35 / 55
35 ぱくぱくドラゴン
しおりを挟む
食卓に着くと、メイドさんたちの手によって次々と料理が運ばれてくる。テーブルの対面に座るアンジェリカの前には1つのお皿が、対する僕の前には無数のお皿が並ぶ。アンジェリカはコース料理のように一品ずつ料理が運ばれてきて、僕はまるでアラカルトのように一品料理がズラリと並ぶのが定番になりつつある。
「本日は、ハーゲン翁より贈られた海の魚を使った料理になります」
たしかに、言われてみると肉料理もあるけど、魚料理が多い。ハーゲン翁って、たしかあのハゲたおじいちゃんだよね。塩漬けや氷漬けの魚を大量に贈ってくれた人だ。今日は魚がメインの夕食のようだ。
「ワインはいかがいたしましょう?オススメはこちらの白ワインです。甘口で飲みやすいですよ」
「クー」
僕は頷くことで白ワインを貰うことにした。僕はあまりワインには詳しくないけど、魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワインが合うと聞いたことがある。メイドさんのオススメだし、間違いはないだろう。
白ワインを注がれたワイングラスを両手で抱え込むようにして受け取る。ふわりと香る酒精を含んだ甘いトロピカルな香り。ワインなのだから、原料はブドウのはずだけど、ブドウというより熟したメロンのような香りがするのは、ちょっと不思議だ。
この国では、お酒は大人になってからという法律は無いのか、アンジェリカも普通にワインを飲んでいるし、赤ちゃんドラゴンである僕にもワインを勧められる。
「では、いただきましょうか」
「クー」
アンジェリカが食前の祈りを終えて、食事スタートだ。
「まずはこちらはいかがでしょう? スモークサーモンのカルパッチョになります」
「クー」
僕は頷いて食べることをクレアに伝える。今日の僕の給仕係はクレアだ。僕は体が小さくて、手足も短いから、満足にカトラリーを扱うことができない。なので、メイドさんが僕の食事のサポートをしてくれるのだ。
「ルー様、あーん」
「クァー」
最初は美人メイドさんの“あーん”にドキドキしたけど、今ではすっかり慣れてしまったな。僕はエサを待つ雛鳥のように口を大きく開ける。
パクッとカルパッチョを頬張ると、最初に感じるのは柔らかな酸味だ。酢になにか混ぜているのかな? 口当たりがまろやかで、清々しい酸味だ。
噛めば、ねっとりとしてスモーキーなサーモンの旨味が口いっぱいに広がる。野菜のシャキシャキとした歯応えと、僅かな辛みもいいアクセントだ。美味しい。
僕はカルパッチョを飲み込むと、すかさず白ワインを舐める。
白ワインは、豊かな甘みのあり、酸味や苦みなどは丸くまろやかで、とても飲みやすいワインだった。酒精は感じるけど、ジュースみたいな感じだ。ワイン初心者の僕にも美味しいと思えるワインだった。酒精を含んだ甘い香りが鼻を抜けるのも心地が良い。後味もキレが良い。カルパッチョとの相性も良い気がする。
「クー…」
思わずため息が漏れる美味しさだ。
「ルー様、こちらの料理、何点お付けしましょう?」
赤毛のメイドさん、ティアが僕に尋ねてくる。料理に点数を付けて、僕の好みを把握したいらしい。
「クー」
僕はティアに指を4本立てて見せる。このカルパッチョはたしかに美味しいけど、僕はお肉の方が好みかな。
「4点でございますね」
ティアが手に持ったバインダーに点数を書き込んでいる。後で料理長に見せるらしい。
「ルー様、次はこちらはどうでしょう?白身魚のムニエルになります」
僕はクレアに頷くことで食べる意思を伝える。
「ルー様、あーん」
「クァー」
パクッと頬張ると、サクッと衣が弾け、豊かなでまろやかなバターの風味が口の中に広がる。白身魚自体の味は淡泊だ。それを補うかのように、塩と胡椒、そしてなにかのスパイスなのか、まるでカレーのような複雑でスパイシーな味がする。サクサクの衣の食感が楽しく、スパイシーな味の中に、白身魚のしっとりとした味わいが感じられる。白身魚の淡泊で、しかし軽やかな甘みが、スパイスによってはっきりと際立っている。美味しい。
ムニエルと聞いたから、シンプルな塩胡椒とレモンの味を想像していたけど、予想外の味だった。これはこれで美味しい。
でも、これも4点かな。僕はティアに指を4本立てて見せる。
「次はこちらのトラペッツィーニはいかがでしょう? クリームチーズとスモークサーモン、キャビアの一品になります」
クレアが手に持っているのは、クラッカーの上に白いクリームチーズ、ピンクのサーモン、そして黒いツブツブが乗ったカラフルで目にも楽しい料理だった。この黒いツブツブがキャビアだよね? キャビアなんて初めて食べるよ。いったいどんな味がするんだろう?
「ルー様、あーん」
「クァー」
最初に感じたのは、クラッカーの香ばしい小麦の味だ。噛むとサクッと軽やかに砕けて、ねっとりとしたクリームチーズとサーモンが顔を出す。そしてキャビア。キャビアは噛むとプチプチと潰れる。なんとも食感が楽しい。
クラッカーの小麦の香ばしさとクリームチーズのまろやかな味わい、サーモンのねっとりとしてスモーキーな味わい。これだけでも十分美味しいけど、キャビアの塩味が味をギュッと引き締めている。キャビアは、僕の想像以上に塩辛かった。でもただ塩辛いだけじゃない。魚卵特有の濃くて深い味わい独特の味わいがある。なんだか、キャビアによって味が1つステップアップしたような気さえする。これは高級食材と云われるだけはあるなぁ。すごく美味しい。
独特な味わいだから好き嫌いが出そうだけど、僕は大好きだ。
「ルー様、何点お付けしましょう」
「クー」
僕は指を5本立てて見せる。文句なしの5点満点だ。
「ルーもキャビアが気に入ったみたいですね」
「クー!」
僕はアンジェリカの言葉に力強く頷く。
「贈ってくださった先生に感謝しないといけませんね。今度一緒に礼状を書きましょうね」
「クー」
「本日は、ハーゲン翁より贈られた海の魚を使った料理になります」
たしかに、言われてみると肉料理もあるけど、魚料理が多い。ハーゲン翁って、たしかあのハゲたおじいちゃんだよね。塩漬けや氷漬けの魚を大量に贈ってくれた人だ。今日は魚がメインの夕食のようだ。
「ワインはいかがいたしましょう?オススメはこちらの白ワインです。甘口で飲みやすいですよ」
「クー」
僕は頷くことで白ワインを貰うことにした。僕はあまりワインには詳しくないけど、魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワインが合うと聞いたことがある。メイドさんのオススメだし、間違いはないだろう。
白ワインを注がれたワイングラスを両手で抱え込むようにして受け取る。ふわりと香る酒精を含んだ甘いトロピカルな香り。ワインなのだから、原料はブドウのはずだけど、ブドウというより熟したメロンのような香りがするのは、ちょっと不思議だ。
この国では、お酒は大人になってからという法律は無いのか、アンジェリカも普通にワインを飲んでいるし、赤ちゃんドラゴンである僕にもワインを勧められる。
「では、いただきましょうか」
「クー」
アンジェリカが食前の祈りを終えて、食事スタートだ。
「まずはこちらはいかがでしょう? スモークサーモンのカルパッチョになります」
「クー」
僕は頷いて食べることをクレアに伝える。今日の僕の給仕係はクレアだ。僕は体が小さくて、手足も短いから、満足にカトラリーを扱うことができない。なので、メイドさんが僕の食事のサポートをしてくれるのだ。
「ルー様、あーん」
「クァー」
最初は美人メイドさんの“あーん”にドキドキしたけど、今ではすっかり慣れてしまったな。僕はエサを待つ雛鳥のように口を大きく開ける。
パクッとカルパッチョを頬張ると、最初に感じるのは柔らかな酸味だ。酢になにか混ぜているのかな? 口当たりがまろやかで、清々しい酸味だ。
噛めば、ねっとりとしてスモーキーなサーモンの旨味が口いっぱいに広がる。野菜のシャキシャキとした歯応えと、僅かな辛みもいいアクセントだ。美味しい。
僕はカルパッチョを飲み込むと、すかさず白ワインを舐める。
白ワインは、豊かな甘みのあり、酸味や苦みなどは丸くまろやかで、とても飲みやすいワインだった。酒精は感じるけど、ジュースみたいな感じだ。ワイン初心者の僕にも美味しいと思えるワインだった。酒精を含んだ甘い香りが鼻を抜けるのも心地が良い。後味もキレが良い。カルパッチョとの相性も良い気がする。
「クー…」
思わずため息が漏れる美味しさだ。
「ルー様、こちらの料理、何点お付けしましょう?」
赤毛のメイドさん、ティアが僕に尋ねてくる。料理に点数を付けて、僕の好みを把握したいらしい。
「クー」
僕はティアに指を4本立てて見せる。このカルパッチョはたしかに美味しいけど、僕はお肉の方が好みかな。
「4点でございますね」
ティアが手に持ったバインダーに点数を書き込んでいる。後で料理長に見せるらしい。
「ルー様、次はこちらはどうでしょう?白身魚のムニエルになります」
僕はクレアに頷くことで食べる意思を伝える。
「ルー様、あーん」
「クァー」
パクッと頬張ると、サクッと衣が弾け、豊かなでまろやかなバターの風味が口の中に広がる。白身魚自体の味は淡泊だ。それを補うかのように、塩と胡椒、そしてなにかのスパイスなのか、まるでカレーのような複雑でスパイシーな味がする。サクサクの衣の食感が楽しく、スパイシーな味の中に、白身魚のしっとりとした味わいが感じられる。白身魚の淡泊で、しかし軽やかな甘みが、スパイスによってはっきりと際立っている。美味しい。
ムニエルと聞いたから、シンプルな塩胡椒とレモンの味を想像していたけど、予想外の味だった。これはこれで美味しい。
でも、これも4点かな。僕はティアに指を4本立てて見せる。
「次はこちらのトラペッツィーニはいかがでしょう? クリームチーズとスモークサーモン、キャビアの一品になります」
クレアが手に持っているのは、クラッカーの上に白いクリームチーズ、ピンクのサーモン、そして黒いツブツブが乗ったカラフルで目にも楽しい料理だった。この黒いツブツブがキャビアだよね? キャビアなんて初めて食べるよ。いったいどんな味がするんだろう?
「ルー様、あーん」
「クァー」
最初に感じたのは、クラッカーの香ばしい小麦の味だ。噛むとサクッと軽やかに砕けて、ねっとりとしたクリームチーズとサーモンが顔を出す。そしてキャビア。キャビアは噛むとプチプチと潰れる。なんとも食感が楽しい。
クラッカーの小麦の香ばしさとクリームチーズのまろやかな味わい、サーモンのねっとりとしてスモーキーな味わい。これだけでも十分美味しいけど、キャビアの塩味が味をギュッと引き締めている。キャビアは、僕の想像以上に塩辛かった。でもただ塩辛いだけじゃない。魚卵特有の濃くて深い味わい独特の味わいがある。なんだか、キャビアによって味が1つステップアップしたような気さえする。これは高級食材と云われるだけはあるなぁ。すごく美味しい。
独特な味わいだから好き嫌いが出そうだけど、僕は大好きだ。
「ルー様、何点お付けしましょう」
「クー」
僕は指を5本立てて見せる。文句なしの5点満点だ。
「ルーもキャビアが気に入ったみたいですね」
「クー!」
僕はアンジェリカの言葉に力強く頷く。
「贈ってくださった先生に感謝しないといけませんね。今度一緒に礼状を書きましょうね」
「クー」
0
あなたにおすすめの小説
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる