【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)

文字の大きさ
17 / 189

017 恐怖

しおりを挟む
 南村から戻ったオレたちは、バウムガルテンのボロ屋敷で休息をとっていた。移動は荷馬車に座っていただけだが、屋敷に着いた途端に重い疲れが出た。コルネリアなんて、屋敷に着くなり疲れ果てて寝てしまったくらいだ。

「はぁ……」

 オレも眠ってしまいたい……。

「お疲れさまです、坊ちゃま。さっそくですが……」

 だが、留守にしていた間の報告も聞かないとな。爺の話を聞いたら寝てしまおう。

「本村の村人に教育費を天引きした仕送りを払いました。結果は上々です。子どもたちを取り上げるだけではなく教育を施していることも周知できましたし、坊ちゃんへの反発もかなり小さくなっています」
「ああ」
「ただ、やはり一部の母親の間では子どもを返してほしいという要望も根強くあります」
「夏休みと冬休みだけでは不足か? 希望者は親元に帰しているはずだが?」
「おそらくですが、子どもの成長を近くで見れないことが不満なのだと思います。休みを増やして親の元に帰しても大して効果はないかと……」
「なるほどな」

 そういうものか? オレはむしろ、子どもを金の生る木だと考えて、親の愛情を受けていない子どもをバンバン作る親が出ることを危惧していたんだがな……。

 まぁ、オレの危惧なんて現実にならないならならない方がいい。

 愛情深いらしいバウムガルテン領の領民に乾杯だ。

「それから、教会よりまた苦情がきています」
「またか、心の狭い連中だな」

 普段、バウムガルテン領に来る商人は護衛を雇わない。危険なことこの上ないが、これにはカラクリがある。

 商人たちは、教会の馬車に追従する形でやって来るのだ。

 教会の馬車は、万が一にも盗賊やモンスターに敗北することが無いようにしっかりと護衛が付いている。ようは商人たちは、露払いを教会に任せて自分たちは護衛を雇わないことで安く移動しているのだ。

 当然だがそんなことされれば教会からの心象はよろしくない。だが、商人たちの中には金は命よりも重いなんて公言している奴も居るくらいだからな。教会側が注意してもなかなか止めないらしい。

 それで、オレに止めさせろと苦情がくるのだ。

 ぶっちゃけ、教会なんてなんの役にも立たない連中よりも、より安価で物資を運んでくれる商人たちの方が大事だ。それとなくもっとやれと応援してやったくらいにはな。

「教会の苦情など捨ておけ」
「よろしいのですか?」
「いい。それよりも爺、今回の遠征だが、聞いたか?」
「アヒムより報告を受けています。にわかには信じられてませんでしたが……。なんでもコルネリアお嬢様が一人で百を超えるゴブリンを倒してしまわれたとか……」
「そうだ」

 オレは重々しく頷くことでアヒムの報告が間違っていないことを認めた。

「なんと……」

 息子の言葉とはいえ半信半疑だったのだろう。爺が喘ぐように呟いた。

「それで、だが……。問題はコルネリアが領民にどう思われるかだ。オレはリアの心を護りたい」

 強すぎる力は、恐怖を生む。コルネリアが恐怖の象徴になるなど、コルネリアの心に悪影響が及ぶのは間違いない。

 そんなことはさせない! オレはコルネリアの体だけではなく、その心も護りたいのだ!

「初期対応として緘口令を敷くことも考えられますが……」
「だが、人の口には戸が立てられないとも言う。緘口令を敷けば、なにか疚しいことがあるのかと疑われかねん」

 それにコルネリアは、今回ゴブリンを倒すことができたことを非常に喜んでいる。長年臥せっていたコルネリアは、そのことを申し訳なく感じているのだ。

「これでバウムガルテンのお荷物なんて言わせないもん!」

 かつてコルネリア付きのメイドだったアンナに言われたのだろう。本当にアンナの奴は許せないな。今すぐにでも処刑してしまいたい。

 だがコルネリアの目標はアンナを見返すことだ。勝手に処刑してしまったら気に病むだろう。

 コルネリアは優しすぎる。

 それにコルネリアは、ゴブリンを退治したことはいいことだと認識している。いつもベッドの上で動けなかったコルネリアが、初めて自分で為した皆の役に立てたこと。

 そのことに緘口令を敷いたとなれば、コルネリアはどう思うだろう?

 自分のしたことが間違いだったのではと気に病みかねない。

 かと言って、領民がコルネリアに救ってもらった恩も忘れて彼女を色眼鏡で見るのも許しがたい。

 さて、どうするか……?

 とはいっても、こちらから打てる手はそんなにない。

「先手を取って、コルネリアの功績を肯定的に捉える土壌を作るのが先決か……」

 コルネリアが百体ものゴブリンを討ち取ったことをこちらから発表してしまい、その際に「こんなに強力なギフトを賜ったコルネリアは神に愛されている。コルネリアが居れば、もうモンスターに怯える必要も無い。さあ、皆でコルネリアを称えよう」
そんな風に持っていければいいが……。

 元々山に囲まれた陸の孤島であるが故に、バウムガルテン領はモンスターの被害が多い。過去には村が潰されたこともあるほどだ。交通の便も悪いし、金になるようなモンスターが居るわけでもないため冒険者なんて来ない。

 常備兵も居なかったし、自衛するしかないのだが、コルネリアの存在は領民の希望に成れるかもしれない。

 一度立場を固めてしまえば、コルネリアが受け入れられる可能性が高い。

 人は自分の信じたいものを信じるのだから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

死神と恐れられた俺、転生したら平和な時代だったので自由気ままな人生を享受する

オカさん
ファンタジー
たった一人で敵軍を殲滅し、『死神』と恐れられた男は人生に絶望して自ら命を絶つ。 しかし目を覚ますと500年後の世界に転生していた。 前世と違う生き方を求めた彼は人の為、世の為に生きようと心を入れ替えて第二の人生を歩み始める。 家族の温かさに触れ、学園で友人を作り、世界に仇成す悪の組織に立ち向かって――――慌ただしくも、充実した日々を送っていた。 しかし逃れられたと思っていたはずの過去は長い時を経て再び彼を絶望の淵に追いやった。 だが今度こそは『己の過去』と向き合い、答えを導き出さなければならない。 後悔を糧に死神の新たな人生が幕を開ける!

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

処理中です...