8 / 10
008 お姫様のお誘い
しおりを挟む
「我がパーティは、現在34階層を攻略中である。貴殿の所属していた『蒼天』には敵わないが、これはなかなかの……」
ライルと別れて30分程、オレはまだ冒険者ギルドの食堂の片隅に居た。
ライルが消えた後、オレはずっとパーティの勧誘にあっていた。これで何パーティ目だ?もう数えるのも諦めたくらいだ。
今、オレの前で饒舌に語る男の後ろには、何人もの人間がオレを勧誘する為に列をなして並んでいる。うんざりする光景だ。後何時間かかるんだよ?
「どうであろう?貴殿が我がパーティに加わってくれるのなら、こんなに心強い事は無い。我がパーティに入ってくれるな?」
「悪いがパスで」
ひょっとしたら、『月影』みたいなビックネームからの誘いもあるかと思って一応聞いているんだが、今のところ初心者パーティや良くて中堅クラスのパーティばっかりだ。これは期待薄かな…。
「うむ。貴殿ならそう言ってくれr……え!?ダメなの!?」
男が信じられないものを見たような顔をして驚く。なんでそんなに驚くんだよ?
確かに34階層は今まで聞いた中でも一番攻略が進んでるけど、それでも34だ。最低でも45は欲しいところだ。
「そこをなんとか頼むよ~。な?我らには貴殿の力が要るんだよ~」
お前口調どうしたんだよ?さっきの威厳ある感じはどこ行ったんだ。急になよなよになったぞ。
「なぁ、考え直してくれよ~。他のメンバーより多めに報酬渡すからさ~」
しつこい奴だな。しかもさらっと危険な事言うし。そんなことすればパーティの不和の元じゃないか。こいつのパーティは無しだな。
「どけ、次はオレの番だ!」
男の次に並んでいた奴が言う。コイツかー…。見たところ初心者なんだよな。まだ若いし、鎧がピカピカの新品だ。これも期待できないな。
「うるさいわい!初心者は引っ込んでおれ!」
「なんだと!」
あー、君達?言い争いなら他所でやってくれないか?
「はぁー…」
ため息が出るのを禁じ得ない。
俯いたオレに近づく影があった。なんだ?次の勧誘か?
視線を上げると、女が4人居た。皆なかなかの美人さんだ。コイツら並んでたっけ?横入りは感心しないな。でも、誰も文句を言わないようだ。先程言い争いをしていた男達も黙っている。それだけの実力者って事か?
この街の実力者なら大体知ってるはずなんだが……パッと出てこないな。誰だコイツら?でもどっかで見覚えあるような……。
「アレク、ウチのお姫様がお呼びだよ。来な」
女達はオレのことを知ってるみたいだ。でもオレは彼女達のことを思い出せない。くそぅ、ココまで出てるのに……あと一歩で思い出せない。誰だコイツら?それに、お姫様?誰だよソイツは?
「ああ」
オレはこの女達に付いて行くことに決めた。このまま此処で勧誘を受けるのに飽きたのだ。それに……。
オレは女達の立ち姿を見る。自然な立ち姿だが、隙は見当たらない。重心にブレは無く、よく鍛えられていることが分かる。少なくとも今並んでる奴らよりも実力は上だろう。コイツらの話の方が面白そうだ。
それに、そんな実力のある女達が、お姫様なんて上に呼んでいる奴にも興味が沸いた。
「そういうわけだ。わりぃな、お前ら」
オレは並んでる奴らに断りを入れると、女達に続いて冒険者ギルドを後にした。
ライルと別れて30分程、オレはまだ冒険者ギルドの食堂の片隅に居た。
ライルが消えた後、オレはずっとパーティの勧誘にあっていた。これで何パーティ目だ?もう数えるのも諦めたくらいだ。
今、オレの前で饒舌に語る男の後ろには、何人もの人間がオレを勧誘する為に列をなして並んでいる。うんざりする光景だ。後何時間かかるんだよ?
「どうであろう?貴殿が我がパーティに加わってくれるのなら、こんなに心強い事は無い。我がパーティに入ってくれるな?」
「悪いがパスで」
ひょっとしたら、『月影』みたいなビックネームからの誘いもあるかと思って一応聞いているんだが、今のところ初心者パーティや良くて中堅クラスのパーティばっかりだ。これは期待薄かな…。
「うむ。貴殿ならそう言ってくれr……え!?ダメなの!?」
男が信じられないものを見たような顔をして驚く。なんでそんなに驚くんだよ?
確かに34階層は今まで聞いた中でも一番攻略が進んでるけど、それでも34だ。最低でも45は欲しいところだ。
「そこをなんとか頼むよ~。な?我らには貴殿の力が要るんだよ~」
お前口調どうしたんだよ?さっきの威厳ある感じはどこ行ったんだ。急になよなよになったぞ。
「なぁ、考え直してくれよ~。他のメンバーより多めに報酬渡すからさ~」
しつこい奴だな。しかもさらっと危険な事言うし。そんなことすればパーティの不和の元じゃないか。こいつのパーティは無しだな。
「どけ、次はオレの番だ!」
男の次に並んでいた奴が言う。コイツかー…。見たところ初心者なんだよな。まだ若いし、鎧がピカピカの新品だ。これも期待できないな。
「うるさいわい!初心者は引っ込んでおれ!」
「なんだと!」
あー、君達?言い争いなら他所でやってくれないか?
「はぁー…」
ため息が出るのを禁じ得ない。
俯いたオレに近づく影があった。なんだ?次の勧誘か?
視線を上げると、女が4人居た。皆なかなかの美人さんだ。コイツら並んでたっけ?横入りは感心しないな。でも、誰も文句を言わないようだ。先程言い争いをしていた男達も黙っている。それだけの実力者って事か?
この街の実力者なら大体知ってるはずなんだが……パッと出てこないな。誰だコイツら?でもどっかで見覚えあるような……。
「アレク、ウチのお姫様がお呼びだよ。来な」
女達はオレのことを知ってるみたいだ。でもオレは彼女達のことを思い出せない。くそぅ、ココまで出てるのに……あと一歩で思い出せない。誰だコイツら?それに、お姫様?誰だよソイツは?
「ああ」
オレはこの女達に付いて行くことに決めた。このまま此処で勧誘を受けるのに飽きたのだ。それに……。
オレは女達の立ち姿を見る。自然な立ち姿だが、隙は見当たらない。重心にブレは無く、よく鍛えられていることが分かる。少なくとも今並んでる奴らよりも実力は上だろう。コイツらの話の方が面白そうだ。
それに、そんな実力のある女達が、お姫様なんて上に呼んでいる奴にも興味が沸いた。
「そういうわけだ。わりぃな、お前ら」
オレは並んでる奴らに断りを入れると、女達に続いて冒険者ギルドを後にした。
1
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

レノと不思議ポケット~孤児院を追い出された青年は冒険者として成り上がる~
海堂金太郎
ファンタジー
神様からのプレゼント『ギフト』は良くも悪くも人の人生を大きく動かしてしまう。
孤児院で暮らす青年レノは間違いなく悪い方に動かされた一人だった。
『不思議ポケット』ポケットを叩くとお菓子が出てくる…ただそれだけのギフトのせいで引き取り先が見つからず追い出されるようにして孤児院を巣立ったレノは生きるために冒険者になる。そして気づく―――「あれ、このギフト意外と使えるのでは?」―――これは一度は人生を諦めてしまった青年が冒険者として大成していくまでの物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる