【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)

文字の大きさ
140 / 189

139 カサンドラ②

しおりを挟む
「ドーラ、ちょっといいか?」
「どうなさいましたの?」

 夜の寝室。オレは隣でいそいそと夜着を脱ごうとしていたカサンドラに思い切って声をかけた。

「今日は自分で脱がしますか? そういう方が好きという殿方もいらっしゃると聞いた覚えがあります」
「いや、ちがくて……」

 カサンドラはもう完全に夜の性活の準備をしていた。

 まぁ、毎晩のように求めていたら、それが自然になるよね。

 性欲が異常なほど強くなったオレは、隣に魅力的な美少女が寝ていたら我慢なんてできない。

 オレはベッドの上であぐらをかくと、ランプの薄明りの中、白く浮かび上がるカサンドラの顔を見つめた。

「真面目な話なんだ」
「なんでしょう?」

 カサンドラは脱ごうとしていた夜着を戻すと、オレの方を見た。

「答えにくいことを訊くんだが、正直に答えてほしい。ドーラはオレのことを……。愛せそうだろうか……?」

 カサンドラは「こいつはなにを言っているんだ」と言わんばかりに半目になって呆れたような表情をみせた。

「愛せそうもなにも、わたくしは既にディーのことを愛していますよ?」
「ッ!?」

 カサンドラの気持ちを知って、オレの胸は高鳴る。今まで、カサンドラがオレへの想いを直接口にすることはなかった。嬉しい。思わずカサンドラの豊かな胸に飛び込みそうになるほどだ。

「ドーラの気持ちはとても嬉しい。オレもドーラを愛しているよ。ドーラが居ない生活などもう考えられないくらいだ」
「嬉しいです」

 そう言って柔らかく笑うカサンドラの姿に嘘は見えなかった。

 だからわからなくなる。

 普通は、自分の夫に妻が増えることを歓迎するものなのだろうか?

 全員を平等に愛するなんて寝言を言ってる奴が居たが、妻が増えれば一人一人の妻にかけられる時間が少なくなるのが道理だ。カサンドラだってそんなことはわかっているだろう。

 では、なぜカサンドラはオレの妻が増えることを歓迎しているのだろう?

「ドーラ、君の本当の気持ちを教えてくれ。オレはクラウと婚約した。いずれ結婚することになるだろう。そして、リアやリリーのこともある。ドーラはそれを歓迎しているように見えたが、本当にいいのか?」
「えーっと……」

 珍しくカサンドラが答えづらそうに言葉に詰まり、眼を泳がせる。

「ディーはもう知っているのかと思っていましたけど……。まだ気づいてませんか?」
「え?」

 オレが気が付く? 何に? オレは何を見落としている?

「その様子では気が付いてないようですね。ディーはへんなところで鈍いですから仕方がないのかしら?」
「オレが、鈍い?」
「ええ、特に人間関係や恋愛に関しては壊滅的です」
「オレが……?」

 オレは驚くと同時に納得してしまった。人間関係と恋愛。どちらも前世では縁のなかったものだ。経験値がとにかく足りていないのだろう。

「そうか……」
「そんなディーにわたくしの事情を言ってしまうべきかとても悩みます。はたしてディーの理解を得られるかどうか……。でも、わたくしは間違いなくディーを愛していますし、同時にディーが複数の妻を持つことに賛成です」
「それは高位貴族の娘として政治的な話か?」
「それもありますけど、わたくしの趣味の方が比重が大きいですわ。お聴きになりますか?」
「…………」

 オレは聞くべきなのだろうか?

 いや、聞くべきなのだろう。

「教えてくれ。オレはドーラをできる限り理解したいし、愛したい」
「ディーはストレートに愛情を伝えてくれるので、少し照れてしまいますね」

 そう言うカサンドラの頬は少し赤く染まっていた。

「えっと、わたくしがディーの妻が増えることに賛成なのは、わたくしの趣味が大きく関係しています。わたくしはかわいい女の子が大好きなのです!」
「はい……?」

 なんだか予想外の発言がきたぞ。

「ですから、かわいい女の子が大好きなのです! 一番は姫様ですが、リアさんやリリーさんもかわいいですよね? ディーもかわいいと思いますよね?」
「あ、ああ」
「そうですよね! わたくしがディーとの結婚に賛成したのは、姫様がディーと結ばれる可能性が高かったからです! わたくしは、姫様と一緒になりたいのです!」
「なるほど……」
「……理解してくださいますか?」
「ああ……」

 つまりカサンドラは、女性が好きな女性ってこと?

 オレも詳しいわけじゃないが、オレは前世の日本の記憶がある。性の自認や同性愛者という言葉を知っている。

「素晴らしいです、ディー! まさか、理解してくださる殿方がいらっしゃるなんて! ああ、女神様。感謝いたします!」

 大袈裟なと思うかもしれないが、ここはジェンダー論に関して後進国と言われている日本よりも認識がひどい異世界だ。カサンドラのような同性愛者にとってとても生きにくい世界なのだろう。

「でも、ドーラは女性が好きなのなら、オレのことは……?」
「たしかにわたくしは女性が好きですけど、ディーのことは不思議と愛せることができます。そうでなければ、毎晩のように抱かれたりしません」
「なるほど……」

 カサンドラの言葉には説得力があった。

 つまり、オレはカサンドラにとっての例外なのだろう。

「よかった。オレはドーラの望まないことを強要していたわけじゃないんだね……」
「もう少しだけ回数を考えてくれると助かるのですけど」
「ドーラが魅力的なのが悪い」
「もう。でも、そういうことにしておきますわ」
「ごめんね?」
「夫の欲望を受け止めるのも妻の務めですもの。それに、ディーもまだ十四歳。お姉さんに任せなさい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

処理中です...