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021 【勇者の友人】
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「それはね、【勇者】を決めるのは僕だからだよ」
僕の言葉に、イヤイヤと首を横に振っていたアンナの動きが止まり、まるで時が止まったかのように静寂が訪れた。『極致の魔剣』の皆が、僕の言葉の意味を理解できず、フリーズする。
「君は、何を言っているんだ?」
いち早く再起動したのは、アレクサンダーだった。アレクサンダーが、困惑に眉を寄せて問うてくる。
「そうだ、どういう意味だ?」
「てめぇは何を言ってやがる?」
遅れてルドルフとフィリップが声を上げる。その顔にはアレクサンダーと同じく困惑が浮かんでいた。
アンナがゆっくりと顔を上げ、僕を見る。表情を動かす余裕すら無いのか、その顔は無表情だ。
いきなり結論から言われても、皆理解できないみたいだね。それじゃあ最初から分かりやすく説明してあげよう。このどうしようもない現実を。せいぜい絶望してほしい。君たちの希望が絶たれるのだから。
「質問だよ、アレクサンダー。僕のギフトの名前はなんだったかな?」
「【勇者の友人】だろう? 何を今更……」
「そう。【勇者の友人】だ。じゃあ、その効果は?」
「効果は不明だったはずだ。勇者に関連すると思われるが……まさか、効果が分かったのか?」
「そうだよ」
僕はアレクサンダーの答えに頷いてみせる。
「【勇者の友人】は、友人を強化するギフトなんだよ。強化する値は、その友人との友情、信頼度と言ってもいいかな?それによるんだ」
アレクサンダーたちの顔がますます困惑に歪む。
「君のギフトの有用性は分かった。だが、それが【勇者】と何の関係がある?」
「そうだ、てめぇはさっきから何言ってやがるんだ?」
うーん……。今のが一番直接アレクサンダーたちに関係があることだったんだけど……もしかして、気付いてないのかな? もしかしたら、今は勇者のことで頭がいっぱいなのかもしれない。
「関係大アリだよ。なにせ、この友人の中から僕が【勇者】を選ぶんだから」
「その【勇者】を選ぶというのが分からない。君には、人に【勇者】のギフトを授ける力があるとでもいうのか?」
「そうだよ」
「「!?」」
「は!?」
「あ!?」
僕の言葉が信じられないのか、『極致の魔剣』の面々が目を剥いて驚きを露わにする。
「そんな神のような御業が…!?」
「そういうギフトなんだよ。僕を含めて皆、勘違いしてたんだ。【勇者の友人】はただの【勇者】のオマケのギフトじゃない。むしろ、【勇者】のギフトが【勇者の友人】のオマケなんだよ」
あまりの真実に言葉を失うアレクサンダーたち。しかし、その中でただ1人、希望を見つけたと瞳を輝かせた者が居た。アンナだ。
「じゃ、じゃあ、クルトが選んでくれれば、私はまた勇者になれるってこと?」
アンナが上目遣いに媚びた視線を送ってくる。
「そうだけど……」
僕が肯定するとアンナの顔がパアッと輝いた。
「僕はアンナを【勇者】に選ぶつもりはないよ」
「どうしてよ!?」
アンナが立ち上がると、テーブルを両手でバンッと叩いて僕を睨み付ける。なんだか猿みたいだ。
「どうしてって、君たちが僕にした仕打ちを思い出してみなよ」
罵詈雑言は当たり前、酷い時には暴力もあった。働いても報酬なんてもらえない、まるで奴隷以下の扱い。そんな扱いを受けて、なぜまだ僕が君たちに尽くさないといけないんだ。
「でも! でもでも! あなた私のこと好きでしょ?」
「は?」
今更何を言い出すんだ?
「好きなら私のこと勇者にしてよ!」
「いったい、いつの話をしてるの? もうとっくに嫌いだよ。僕はね、アンナ。君のそういう自分のことを好きな人は自分に尽くして当たり前だと思っている自己中心的なところが大っ嫌いだ」
「イヤぁ……なんで……なんでそんなこと言うのよ……」
ついには泣いて座り込んでしまったアンナ。
「ごめんなさい……ごめんなさい、クルト……」
アンナは、今更泣きながら謝罪を口にする。そんなアンナの姿を見て、ルドルフが僕を責めるような目で見る。
「クルト、アンナが可哀想だろう。アンナも謝っている。アンナの言い分も聞いてやりなさい」
僕には、なぜルドルフが自分は無関係と言わんばかりに上から目線で説教してくるのか謎だ。君もアンナと一緒だよ?
「勘違いしているのかもしれないけど、弱体化したのはアンナだけじゃないよ? 君たちも当事者だ」
「は?」
「なんだと?」
「どういうことだ?」
「さっき言ったよね? 僕のギフトは友人を強化するギフトだって。つまり、今までの君たちは、僕によって強化されていたんだけど……昨日、君たちのことを友人リストから外したんだ。もう、君たちにバフ効果は無いよ」
「「「………」」」
心当たりがあるのか、難しい顔で沈黙するアレクサンダー、ルドルフ、フィリップ。僕は彼らの神経を逆なでるように言葉を重ねる。
「今までの力が自分の実力だと思ってた? 残念! それは僕のギフトによって強化されたものなんだよ。君たちの本当の実力はどの程度なんだろうね?」
僕の言葉に、イヤイヤと首を横に振っていたアンナの動きが止まり、まるで時が止まったかのように静寂が訪れた。『極致の魔剣』の皆が、僕の言葉の意味を理解できず、フリーズする。
「君は、何を言っているんだ?」
いち早く再起動したのは、アレクサンダーだった。アレクサンダーが、困惑に眉を寄せて問うてくる。
「そうだ、どういう意味だ?」
「てめぇは何を言ってやがる?」
遅れてルドルフとフィリップが声を上げる。その顔にはアレクサンダーと同じく困惑が浮かんでいた。
アンナがゆっくりと顔を上げ、僕を見る。表情を動かす余裕すら無いのか、その顔は無表情だ。
いきなり結論から言われても、皆理解できないみたいだね。それじゃあ最初から分かりやすく説明してあげよう。このどうしようもない現実を。せいぜい絶望してほしい。君たちの希望が絶たれるのだから。
「質問だよ、アレクサンダー。僕のギフトの名前はなんだったかな?」
「【勇者の友人】だろう? 何を今更……」
「そう。【勇者の友人】だ。じゃあ、その効果は?」
「効果は不明だったはずだ。勇者に関連すると思われるが……まさか、効果が分かったのか?」
「そうだよ」
僕はアレクサンダーの答えに頷いてみせる。
「【勇者の友人】は、友人を強化するギフトなんだよ。強化する値は、その友人との友情、信頼度と言ってもいいかな?それによるんだ」
アレクサンダーたちの顔がますます困惑に歪む。
「君のギフトの有用性は分かった。だが、それが【勇者】と何の関係がある?」
「そうだ、てめぇはさっきから何言ってやがるんだ?」
うーん……。今のが一番直接アレクサンダーたちに関係があることだったんだけど……もしかして、気付いてないのかな? もしかしたら、今は勇者のことで頭がいっぱいなのかもしれない。
「関係大アリだよ。なにせ、この友人の中から僕が【勇者】を選ぶんだから」
「その【勇者】を選ぶというのが分からない。君には、人に【勇者】のギフトを授ける力があるとでもいうのか?」
「そうだよ」
「「!?」」
「は!?」
「あ!?」
僕の言葉が信じられないのか、『極致の魔剣』の面々が目を剥いて驚きを露わにする。
「そんな神のような御業が…!?」
「そういうギフトなんだよ。僕を含めて皆、勘違いしてたんだ。【勇者の友人】はただの【勇者】のオマケのギフトじゃない。むしろ、【勇者】のギフトが【勇者の友人】のオマケなんだよ」
あまりの真実に言葉を失うアレクサンダーたち。しかし、その中でただ1人、希望を見つけたと瞳を輝かせた者が居た。アンナだ。
「じゃ、じゃあ、クルトが選んでくれれば、私はまた勇者になれるってこと?」
アンナが上目遣いに媚びた視線を送ってくる。
「そうだけど……」
僕が肯定するとアンナの顔がパアッと輝いた。
「僕はアンナを【勇者】に選ぶつもりはないよ」
「どうしてよ!?」
アンナが立ち上がると、テーブルを両手でバンッと叩いて僕を睨み付ける。なんだか猿みたいだ。
「どうしてって、君たちが僕にした仕打ちを思い出してみなよ」
罵詈雑言は当たり前、酷い時には暴力もあった。働いても報酬なんてもらえない、まるで奴隷以下の扱い。そんな扱いを受けて、なぜまだ僕が君たちに尽くさないといけないんだ。
「でも! でもでも! あなた私のこと好きでしょ?」
「は?」
今更何を言い出すんだ?
「好きなら私のこと勇者にしてよ!」
「いったい、いつの話をしてるの? もうとっくに嫌いだよ。僕はね、アンナ。君のそういう自分のことを好きな人は自分に尽くして当たり前だと思っている自己中心的なところが大っ嫌いだ」
「イヤぁ……なんで……なんでそんなこと言うのよ……」
ついには泣いて座り込んでしまったアンナ。
「ごめんなさい……ごめんなさい、クルト……」
アンナは、今更泣きながら謝罪を口にする。そんなアンナの姿を見て、ルドルフが僕を責めるような目で見る。
「クルト、アンナが可哀想だろう。アンナも謝っている。アンナの言い分も聞いてやりなさい」
僕には、なぜルドルフが自分は無関係と言わんばかりに上から目線で説教してくるのか謎だ。君もアンナと一緒だよ?
「勘違いしているのかもしれないけど、弱体化したのはアンナだけじゃないよ? 君たちも当事者だ」
「は?」
「なんだと?」
「どういうことだ?」
「さっき言ったよね? 僕のギフトは友人を強化するギフトだって。つまり、今までの君たちは、僕によって強化されていたんだけど……昨日、君たちのことを友人リストから外したんだ。もう、君たちにバフ効果は無いよ」
「「「………」」」
心当たりがあるのか、難しい顔で沈黙するアレクサンダー、ルドルフ、フィリップ。僕は彼らの神経を逆なでるように言葉を重ねる。
「今までの力が自分の実力だと思ってた? 残念! それは僕のギフトによって強化されたものなんだよ。君たちの本当の実力はどの程度なんだろうね?」
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