26 / 189
026 おっふろー
しおりを挟む
「では、解散!」
「「「「「おつかれさまでしたー!」」」」」
またモンスターの駆除を為し終えて、オレたちはバウムガルテン邸の前で解散した。
「やれやれ、疲れたな。バッハ、疲れているところ悪いが、風呂の準備を頼む」
「了解です!」
バッハの子気味良い返事に頷き、風呂の準備が終わるまで何をしようかと悩んでいると、武装したコルネリアが近づいてきた。
コルネリアは、その抜群の強さで今回もMVPをかっさらっていった。だいたいモンスター全体の七割ほどがコルネリアの刃の下に屠られた。
大きな怪我どころか掠り傷一つない完勝だ。
コルネリアのギフトも着々と成長している。
コルネリアが強いのはたいへんよろしいが、オレはコルネリアの強さに付いていけていないのが課題だな。まず動くスピードからして違うのだから置いて行かれてしまう。コルネリアとの連携なんて今のままでは夢のまた夢だな。
それを【アン・リミテッド】を使ってなんとかコルネリアに追いつくのが今の目標だ。
でも、【アン・リミテッド】を使うと、体がめちゃくちゃ痛いんだよなぁ……。筋肉やら腱がブチブチ切れるし、骨もボキボキ折れる。いくらすぐに治るといっても、それで痛さは軽減しない。
だが、これもコルネリアを護るためだ。泣き言なんて言っていられない。
【アン・リミテッド】をなんとか習得し、いつでも使えるようにしとかないとな。
想像するだけで涙が出そうなほどだが、がんばらねば……!
オレが新たな決意を固めていると、コルネリアが目の前にやってきた。
「お兄さまもお風呂に入るの?」
「ああ。リアも汗をかいただろう? 先に入るといいよ」
コルネリアは大のお風呂好きだ。三日もお風呂に入れなかったのだから、きっと今すぐにでも入りたいだろう。オレはコルネリアに風呂の順番を譲った。
「お兄さまも入りたいなら、一緒に入ろ!」
「それは……。どうなんだ?」
オレはコルネリアの頭から足までを流し見する。
コルネリアは小さい。もうすぐ十一歳だというのに、六、七歳くらいにしか見えない。当然胸が膨らんでいる様子もなく、第二次性徴はまだなのだということはわかる。
コルネリアはまだまだ子どもだ。だが、年齢はもうすぐ十一歳である。普通はそろそろ男親や男兄弟に裸を見られることを恥ずかしがってもいい年齢のはずだが……。
「ね? 一緒に入ろ、お兄さま?」
「リアがいいなら……」
まぁ、コルネリアからの提案だし、あまりこちらが勝手に気を回すのも変な話か。
「やった! お兄さまとお風呂ー!」
何がそんなに嬉しいのか、コルネリアははしゃいでいた。コルネリアの心は、その見た目と同様にまだまだ子どもなのだろう。
オレはそう納得して、コルネリアの手を引いてお風呂へと向かうのだった。
◇
ザーッと体を流し、ちゃぽんと湯船に浸かる。いつもは出てしまう「あ゛ぁ~」というおじさん染みた声を出すのはさすがに自粛した。
狭い湯舟の中、肌が触れそうなほど近くにはコルネリアの姿があった。
「えへへ、あったかいね」
「ああ、そうだね」
さすがに一人では体を伸ばせる湯舟でも、二人で入ればぎゅうぎゅうだ。
「こうすると、もっとあったかいかも」
右隣に居るコルネリアは、ちゃぷちゃぷとお湯を鳴らしながら動いて、オレの右腕に抱き付いて、オレの右肩に頭をちょこんと預ける。
コルネリアはオレに甘えたいのかな?
たしかに、最近はコルネリアを一人前の淑女にすることに熱を燃やして、あまり甘やかしていなかったかもしれない。それで寂しい思いをさせてしまったのだろうか?
お湯のせいか、僅かに赤くなったコルネリアの頬。その下には少女らしい少しふっくらとした白い体がピンクに色づいていた。
オレはいつか見たガリガリのコルネリアを思い出す。あれは見ていて不安と恐怖しか感じなかったが、今は安心感を感じた。
コルネリアは少し身長は低いが、立派に女の子として成長している。
「お兄さま……?」
コルネリアがオレを見上げた。ビックリするほど至近距離で見つめ合うオレたち。
「お兄さま……」
なにを思ったのか、コルネリアがその紅い目を閉じて、んっと唇を軽く伸ばす。まるでキスをねだっているようだが……。まさかな?
「んー……」
オレは首を伸ばしてコルネリアのおでこにキスをする。
汗をかいているのか、コルネリアのおでこは少しだけしょっぱいような気がした。
「ちぇー……」
なぜか不満そうにおでこを触るコルネリア。本当にキスを求めていた?
「そういうのは、将来の旦那さんまでお預けだよ」
「でも、お兄さまは私と結婚してくれるって言ったもん」
そうだっけ?
あれか、二十歳まで婚約者ができなかったらって話か。
この国の貴族は結婚が早いから、二十を超えると行き遅れと言われてしまう。コルネリアもたぶん二十前に結婚するだろう。
コルネリアが結婚……?
オレはそれを認められるだろうか?
少なくともオレ以上にコルネリアを大切にしてくれる奴じゃないと認めないよ?
「はぁー……」
このままでは将来コルネリアにウザがられてしまうだろう。自制しないと。
「「「「「おつかれさまでしたー!」」」」」
またモンスターの駆除を為し終えて、オレたちはバウムガルテン邸の前で解散した。
「やれやれ、疲れたな。バッハ、疲れているところ悪いが、風呂の準備を頼む」
「了解です!」
バッハの子気味良い返事に頷き、風呂の準備が終わるまで何をしようかと悩んでいると、武装したコルネリアが近づいてきた。
コルネリアは、その抜群の強さで今回もMVPをかっさらっていった。だいたいモンスター全体の七割ほどがコルネリアの刃の下に屠られた。
大きな怪我どころか掠り傷一つない完勝だ。
コルネリアのギフトも着々と成長している。
コルネリアが強いのはたいへんよろしいが、オレはコルネリアの強さに付いていけていないのが課題だな。まず動くスピードからして違うのだから置いて行かれてしまう。コルネリアとの連携なんて今のままでは夢のまた夢だな。
それを【アン・リミテッド】を使ってなんとかコルネリアに追いつくのが今の目標だ。
でも、【アン・リミテッド】を使うと、体がめちゃくちゃ痛いんだよなぁ……。筋肉やら腱がブチブチ切れるし、骨もボキボキ折れる。いくらすぐに治るといっても、それで痛さは軽減しない。
だが、これもコルネリアを護るためだ。泣き言なんて言っていられない。
【アン・リミテッド】をなんとか習得し、いつでも使えるようにしとかないとな。
想像するだけで涙が出そうなほどだが、がんばらねば……!
オレが新たな決意を固めていると、コルネリアが目の前にやってきた。
「お兄さまもお風呂に入るの?」
「ああ。リアも汗をかいただろう? 先に入るといいよ」
コルネリアは大のお風呂好きだ。三日もお風呂に入れなかったのだから、きっと今すぐにでも入りたいだろう。オレはコルネリアに風呂の順番を譲った。
「お兄さまも入りたいなら、一緒に入ろ!」
「それは……。どうなんだ?」
オレはコルネリアの頭から足までを流し見する。
コルネリアは小さい。もうすぐ十一歳だというのに、六、七歳くらいにしか見えない。当然胸が膨らんでいる様子もなく、第二次性徴はまだなのだということはわかる。
コルネリアはまだまだ子どもだ。だが、年齢はもうすぐ十一歳である。普通はそろそろ男親や男兄弟に裸を見られることを恥ずかしがってもいい年齢のはずだが……。
「ね? 一緒に入ろ、お兄さま?」
「リアがいいなら……」
まぁ、コルネリアからの提案だし、あまりこちらが勝手に気を回すのも変な話か。
「やった! お兄さまとお風呂ー!」
何がそんなに嬉しいのか、コルネリアははしゃいでいた。コルネリアの心は、その見た目と同様にまだまだ子どもなのだろう。
オレはそう納得して、コルネリアの手を引いてお風呂へと向かうのだった。
◇
ザーッと体を流し、ちゃぽんと湯船に浸かる。いつもは出てしまう「あ゛ぁ~」というおじさん染みた声を出すのはさすがに自粛した。
狭い湯舟の中、肌が触れそうなほど近くにはコルネリアの姿があった。
「えへへ、あったかいね」
「ああ、そうだね」
さすがに一人では体を伸ばせる湯舟でも、二人で入ればぎゅうぎゅうだ。
「こうすると、もっとあったかいかも」
右隣に居るコルネリアは、ちゃぷちゃぷとお湯を鳴らしながら動いて、オレの右腕に抱き付いて、オレの右肩に頭をちょこんと預ける。
コルネリアはオレに甘えたいのかな?
たしかに、最近はコルネリアを一人前の淑女にすることに熱を燃やして、あまり甘やかしていなかったかもしれない。それで寂しい思いをさせてしまったのだろうか?
お湯のせいか、僅かに赤くなったコルネリアの頬。その下には少女らしい少しふっくらとした白い体がピンクに色づいていた。
オレはいつか見たガリガリのコルネリアを思い出す。あれは見ていて不安と恐怖しか感じなかったが、今は安心感を感じた。
コルネリアは少し身長は低いが、立派に女の子として成長している。
「お兄さま……?」
コルネリアがオレを見上げた。ビックリするほど至近距離で見つめ合うオレたち。
「お兄さま……」
なにを思ったのか、コルネリアがその紅い目を閉じて、んっと唇を軽く伸ばす。まるでキスをねだっているようだが……。まさかな?
「んー……」
オレは首を伸ばしてコルネリアのおでこにキスをする。
汗をかいているのか、コルネリアのおでこは少しだけしょっぱいような気がした。
「ちぇー……」
なぜか不満そうにおでこを触るコルネリア。本当にキスを求めていた?
「そういうのは、将来の旦那さんまでお預けだよ」
「でも、お兄さまは私と結婚してくれるって言ったもん」
そうだっけ?
あれか、二十歳まで婚約者ができなかったらって話か。
この国の貴族は結婚が早いから、二十を超えると行き遅れと言われてしまう。コルネリアもたぶん二十前に結婚するだろう。
コルネリアが結婚……?
オレはそれを認められるだろうか?
少なくともオレ以上にコルネリアを大切にしてくれる奴じゃないと認めないよ?
「はぁー……」
このままでは将来コルネリアにウザがられてしまうだろう。自制しないと。
42
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
伯爵令息は後味の悪いハッピーエンドを回避したい
えながゆうき
ファンタジー
停戦中の隣国の暗殺者に殺されそうになったフェルナンド・ガジェゴス伯爵令息は、目を覚ますと同時に、前世の記憶の一部を取り戻した。
どうやらこの世界は前世で妹がやっていた恋愛ゲームの世界であり、自分がその中の攻略対象であることを思い出したフェルナンド。
だがしかし、同時にフェルナンドがヒロインとハッピーエンドを迎えると、クーデターエンドを迎えることも思い出した。
もしクーデターが起これば、停戦中の隣国が再び侵攻してくることは間違いない。そうなれば、祖国は簡単に蹂躙されてしまうだろう。
後味の悪いハッピーエンドを回避するため、フェルナンドの戦いが今始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる