8 / 11
(8)姫君は竜と翔ける
しおりを挟む
高らかに神殿の鐘の音が鳴った。竜競べの始まりだ。
開始の合図を聞いて最初に飛び出したのは、やはり伯父の代理人が乗った竜だった。どんどん高度を上げ、あっという間に見えなくなる。続いて従兄弟の代理人が乗った竜が後に続いていく。ステファニーたちはすぐに引き離されてしまった。
「ちょっとエルヴィス、追いつかなくてもいいの?」
「ああ、構わない。気分良く走らせておいてやれ。お前は楽しんでいればいい。徐々に高度を上げるから、覚悟しておけ」
「……わかったわ」
高度を上げていないステファニーからは、心配そうに彼女を見守る街の人々の表情がよく見える。王族同士の不仲を歓迎する国民はいないだろう。
(伯父さまたちには、彼らの顔は見えないのかしら)
ステファニーは最初の約束通り、竜競べについてはエルヴィスに任せることにした。父王が亡くなってから、久しぶりとなる竜乗り。それをただ全身で味わう。
「ステファニー、あいつらがどこを飛んでいるか見えるか」
「ぼんやりとだけれど。もうすぐ、神殿に到着するようね」
「ならばちょうどいいな」
――!!!!――
突然響いたエルヴィスのいななきに、前を進む竜たちはどちらも進むのをやめた。くるりと踵を返すと、ステファニーたちのところまで逆走してくる。そしてエルヴィスにひれ伏すようにゆっくりと頭を下げると、そのまま背中に乗る騎士たちを振り落としてしまった。思わぬ光景に観客である市民たちが笑い声をあげる。彼らにしてみれば、普段偉そうに踏ん反り返っている騎士の醜態は娯楽でしかないないのだ。
「まあ!」
「安心しろ、この程度からなら落ちても怪我をしない程度の訓練はつんでいるはずだ。それに、身体強化と防御の加護の気配がした。お前の伯父とやらから、特殊な装身具でも貸し出されているんだろうよ」
「それなら、大丈夫かしら?」
「ああ。ただ単純に格好悪いだけのこと」
「エルヴィス、騎士が名誉を重んじる生き物だとわかっていて、しかけたわね」
竜に行き先を指示できず逆走した挙句、その背から落下。しかも竜たちは竜競べの競争相手に付き従っているとなれば、彼らの誇りは相当に傷ついただろう。ステファニーたちの後をゆっくりと飛んでいた竜たちは、神殿に来てもおとなしくしていた。龍神を祀っていることを理解しているのだろうか。
神官たちはそんな竜たちを笑顔で撫でていた。各王国と王国内の神殿が共同で竜の管理をしていると思っていたが、実際は一枚岩ということではないらしい。神殿はその性質上、龍皇国寄りなのだそうだ。
そのせいだろうか、今までステファニーの窮状を知りつつも積極的な介入をしてこなかった神殿が、竜競べに参加すると伝えてからは下にも置かぬもてなしぶりだ。
(王族として竜に乗り、竜競べに参加すると言うことは、それほどまでに価値があることなのかしら)
少しばかり不思議に感じていると、神官の中でも特に年かさの男性に声をかけられた。彼はこの神殿の神官長なのだという。
「王女殿下、お疲れさまです。良きパートナーに巡り会いましたね」
「はい。偶然とはいえ、素晴らしい相棒のおかげで健闘させてもらっています」
「この世の中には、偶然などというものはありませんよ。すべては必然。運命とでもいいましょうか」
苦笑するステファニーに、神官長は優しく言い聞かせるように繰り返す。そして、さもたった今気がついたと言いたげに疑問を口にした。
「ところで、こちらの文様は?」
「これはエルヴィスに言われて、自分で刺繍したものです」
つい正直にエルヴィスに言われてと答えてしまったのだが、訝しむこともなくさらりと受け流すあたり、ステファニーの服に施された刺繍は、神官たちにとって馴染みのあるものなのだろう。龍神にまつわるものなのかもしれない。
「ではこちらも?」
竜の首に巻かれたチョーカーについても問われて、ステファニーは小さくうなずいた。周囲の神官たちの様子が、嬉々と言おうか、鬼気迫っていて怖い。感心したように矯めつ眇めつ眺められて、エルヴィスも居心地が悪そうだ。
「あんまり上手ではないからじろじろ見られると恥ずかしいです。そんなに変かしら。エルヴィスに渡した時、彼もなんだか戸惑っていたわ」
「なるほど、なるほど。いやはや、大丈夫です。きっと喜んでおられることでしょう」
よきかなよきかなと笑う神官たちは、まさに好々爺と言わんばかりでステファニーもつられて微笑んでしまった。
「王女殿下、どうぞあなたさまの未来に幸多からんことをお祈りします」
すでに竜競べに勝利したのかと錯覚しそうなほどの祝福を受け、ステファニーとエルヴィスは再び城へと戻っていく。対戦相手だったはずの竜たちは、乗り手はいないものの一応、城に戻る予定らしい。
「このまま竜だけ返すとややこしいですからね。こちらで竜を扱える者を見繕って、後ほど城へ向かいますよ」
そう言われて、神官たちに竜のことは任せることにした。竜たちは勝手知ったる我が家のように、神殿の庭でくつろいでいる。せっせと竜のお世話を焼いている神官たちに一礼し、ステファニーはエルヴィスとともに再び空へと戻っていった。
「エルヴィス、神官さまたち、なんだか楽しそうだったわね」
「神殿にいるのは、竜が好きすぎる者たちばかりだからな。竜競べで気持ちが浮ついているんだろう」
「そう? なんだか、あなたのことを知っているみたいだったわ。それに、刺繍のことも。ねえちょっと、エルヴィスってば聞いてるの?」
機嫌の良い猫のように、竜はぐるぐると喉を鳴らす。そして上を向くと、ぐんと一気に高度を上げた。慌ててステファニーはエルヴィスの背にしがみついた。父王と一緒の時でさえ、ここまで高く飛んだことなどないのだから。
「きゃっ、ちょっと、何をするの!」
「前を向けステファニー。せっかくの空だ。楽しまなくてどうする」
「そんなことを言われても怖いもの!」
「お前は一体何を言っているんだ。俺が、お前を落とすようなヘマをするとでも?」
「そうじゃないけれど」
「そもそも、お前が俺に試合についてはすべて任せると言ったんだろう。竜の背で前くらい向けなくてどうする」
横暴とも言えるエルヴィスの言葉に、ステファニーが渋々目を開けた。吹き抜ける春の風はあたたかく、甘い香りを運んでくる。ひらひらとここまでと舞い上がってくるのは、ハリエンジュとミモザの花びらだろうか。そびえたつ山の向こう側に、きらめく青がのぞいていた。
「なんて綺麗なんでしょう。見て、エルヴィス、ずっと向こうにあるのがきっと海ね。だって湖よりもずっとずっと広いもの」
「そうか、お前は海を見たことがなかったんだな」
「エルヴィスはあるの? 竜ってすごいわ。きっと私の知らない世界を他にもたくさん知っているのね」
「竜という生き物がそんな御大層な生き物だとは思わないが、海は美しい。竜競べが終わったら、連れて行ってやろう。お前は自由だ。それに世界はこんなにも広いのだから」
さも当然のように言ってのけるエルヴィス。嫁いだ女は自由に旅行などできない。だからエルヴィスはステファニーが勝つと明言しているのだ。そのことにステファニーは、不意に頭がくらくらしてしまう。
「そうね。何かあったら、いっそエルヴィスと駆け落ちでもしちゃおうかしらね」
「歓迎するぞ」
「もう、エルヴィスったら。ねえ、海まではどうやって飛んでいくの? それ、他国を飛び越えたら騒ぎになったりしないの?」
「知らん。どうせ、向こうは手も足も出せまい」
「エルヴィス、そういう考え方はよくないと思うわ」
「だが、力はないよりもあった方がいい。どんなに正しい理念を持っていても、実現する力がなければ意味がない。逆に言えば、力さえあれば道理が引っ込むわけだ。お前の伯父がやってきたように」
「そうね」
「だからこそ、頭を使って戦え。俺は諦めずに必死で這いつくばる人間は嫌いじゃない」
「それ、私のことを言っている?」
「お前以外に誰がいるというんだ」
ステファニーの言葉に、エルヴィスが笑う。竜の声が大空にこだました。
空からの景色を楽しみ、悠々と王城に戻ってきたのはステファニーとエルヴィスのみだった。
愕然とする伯父に向かって、ステファニーは艶やかに微笑みかける。そんな彼女を見て、観客たちが一斉に歓声を上げた。日頃は伯父の陰に隠れてしまいがちな王女だが、彼女もまた王族らしい整った顔立ちをしている。華やかに咲き誇ることはないが、人々の心を穏やかにさせる春の日差しのような美しさ。
「おい、お前。手くらい振ってやれ」
「私が振っても喜ばないんじゃないかしら」
「王族とは思えないくらい、人心把握が下手くそだな。この国の教育はどうなっているんだ」
エルヴィスのため息を聞きつつステファニーはそっと手を振る。彼女があちらこちらに手を振ると、それに合わせるように黄色い声があちこちでこだました。その声が妙にくすぐったくて、ステファニーははにかみながら微笑んだ。
そこへ耳障りな叫び声が飛び込んできた。
「こ、こんなものは、無効だ!認められない!」
ステファニーの勝利に異議を唱えたのは、伯父……ではなく彼女の従兄弟だった。
開始の合図を聞いて最初に飛び出したのは、やはり伯父の代理人が乗った竜だった。どんどん高度を上げ、あっという間に見えなくなる。続いて従兄弟の代理人が乗った竜が後に続いていく。ステファニーたちはすぐに引き離されてしまった。
「ちょっとエルヴィス、追いつかなくてもいいの?」
「ああ、構わない。気分良く走らせておいてやれ。お前は楽しんでいればいい。徐々に高度を上げるから、覚悟しておけ」
「……わかったわ」
高度を上げていないステファニーからは、心配そうに彼女を見守る街の人々の表情がよく見える。王族同士の不仲を歓迎する国民はいないだろう。
(伯父さまたちには、彼らの顔は見えないのかしら)
ステファニーは最初の約束通り、竜競べについてはエルヴィスに任せることにした。父王が亡くなってから、久しぶりとなる竜乗り。それをただ全身で味わう。
「ステファニー、あいつらがどこを飛んでいるか見えるか」
「ぼんやりとだけれど。もうすぐ、神殿に到着するようね」
「ならばちょうどいいな」
――!!!!――
突然響いたエルヴィスのいななきに、前を進む竜たちはどちらも進むのをやめた。くるりと踵を返すと、ステファニーたちのところまで逆走してくる。そしてエルヴィスにひれ伏すようにゆっくりと頭を下げると、そのまま背中に乗る騎士たちを振り落としてしまった。思わぬ光景に観客である市民たちが笑い声をあげる。彼らにしてみれば、普段偉そうに踏ん反り返っている騎士の醜態は娯楽でしかないないのだ。
「まあ!」
「安心しろ、この程度からなら落ちても怪我をしない程度の訓練はつんでいるはずだ。それに、身体強化と防御の加護の気配がした。お前の伯父とやらから、特殊な装身具でも貸し出されているんだろうよ」
「それなら、大丈夫かしら?」
「ああ。ただ単純に格好悪いだけのこと」
「エルヴィス、騎士が名誉を重んじる生き物だとわかっていて、しかけたわね」
竜に行き先を指示できず逆走した挙句、その背から落下。しかも竜たちは竜競べの競争相手に付き従っているとなれば、彼らの誇りは相当に傷ついただろう。ステファニーたちの後をゆっくりと飛んでいた竜たちは、神殿に来てもおとなしくしていた。龍神を祀っていることを理解しているのだろうか。
神官たちはそんな竜たちを笑顔で撫でていた。各王国と王国内の神殿が共同で竜の管理をしていると思っていたが、実際は一枚岩ということではないらしい。神殿はその性質上、龍皇国寄りなのだそうだ。
そのせいだろうか、今までステファニーの窮状を知りつつも積極的な介入をしてこなかった神殿が、竜競べに参加すると伝えてからは下にも置かぬもてなしぶりだ。
(王族として竜に乗り、竜競べに参加すると言うことは、それほどまでに価値があることなのかしら)
少しばかり不思議に感じていると、神官の中でも特に年かさの男性に声をかけられた。彼はこの神殿の神官長なのだという。
「王女殿下、お疲れさまです。良きパートナーに巡り会いましたね」
「はい。偶然とはいえ、素晴らしい相棒のおかげで健闘させてもらっています」
「この世の中には、偶然などというものはありませんよ。すべては必然。運命とでもいいましょうか」
苦笑するステファニーに、神官長は優しく言い聞かせるように繰り返す。そして、さもたった今気がついたと言いたげに疑問を口にした。
「ところで、こちらの文様は?」
「これはエルヴィスに言われて、自分で刺繍したものです」
つい正直にエルヴィスに言われてと答えてしまったのだが、訝しむこともなくさらりと受け流すあたり、ステファニーの服に施された刺繍は、神官たちにとって馴染みのあるものなのだろう。龍神にまつわるものなのかもしれない。
「ではこちらも?」
竜の首に巻かれたチョーカーについても問われて、ステファニーは小さくうなずいた。周囲の神官たちの様子が、嬉々と言おうか、鬼気迫っていて怖い。感心したように矯めつ眇めつ眺められて、エルヴィスも居心地が悪そうだ。
「あんまり上手ではないからじろじろ見られると恥ずかしいです。そんなに変かしら。エルヴィスに渡した時、彼もなんだか戸惑っていたわ」
「なるほど、なるほど。いやはや、大丈夫です。きっと喜んでおられることでしょう」
よきかなよきかなと笑う神官たちは、まさに好々爺と言わんばかりでステファニーもつられて微笑んでしまった。
「王女殿下、どうぞあなたさまの未来に幸多からんことをお祈りします」
すでに竜競べに勝利したのかと錯覚しそうなほどの祝福を受け、ステファニーとエルヴィスは再び城へと戻っていく。対戦相手だったはずの竜たちは、乗り手はいないものの一応、城に戻る予定らしい。
「このまま竜だけ返すとややこしいですからね。こちらで竜を扱える者を見繕って、後ほど城へ向かいますよ」
そう言われて、神官たちに竜のことは任せることにした。竜たちは勝手知ったる我が家のように、神殿の庭でくつろいでいる。せっせと竜のお世話を焼いている神官たちに一礼し、ステファニーはエルヴィスとともに再び空へと戻っていった。
「エルヴィス、神官さまたち、なんだか楽しそうだったわね」
「神殿にいるのは、竜が好きすぎる者たちばかりだからな。竜競べで気持ちが浮ついているんだろう」
「そう? なんだか、あなたのことを知っているみたいだったわ。それに、刺繍のことも。ねえちょっと、エルヴィスってば聞いてるの?」
機嫌の良い猫のように、竜はぐるぐると喉を鳴らす。そして上を向くと、ぐんと一気に高度を上げた。慌ててステファニーはエルヴィスの背にしがみついた。父王と一緒の時でさえ、ここまで高く飛んだことなどないのだから。
「きゃっ、ちょっと、何をするの!」
「前を向けステファニー。せっかくの空だ。楽しまなくてどうする」
「そんなことを言われても怖いもの!」
「お前は一体何を言っているんだ。俺が、お前を落とすようなヘマをするとでも?」
「そうじゃないけれど」
「そもそも、お前が俺に試合についてはすべて任せると言ったんだろう。竜の背で前くらい向けなくてどうする」
横暴とも言えるエルヴィスの言葉に、ステファニーが渋々目を開けた。吹き抜ける春の風はあたたかく、甘い香りを運んでくる。ひらひらとここまでと舞い上がってくるのは、ハリエンジュとミモザの花びらだろうか。そびえたつ山の向こう側に、きらめく青がのぞいていた。
「なんて綺麗なんでしょう。見て、エルヴィス、ずっと向こうにあるのがきっと海ね。だって湖よりもずっとずっと広いもの」
「そうか、お前は海を見たことがなかったんだな」
「エルヴィスはあるの? 竜ってすごいわ。きっと私の知らない世界を他にもたくさん知っているのね」
「竜という生き物がそんな御大層な生き物だとは思わないが、海は美しい。竜競べが終わったら、連れて行ってやろう。お前は自由だ。それに世界はこんなにも広いのだから」
さも当然のように言ってのけるエルヴィス。嫁いだ女は自由に旅行などできない。だからエルヴィスはステファニーが勝つと明言しているのだ。そのことにステファニーは、不意に頭がくらくらしてしまう。
「そうね。何かあったら、いっそエルヴィスと駆け落ちでもしちゃおうかしらね」
「歓迎するぞ」
「もう、エルヴィスったら。ねえ、海まではどうやって飛んでいくの? それ、他国を飛び越えたら騒ぎになったりしないの?」
「知らん。どうせ、向こうは手も足も出せまい」
「エルヴィス、そういう考え方はよくないと思うわ」
「だが、力はないよりもあった方がいい。どんなに正しい理念を持っていても、実現する力がなければ意味がない。逆に言えば、力さえあれば道理が引っ込むわけだ。お前の伯父がやってきたように」
「そうね」
「だからこそ、頭を使って戦え。俺は諦めずに必死で這いつくばる人間は嫌いじゃない」
「それ、私のことを言っている?」
「お前以外に誰がいるというんだ」
ステファニーの言葉に、エルヴィスが笑う。竜の声が大空にこだました。
空からの景色を楽しみ、悠々と王城に戻ってきたのはステファニーとエルヴィスのみだった。
愕然とする伯父に向かって、ステファニーは艶やかに微笑みかける。そんな彼女を見て、観客たちが一斉に歓声を上げた。日頃は伯父の陰に隠れてしまいがちな王女だが、彼女もまた王族らしい整った顔立ちをしている。華やかに咲き誇ることはないが、人々の心を穏やかにさせる春の日差しのような美しさ。
「おい、お前。手くらい振ってやれ」
「私が振っても喜ばないんじゃないかしら」
「王族とは思えないくらい、人心把握が下手くそだな。この国の教育はどうなっているんだ」
エルヴィスのため息を聞きつつステファニーはそっと手を振る。彼女があちらこちらに手を振ると、それに合わせるように黄色い声があちこちでこだました。その声が妙にくすぐったくて、ステファニーははにかみながら微笑んだ。
そこへ耳障りな叫び声が飛び込んできた。
「こ、こんなものは、無効だ!認められない!」
ステファニーの勝利に異議を唱えたのは、伯父……ではなく彼女の従兄弟だった。
19
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】夜会で借り物競争をしたら、イケメン王子に借りられました。
櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のセラフィーナには生まれつき前世の記憶があったが、覚えているのはくだらないことばかり。
そのどうでもいい知識が一番重宝されるのが、余興好きの国王が主催する夜会だった。
毎年余興の企画を頼まれるセラフィーナが今回提案したのは、なんと「借り物競争」。
もちろん生まれて初めての借り物競争に参加をする貴族たちだったが、夜会は大いに盛り上がり……。
気付けばセラフィーナはイケメン王太子、アレクシスに借りられて、共にゴールにたどり着いていた。
果たしてアレクシスの引いたカードに書かれていた内容とは?
意味もなく異世界転生したセラフィーナが、特に使命や運命に翻弄されることもなく、王太子と結ばれるお話。
とにかくツッコミどころ満載のゆるい、ハッピーエンドの短編なので、気軽に読んでいただければ嬉しいです。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
小説家になろう様への投稿時から、タイトルを『借り物(人)競争』からただの『借り物競争』へ変更いたしました。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
公爵家の赤髪の美姫は隣国王子に溺愛される
佐倉ミズキ
恋愛
レスカルト公爵家の愛人だった母が亡くなり、ミアは二年前にこの家に引き取られて令嬢として過ごすことに。
異母姉、サラサには毎日のように嫌味を言われ、義母には存在などしないかのように無視され過ごしていた。
誰にも愛されず、独りぼっちだったミアは学校の敷地にある湖で過ごすことが唯一の癒しだった。
ある日、その湖に一人の男性クラウが現れる。
隣にある男子学校から生垣を抜けてきたというクラウは隣国からの留学生だった。
初めは警戒していたミアだが、いつしかクラウと意気投合する。クラウはミアの事情を知っても優しかった。ミアもそんなクラウにほのかに思いを寄せる。
しかし、クラウは国へ帰る事となり…。
「学校を卒業したら、隣国の俺を頼ってきてほしい」
「わかりました」
けれど卒業後、ミアが向かったのは……。
※ベリーズカフェにも掲載中(こちらの加筆修正版)
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ただの新米騎士なのに、竜王陛下から妃として所望されています
柳葉うら
恋愛
北の砦で新米騎士をしているウェンディの相棒は美しい雄の黒竜のオブシディアン。
領主のアデルバートから譲り受けたその竜はウェンディを主人として認めておらず、背中に乗せてくれない。
しかしある日、砦に現れた刺客からオブシディアンを守ったウェンディは、武器に使われていた毒で生死を彷徨う。
幸にも目覚めたウェンディの前に現れたのは――竜王を名乗る美丈夫だった。
「命をかけ、勇気を振り絞って助けてくれたあなたを妃として迎える」
「お、畏れ多いので結構です!」
「それではあなたの忠実なしもべとして仕えよう」
「もっと重い提案がきた?!」
果たしてウェンディは竜王の求婚を断れるだろうか(※断れません。溺愛されて押されます)。
さくっとお読みいただけますと嬉しいです。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました
葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。
前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ!
だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます!
「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」
ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?
私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー!
※約六万字で完結するので、長編というより中編です。
※他サイトにも投稿しています。
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる