【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)

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111 バウムガルテンへ

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「さて、それでは出発するか!」

 王都でのやるべきことをすべて終えて、オレたちはついに王都からバウムガルテン領へと出発する日がやってきた。

 職人や商人やその家族も居るのでかなりの大所帯だな。まるで大名行列みたいだ。

 そして、その大名行列を警護するように武装した集団が少数居た。バウムガルテン領行きを決めてくれた冒険者のメンバーである。

 当然ながら、その中にはリーンハルトの姿はない。彼には王都でイベントをこなしてもらわなくてはならないからね。本人は行きたそうにしていたが、こちらで断固拒否した。

 そんな大名行列の中央にオレたちの乗る馬車があるのだが、オレたちの馬車の後ろには、豪華な大きい馬車が二両も控えていた。エレオノーレとクラウディアが乗る馬車だ。

「なあ、クラウとエルは本当に付いてくるつもりか? 恥ずかしい話だが、バウムガルテン領はまともに王族の歓待もできないようなとんでもない田舎だぞ? 絶対に不自由する。それに、本当に陛下のお許しがあるのか?」
「大丈夫ですわ、ディー。ちゃんと陛下のお許しは貰いました。領地の発展を見るのも将来上に立つ者に必要なことですもの。それに、わたくしたち王族は、いざとなれば戦場にも出ますわ。わがままは言いません」
「エルの言う通りです。決して邪魔はしませんから、たまにわたくしたちの相手をしてくださるだけでかまいませんわ」
「はぁ……」

 まさか本当にエレオノーレとクラウディアがバウムガルテン領に来ることになるとは……。本人たちはこう言っているが、王族を放置したなんて噂が立てば外聞が悪い。全力でもてなさないとな……。

 まぁ、エレオノーレとクラウディアがバウムガルテン領に来ることによってもたらされるのは、なにもマイナス面ばかりではない。

 例えば、ヒューブナー辺境伯の問題。

 ヒューブナー辺境伯は王都に呼び出され、王様によって厳重注意がされた。だがヒューブナー辺境伯がこちらを恨んでいることは確実だろう。

 またなにかバカなことをやりそうだが、さすがに王女が二人もバウムガルテン領に居る状況で仕掛けてはこないだろう。

 ヒューブナー辺境伯へのストッパーとして機能してくれるならありがたい。

 この間に領地を富ませて、防衛体制も強化しないとな。

 そんなこんなでトラブルはありつつも王都からバウムガルテン領に向けて大名行列は出発した。

 途中の大きな街の冒険者ギルドでヒュドラを使ったパフォーマンスをしながら、有能な人材に声をかけながら、何日もかけてバウムガルテン領目指して進んでいく。

 こんな大名行列なんて珍しいのか、どこに行ってもオレたちは注目の的だった。


 ◇


 懐かしい土と緑の香り。見渡せば地平線が見えるほどなにもない大地。これこそがバウムガルテンだな。なにも無さすぎて逆に安心するわ。

「バウムガルテンよ! 私は帰ってきた!」
「伯爵様! 伯爵様が帰ってきたぞ!」
「オラたちの領主様が帰ってきたぞ!」
「ご立派になられて……」
「領主様万歳! 伯爵様万歳!」
「「「「「万歳! 万歳!」」」」」

 村人たちも変わりないようだな。人が少ないからか、それとも凶作の時は村人たちを死なせないように飯を配っていたからか、村人たちからのバウムガルテン家に対する信頼は厚い。我が家のちょっとした自慢だ。

「坊ちゃま!」
「爺!」
「坊ちゃま……。いえ、もう旦那様とお呼びしなくては。旦那様のご活躍はここバウムガルテン領にも轟いております。伯爵になられましたこと、本当にめでたく思います。亡き旦那様と奥様がいらっしゃれば……」
「湿っぽい話はなしだ、爺。紹介しよう、妻のカサンドラと、妹のリリーだ」
「奥様、リリーお嬢様、ようこそバウムガルテン領へおいでくださいました。わたくしはバウムガルテン家の家令を務めておりますクルトと申します」
「アルトマイヤー侯爵家から嫁いでまいりました。カサンドラ・バウムガルテンでございます。クルト、よろしくおねがいしますね」
「リリはリリーって言う。よろしく、お爺」
「細かい紹介はあとにしよう。実は非公式だが、この国の王女殿下が二人もいらっしゃっているんだ」
「なんですと!?」

 こんなド田舎にお姫様が来るんて青天の霹靂だろう。爺が驚くのもよくわかる。

「しかし、バウムガルテンのお家では王族の姫君を迎えるのにふさわしい歓待など……」
「そのあたりは姫殿下もわかってくださっている。だが、歓迎する気持ちは伝えねばならん。よって、今夜は我が領を挙げての宴会だ! そのための酒や食い物は買ってきたぞ」

 王族を粛々と迎えて厳粛な歓待式などバウムガルテン家には土台無理な話だ。ならば、ここはド田舎という利点を活かして、領民総出で歓迎会を開いてしまおう。

「皆、よく聞け! 今日は宴会だ! バウムガルテン領に来た者たちを総出で歓迎するぞ!」
「「「「「おおー!」」」」」

 宴会に喜んでいるのか、新たな仲間たちに喜んでいるのか、どっちだろうな?

「みんな! 料理を作るわよ!」
「見たこともない食材がたくさんありますね?」
「どうやって調理すればいいんだ!?」
「あのー、これはこうすると……」
「あんた、見ない顔だな? お客さんかい?」
「いえ、私たちはバウムガルテン領に越してきた者です」
「じゃあ、今日からお仲間だな。よろしくたのむぜ?」
「はい!」

 まぁ、この宴会によって新たに連れてきた職人たちがわだかまりなくバウムガルテン領に馴染めたのはよかったな。
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