝から、こんなにも甘い匂いがしてくるだなんて。
信じられない。
しかし、生まれ育った場所だ、ここで合っている。
薄く開いたところで止めていた戸を、しっかりと押し開く。
「ただいま~」と言いながら、妹を先頭に、オレは中へと入った。
「おかえりなさい」
迎えてくれた声に、オレは内心ドキッとした。
高鳴った心臓は、ドクドクドクドクと、鼓動が聞こえてくるほどに加速している。額や背中には、じわっと、汗まで滲んできた。
緊張だ。でも嫌なものではない。
嬉しすぎるからこそというか、自分の振る舞いに失敗が許されなくなったことに対する緊張というか、そういったものだ。
まさか来ているなんて微塵も思っていなかった。
あまりにも不意打ちすぎる。
ゴクッと唾を飲み、変な顔していないかな~とか、オレ臭くないかな~とか、いろいろなことを頭に過らせながら、声のしたほうへと顔を向ける。
「あ~、モエお姉ちゃん!」
シルキアが食卓を囲うようにして並ぶ椅子の一つへと走っていく。
そこに座っているのは、オレやネルよりも三つ年上の女性。
「おはようございます、シルキア。今日も元気いっぱいですね」
「お姉ちゃん! 抱っこ抱っこぉ!」
「ふふふ、甘えん坊さんですね」
両手を広げ、胸を空けたモエねぇ。
シルキアが、両手に持っていた卵をちゃんと傍にある食卓に置いてから、モエねぇの太腿によじ登る。モエねぇの、瞳と似た濃い青色のドレスに包まれた胸に飛び込んだ。
柔らかそう……。
羨ましい……。
そんなやましいことを思ってしまい、自分が恥ずかしくなって体温が上がる。
オレは、妹の髪を撫でるカノジョの微笑に見惚れながら、また唾を飲みつつ近づく。
カノジョの目がこっちに向いた。
雲一つない快晴のような蒼い瞳はあまりにも美しくて、直視できなかった。
「おはよ、モエねぇ」
オレは右斜め下を見ながら、ぼそぼそと挨拶した。もっとハキハキ喋りたいのに――そのほうが好印象なのはわかっているからだ!――上手く声を出せなかったのだ。
「……床に何か落ちているのですか?」
「えっ、え?」
何を言われたのか、わからなかった。
「ワタクシには見えませんが、何かあるのですか?」
「へ、え、何かあるってっ、何がっ?」
「何がって、ワタクシにもわかりません。アクセルくんがこちらを見ずに、斜め下を見てばかりなので、何かあるのですか?と聞いたのですが」
ああ! そういうことか!
「いやっ、なっ何もない何もないっ、ごめんごめんっ」
そうだよな! 顔を見ないなんて変だよな! そう言い聞かせて、顔を向ける。
ぱっちりと目が合った。うわぁい可愛いっ!と心ときめいて反射的にまた逸らしてしまいそうになったが、グッと堪える。二度もやってしまえば、悪印象だ。絶対に。
「改めて。アクセルくん、おはようございます」
「おはよう、モエねぇ」
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!と脳が嬉しい悲鳴を上げているも、カノジョに嫌われたくない!という想いだけで抗い、ちゃんと見返したままオレは返答した。
微笑みを深くしたカノジョ。
「かっ――」
あまりにも可愛くて。
可愛い!と思わず言ってしまいそうになった。
やばい!と堪えられてよかったと思う。
「か?」
「あ、えと、モエねぇの後ろにっ虫が飛んでてっ」
「虫ですか」首を右に左にと捻れるだけ捻って、モエねぇは周りを見た。「いませんね」
「あ~、うんっ、今はいないっ。もしかしたら見間違いだったかもっ」
あはは、とオレは場を繋ぐためだけに笑う。
「まあ、春が始まりますから。虫も出てくるでしょう」
「そうだねっ」
「虫さんかぁ~、やだなぁ~。刺されたら、かいかいだし~」
シルキアが、本当に嫌そうな口調で言った。
「痒くなったら、毎年のように軟膏を塗ってあげますよ」
「うんっ」
「アクセルくんも。ね?」
「ありがと……」
優しさを浴びて、顔が赤くなっていくのがわかる。すでにもう最高潮にあった照れ臭さがどばっと溢れたのだ。
真っ赤になる顔なんて絶対に見られたくない。
だから。
「あれ?」と言いながら、オレは部屋内を見回す。「母さんと父さん、いないのか……」
話題を変えることによって、いろいろなものを誤魔化すことにした。
誤魔化していることが見透かされたら死ぬほど恥ずかしいが、親がいないことを話題にすることはなんら不自然ではないはずだから、その心配はないだろう。
「今はお二人ともいませんよ。おじ様はもう仕事に出て行かれて、おば様は煮たばかりの牛乳をおじ様に持って行っているので」
「あ、そうなんだ、って! 牛乳っ⁉」
ビックリして、モエねぇのほうを見た。照れ臭さなんて、一瞬で吹っ飛んだ。
牛乳という存在は、それくらいの衝撃だった。
でも、やっぱりそうだったのか。
玄関戸を開けたときに嗅いだ匂いは、想像通り牛乳のものだったのだ。
しかし、予想通りの正体だったとはいえ、そもそもの疑問の解決にはなっていない。
どうしてこの家に牛乳なんてものがあるのか。
いや、考えるまでもないか。
モエねぇの存在が答えだ。
「このあっまぁ~いの! 牛乳なのっ? 牛乳あるのっ?」
シルキアがモエねぇの胸に凭れて甘えたまま、顔だけ上げてキョロキョロする。
「台所にありますよ。ワタクシが持ってきたんです」
「飲みたぁ~い!」
モエねぇの膝から離れたシルキアが、台所のほうへと駆けていく。
「火は消えていますが、まだ鍋は熱いはずなので触ってはダメですよ」モエねぇが椅子から立ち上がった。「ワタクシがコップに注いであげますから」
歩き出したモエねぇ。
オレの脇を通った瞬間、ふわりと爽やかな心地よい香りがした。
いつもカノジョが身に付けている匂い袋のものだ。
体温が急上昇していくのがわかる。
匂い、というものは印象深いというか、脳にとって強烈だ。
だって、カノジョからした匂いは、別に珍しいものではないから。
近くの林で採取できるハーブの一種だ。だから、さっき会ったときには感じなかったけれど、母親の仕事の手伝いをしているときやしたあとのネルのほうが、濃く身体から発していることも多い。それこそ、時々、臭いと思うくらいに。
モエねぇからした匂いは、匂ったといっても、本当に薄いものだった。
それなのに、脳にバチッときたというか、ひと嗅ぎしただけで身体は熱くなった。
ネルに対しても、ほかの異性に対しても、こんな、匂いで興奮なんてしたことないのに。
どうしてなのか。
……多分。
ハーブの匂いだから、ではない。
モエねぇからする匂い、だからだ。
モエねぇ、だからだ。
「アクセルくん? こっちに来てください。飲みましょう」
ハッとして、身体がさらにカッとなった。
モエねぇはすぐそこにいるのに、オレは何を考えているんだ。
「あ、うん」と返しながら、台所のほうへ向かっていく。
妹が小さな両手で包むように持ったコップに、ふぅふぅと息を吹きかけている。
マークベンチ家の使い古された鍋の前に立っているモエねぇが、右手に持つ木製の柄杓で掬い取ったものを、左手に持つ木製のコップに注いだ。
とろりとした乳白色の液体は、感動的な輝きを放っていた。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
差し出されたコップを受け取る。
湯気と共に立つ甘い香りはとても濃かった。
ふぅふぅと適当な回数息を吹きかけ、ちびっと飲む。
「おいしぃ~! 美味しい美味しい美味しいぃ~!」
感激して大興奮のシルキア。
「うっまぁ」
オレもまったく同じ感想だった。
「喜んでもらえてよかったです」
ふふ、とモエねぇの嬉しそうな満足気な声。
「これ、モエねぇが持ってきてくれたんだよね?」
牛乳は高級品だ。
少なくとも、この町では。
なぜなら、牛を飼っている人がいないから。
それに、野生の牛もこの辺りには生息していない。
稀に商店に並ぶけれど、あまりに高価だからウチみたいな貧乏人では買えない。
そんな代物が、今、ここにある。昨晩までなかったものが、ここに、ある。
「はい。家にあったものです」
やっぱりか。
考えたとおり、モエねぇの存在自体が答えで当たっていた。
モエねぇの家は、豊かさでこの町五本の指に入るくらいの、裕福さだ。
その豊かさは、カノジョの両親とカノジョの三人が、装飾品を作って売ったことによって築いたもの。
『ファニーの飾り屋』という屋号は、王都のほうでも知られているのだと、以前、グレンさんから教えてもらった。実際、定期的に、装飾品を買い付けに馬車でやってくる、いかにも金を持っていそうな人たちを、オレも見かけたことがあった。
裕福なファニー家に牛乳があっても不思議なことはない。
だから今ここにある牛乳は、モエねぇが持ってきてくれたのだと予想は容易かった。
しかし、なぜ分けてくれたのかは、疑問だ。
こんなことは初めてだから。
――自分で稼いで得たものを人に渡すな。
モエねぇの父親のそんな言葉を、以前、耳にしたことがある。
それは何も間違っていない。厳しいことにも聞こえるが、正しさしかそこにはない。
だからこそ、今この状況に引っ掛かる。
牛乳は、ファニー家が丹精込め苦労して作った装飾品を売って、得たものなのだから。
「そうですね、本題に入りましょうか」
本題?
オレはなんとなく嫌な予感がした。
でも、それはそうだよなと納得もする。
朝のこの時間は、どこの家でも、誰であっても、真面な人間なら忙しくしている。そんな時間にわざわざやってきた理由が、牛乳をお裾分けに来た~だけなわけがない。
考えればわかること。
だから……悪いことを言われるような気がしてしょうがないのだ。
椅子に座って話しましょうとモエねぇに言われ、オレたちは先ほどまでいた食卓のほうへと戻った。四人家族だから四脚ある椅子に、オレとモエねぇは向かい合う形で座る。シルキアは、またモエねぇの膝の上に座った。
「アクセルくん」
「うん……」
嫌な予感があるせいか、オレの口調は意図せず落ち込んだものになった。
「ワタクシは、今日、この町を出て行くことになりました」
「……え?」
何を言われたのか、言葉としては意味も理解できた。
言葉として何一つ難しいことなんて言われていないのだから。
それでもバカっぽく尋ねてしまったのは、理解したくなかったから。
モエねぇが、この町を出て行く?
しかも、今日?
そんなの、そんなの……理解したいわけがない。
「モエお姉ちゃん、いなくなっちゃうのぉ?」
「はい」
「やだぁ! やだやだやだぁ!」
シルキアの抵抗は、幼いからこそ許されるものだった。
オレだってそんな風に感情だけで喚きたいが、オレがすれば情けなさの極みだろう。
やだやだやだやだやだやだ! いぃ~~~やぁ~~~だぁ~~~!
頭の中では、心の内では、もう一人の自分が両手両足ブンブンさせて喚いているが。
「ごめんなさい、シルキア。でも、これは大事なことなの」
「大事なこと?」と、オレは尋ねた。
「両親と共に、この国を見て回ることになったのです。各地に足を運び、そこで生活をしながら、装飾師としての腕を磨きつつ、商人としての知恵や経験を習得して欲しい。そう言われれば、ワタクシには拒む理由がありませんでした。ファニー家の後継ぎとして」
「そう、なんだ……」
確かに、大事なことだった。
あまりにも大事な、大事すぎることだった。
オレみたいな受け継ぐものもとくにない家に生まれた子どもにはないものが、モエねぇにはある。
一番わかりやすいものでいえば、それは親が築いてきた財産。
蓄えている金銭はもちろん、『ファニーの飾り屋』というお店やファニー家の装飾品に対するお客さんの信頼とか、そういったものだ。
モエねぇは、ファニー家の一人娘だ。
カノジョには、使命や責任というものがある。
一人娘だからといって、投げ出すこともできる。
でも、モエねぇがそんなことをしない人なのも、オレはよくわかっていた。
だから、家のため、そして自分のためと言われたら、もう何も言えない。
内側で駄々をこねていたもう一人の自分が、シュルシュルと縮んでいった。
「旅立つことを伝えるの、当日になってしまってごめんなさい。納品の近い仕事もいくつかある中で、荷造りもしなければならず、あまりにも忙しくて」
「ううん。ずっと忙しくしてたもんね……」
こうして会えた喜びで満たされて、そういえば考えもしなかったけれど、モエねぇとは最近しっかりと話せていなかったっけ。そうだ。町中で見かけることは何度もあったけれど、挨拶を交わして終わりということばかりで。カノジョはずっと忙しそうにしていた。
話したくて、遊びたくて、ネルと一緒に工房兼住居である家まで行ってみたことも一度ではなかったけれど、会えても、ごめんなさい仕事があるから……と断られてばかりだった。
装飾師としての仕事に迫られながら、旅立ちの支度もしていたのなら、オレたちと暢気に過ごせる時間なんてあるわけがなかった。
「本当は、旅立つからこそ、みんなと少しでも一緒にいたかったのですが」
「しょうがないよ。仕事があることはイイことだしさ」
ハハハ、とオレの口から出た笑い声は、とても渇いていた。
牛乳を飲む。
「っていうことは、この牛乳は旅に持っていかないから、ウチにくれたの?」
「はい。肉や魚、果物は干せば携帯食料にできますが、牛乳は氷室から出せばすぐに悪くなってしまうので、多めに持っていくことはやめました。ですから、持っていけないぶんは、アクセルくんたちに飲んでもらおうと思って」
水ものは、傷みやすい。
旅の天敵と言われるくらいに、旅行者や行商人は扱いに気を付けるという。
人間が生きていくことに欠かせないものだが、体調を壊す最大の原因でもあるのだ。
だから遠出する者は、道中で新鮮なものを確保していかなければならない。
そう、グレンさんから教えられたことを思い出した。
「――ただいまぁ」
背後で母親の声がした。
せっかくの牛乳という高級品を父親に持って行き、帰ってきたのだ。
「アンタたち、戻ってきてたのね。朝ご飯、すぐ作っちゃうから」
「それでは、ワタクシはお暇させていただきます」
「はぁい! 本当にありがとうねぇ! ほら、シルキア、お姉ちゃんが立てないでしょ」
母親に注意され、ムスッと顔のシルキアがモエねぇの膝から退いた。不機嫌な表情をしているのは、モエねぇがいなくなってしまうことを受け入れられていないからだ。
オレだって、受け入れられていない。
受け入れるだなんて、できるわけがない。
想い人が自分の日常からいなくなるなんて……。
でも、受け入れなければならない。
決心している想い人を困らせるなんて情けないこと、したくないから。
立ち上がったモエねぇが、母に丁寧にお辞儀をし、玄関へと向かう。
見送りしようと、オレもコップを食卓に置いて立ち上がった。
モエねぇを先頭に、通路に出る。
シルキアはついてこなかった。拗ねているからだ。
長屋から出たところで、オレとモエねぇは向き合う。
「アクセルくん。先ほど話したこと、ネルちゃんに伝えてもらっていいですか?」
「旅立つこと?」
「はい。ここに来る前に、ネルちゃんの家にも牛乳を持って行ったのですが、おば様にも会うことができなくて。待つこともできましたが、ここへ来ることもズルズルと遅くなってしまうほうがよくないかと考えまして」
待つよりも、次の予定を優先した。
確かに、そうしていなかったら、オレとシルキアがモエねぇに会えなかったかもしれない。モエねぇの来訪があったから母親は朝食作りを後回しにしたのだから。来訪がなければ母親はちゃっちゃと朝食を作り、オレたち兄妹はサッサと食べて外に出ていたかもしれない。
「わかった。学舎でネルに伝えるよ」
「ありがとうございます。それと、もしよければ、北門まで見送りに来てくれませんか? 学舎での学びが終わってから出発しますので」
え? もしよければ、だって?
何を言っているのだろうか、この人は。
「行くよっ」オレは前のめりになるくらい、言葉に勢いを乗せた。「絶対行くっ!」
行かない、なんて選択肢はない。
「嬉しいです」と、モエねぇは笑った。
それではまた後で、と言って背を向けたモエねぇ。
離れていくその背中を見て、オレは無性に抱き付きたくなった。
そんなことは、できないけれど。
というか、恋人でもないのだから、してはいけないけれど。
でも。
触りたかった。
抱き締めたかった。
好きだからだ、モエねぇのことが。
……告白、しておけばよかったな。
いつかしよういつかしよう、と恋心を抱いてからずっと思っていた。
でも、もうできない。
今日旅立つ人に告白するなんて、最低のことだ。
相手を困らせるだけってことくらい、恋愛ド初心者のオレでもわかる。
――いつかしよう、なんて言うばかりですぐに動こうとしないヤツは、どうせずっと動けはしない。もちろん、どんな物事かにもよるが、そういう人間には気を付けろ。傍に置くと足を引っ張らられる危険性があるぞ。
グレンさんの教えに、そんなこともあったな。
「……その通りだ」
小さく呟き、自虐的に笑う。
先延ばしにしてきた今のオレは、モエねぇが大好きなオレの足を引っ張ったんだから。
溜息を一つ吐いて、朝食のために長屋へと戻った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる