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(13)夫の生活は何かと不健康らしい−4
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やはり温泉はいい。昼日中に入ってもなんとも贅沢な気持ちになるが、夜も更けてから入ると世界を独り占めしているような気持ちになる。満点の星空を見上げながらのお風呂なんて、ここ以外ではまず体験できない。
その上、水分補給として各種天然果汁に加えてこの辺りで採れる貴重なワインまで用意されている。温泉に浸かりつつちょいちょいお酒を飲んでいれば、女子会がいつも以上に盛り上がってしまうのもまた当然のことだった。
しかも火竜さまの加護により、アルコールは摂取後即分解されるため、どれだけ飲んでも瞬間的なほろ酔い気分だけを楽しめる。健康的かつ温泉で溺死する心配もない。至れり尽くせりなのである。
「ううう、さすがに暑くなってしまったわ」
「それな~」
「子宝泉は、どうしても他のものに比べて水温が他のものに比べて髙くなっておりますものね」
「やっぱり女性は身体を冷やしてはいけないという発想によるものなのかしら」
「説ある~」
温泉のふちに腰かけ火照った身体を休めていれば、火竜さまと侍女もまた同意をしつつ休憩タイムに入っていた。
「それではせっかくですし、美肌泉や安眠泉など別の温泉に入られてみてはどうでしょうか。水温も違いますし、お湯の柔らかさも変わってきますので、気分転換にもなるかと思われます」
「そうね。せっかくだし、マッサージで身も心もほぐしてもらおうかしら」
「うぇーい」
「頭の先から指の先まで磨き上げて、旦那さまを私に夢中にさせなくては!」
私が気合を入れるべく握りこぶしを高く掲げると、火竜さまがばさばさまつ毛をぱちぱち動かしながら不思議そうに首を傾げていた。あれもやっぱりギャル仕様のつけまなのだろうか。
***
ぐにぐにと全身マッサージを受けつつ、私は火竜さまに愚痴をこぼしていた。ちなみに火竜さまのマッサージは、特製のデッキブラシで全身を磨き上げる形になっている。ワニっぽくて大変可愛いらしい。
「はあ、私ってそんなに魅力がないのでしょうか?」
「どした? 話聞こか?」
「もともと私と旦那さまの結婚は政略結婚。子どもが生まれなければ、離婚という可能性も否定できません。けれど、旦那さまを押し倒すのはいつも私ばかり。私、自分のことをむしゃぶりつきたくなるような美人だと思っていたのですけれど、自信過剰だったのではないかと気になっているのです」
三年子なしは去れとはよく言ったものだ。夫は金銭のため、私は爵位と歴史のために結婚している。両家の繋がりを強固にするためにも、子どもの存在抜きでふたりの結婚生活を語ることはできないだろう。
「毎夜夜這いをかけている身からしますと、旦那さまが私との子どもを望んでいらっしゃるかもよくわからないですし」
「ちょ、待って」
私としては、正妻という立場を手放すつもりはない。可愛い夫の子どもをこの手に抱けるのであれば、私の子どもではなくてもいいとさえ思っているのだ。実家の両親たちにはまた別の言い分があるようだが。
「いっそ旦那さまのお好みの女性を取り揃えて、私の方からご紹介するべきなのかしら」
「えー」
夫の親友に愛妾の座を奪われるくらいなら、私が選んだ女性から夫に女をあてがうほうが平和だろう。夫はとても騙されやすい。変な男や変な女に引っかかっては、しゃぶるだけしゃぶられた挙げ句ポイ捨てされる可能性が高い。あの男は、夫をいいように扱いかねない。色男への信用度は限りなく低い。
実際に妾を囲う場合、妾の子は正妻が育てる形になるだろう。だが前世の価値観ゆえに、私は子どもは母親から引き離すべきではないと思ってしまう。とはいえそれを実行に移したいのなら……。
「悲しいことだけれど、いっそ潔く私から身を引くべきなのかしら?」
私は夫を手放すつもりは毛頭ない。ありえないことだと思いつつ、選択肢のひとつを口に出してみる。
ガタガタドンガラガッシャーン。
その時、テレビの中のコントでしか聞いたことがないような、とんでもない音が震動とともに伝わってきた。だが、この温泉は前世の簡易的な露天風呂とは違って、覗きなどはできない作りになっている。それこそ、火竜さまのいたずらなどがない限り、こちらの声が漏れることだって起こり得ないのだが……。
その後特に何か悲鳴が聞こえることもなかったので安心していたのだが、待ち合わせ場所に現れた旦那さまはお風呂に入るよりもなぜかさらにやつれていた。
「旦那さま? どうなさったのです。ずいぶん、顔色が悪いような?」
「うん、ちょっとね……」
「まさか、お風呂でのぼせて鼻血でも出されましたの? 旦那さま、なかなか鼻血が止まりませんものね。ただでさえ血が少ないというのに、貴重な血をそんなに流してしまって……。今夜はお肉をたくさん食べて、鉄分をとりましょうね」
一体どうしてこんなことになっているのか。不健康な旦那様の生活習慣を改善させて、さらなるいちゃラブ生活を目指していたというのに、これでは完全に本末転倒である。
「それにしても温泉にも危険がいっぱいなのね。入浴中に万が一のことがあっては困りますから、念の為お酒も置いてはいなかったというのに。やはり旦那さまには温泉で繰り返し入力できる程度の体力をつけていただくのが先だったのかしら……」
「お嬢さま、さすがに旦那さまもご老人ではありませんから、そこまでの心配はご無用かと」
「とはいえ、実際に倒れてしまっているじゃないの」
「やばたにえん」
「ほら、火竜さまだって驚いてしまわれているし……」
「たぶん、お嬢さまが考えていらっしゃるのとは異なる理由ではないでしょうか」
「ごめんて」
この時の私は、まさか夫が女湯の会話を中途半端に聞いて誤解を膨らませていたなんて思いもしなかったのである。
その上、水分補給として各種天然果汁に加えてこの辺りで採れる貴重なワインまで用意されている。温泉に浸かりつつちょいちょいお酒を飲んでいれば、女子会がいつも以上に盛り上がってしまうのもまた当然のことだった。
しかも火竜さまの加護により、アルコールは摂取後即分解されるため、どれだけ飲んでも瞬間的なほろ酔い気分だけを楽しめる。健康的かつ温泉で溺死する心配もない。至れり尽くせりなのである。
「ううう、さすがに暑くなってしまったわ」
「それな~」
「子宝泉は、どうしても他のものに比べて水温が他のものに比べて髙くなっておりますものね」
「やっぱり女性は身体を冷やしてはいけないという発想によるものなのかしら」
「説ある~」
温泉のふちに腰かけ火照った身体を休めていれば、火竜さまと侍女もまた同意をしつつ休憩タイムに入っていた。
「それではせっかくですし、美肌泉や安眠泉など別の温泉に入られてみてはどうでしょうか。水温も違いますし、お湯の柔らかさも変わってきますので、気分転換にもなるかと思われます」
「そうね。せっかくだし、マッサージで身も心もほぐしてもらおうかしら」
「うぇーい」
「頭の先から指の先まで磨き上げて、旦那さまを私に夢中にさせなくては!」
私が気合を入れるべく握りこぶしを高く掲げると、火竜さまがばさばさまつ毛をぱちぱち動かしながら不思議そうに首を傾げていた。あれもやっぱりギャル仕様のつけまなのだろうか。
***
ぐにぐにと全身マッサージを受けつつ、私は火竜さまに愚痴をこぼしていた。ちなみに火竜さまのマッサージは、特製のデッキブラシで全身を磨き上げる形になっている。ワニっぽくて大変可愛いらしい。
「はあ、私ってそんなに魅力がないのでしょうか?」
「どした? 話聞こか?」
「もともと私と旦那さまの結婚は政略結婚。子どもが生まれなければ、離婚という可能性も否定できません。けれど、旦那さまを押し倒すのはいつも私ばかり。私、自分のことをむしゃぶりつきたくなるような美人だと思っていたのですけれど、自信過剰だったのではないかと気になっているのです」
三年子なしは去れとはよく言ったものだ。夫は金銭のため、私は爵位と歴史のために結婚している。両家の繋がりを強固にするためにも、子どもの存在抜きでふたりの結婚生活を語ることはできないだろう。
「毎夜夜這いをかけている身からしますと、旦那さまが私との子どもを望んでいらっしゃるかもよくわからないですし」
「ちょ、待って」
私としては、正妻という立場を手放すつもりはない。可愛い夫の子どもをこの手に抱けるのであれば、私の子どもではなくてもいいとさえ思っているのだ。実家の両親たちにはまた別の言い分があるようだが。
「いっそ旦那さまのお好みの女性を取り揃えて、私の方からご紹介するべきなのかしら」
「えー」
夫の親友に愛妾の座を奪われるくらいなら、私が選んだ女性から夫に女をあてがうほうが平和だろう。夫はとても騙されやすい。変な男や変な女に引っかかっては、しゃぶるだけしゃぶられた挙げ句ポイ捨てされる可能性が高い。あの男は、夫をいいように扱いかねない。色男への信用度は限りなく低い。
実際に妾を囲う場合、妾の子は正妻が育てる形になるだろう。だが前世の価値観ゆえに、私は子どもは母親から引き離すべきではないと思ってしまう。とはいえそれを実行に移したいのなら……。
「悲しいことだけれど、いっそ潔く私から身を引くべきなのかしら?」
私は夫を手放すつもりは毛頭ない。ありえないことだと思いつつ、選択肢のひとつを口に出してみる。
ガタガタドンガラガッシャーン。
その時、テレビの中のコントでしか聞いたことがないような、とんでもない音が震動とともに伝わってきた。だが、この温泉は前世の簡易的な露天風呂とは違って、覗きなどはできない作りになっている。それこそ、火竜さまのいたずらなどがない限り、こちらの声が漏れることだって起こり得ないのだが……。
その後特に何か悲鳴が聞こえることもなかったので安心していたのだが、待ち合わせ場所に現れた旦那さまはお風呂に入るよりもなぜかさらにやつれていた。
「旦那さま? どうなさったのです。ずいぶん、顔色が悪いような?」
「うん、ちょっとね……」
「まさか、お風呂でのぼせて鼻血でも出されましたの? 旦那さま、なかなか鼻血が止まりませんものね。ただでさえ血が少ないというのに、貴重な血をそんなに流してしまって……。今夜はお肉をたくさん食べて、鉄分をとりましょうね」
一体どうしてこんなことになっているのか。不健康な旦那様の生活習慣を改善させて、さらなるいちゃラブ生活を目指していたというのに、これでは完全に本末転倒である。
「それにしても温泉にも危険がいっぱいなのね。入浴中に万が一のことがあっては困りますから、念の為お酒も置いてはいなかったというのに。やはり旦那さまには温泉で繰り返し入力できる程度の体力をつけていただくのが先だったのかしら……」
「お嬢さま、さすがに旦那さまもご老人ではありませんから、そこまでの心配はご無用かと」
「とはいえ、実際に倒れてしまっているじゃないの」
「やばたにえん」
「ほら、火竜さまだって驚いてしまわれているし……」
「たぶん、お嬢さまが考えていらっしゃるのとは異なる理由ではないでしょうか」
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この時の私は、まさか夫が女湯の会話を中途半端に聞いて誤解を膨らませていたなんて思いもしなかったのである。
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