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第1章
たびたちのひ
しおりを挟むおはようございます。昨日はいつの間にか自分の部屋に戻っていたユズキです。
話も一息ついて解散になったところまでは覚えてるんだけど…いつ寝たんだろ?
今朝は3人に食料を渡すため、食料庫に行ってきた。お肉を多めでお野菜は採れたても含めて渡すことになった。折角なら最高に美味しい野菜も味わって欲しいからね!
昨日の食事量見て思ったのはどうやって3人分の食料を持っていくのか…?
と、思ってたら!ゲーム等でお馴染みの魔法袋があるんだって!時間の経過はあるから、量は持てても保存食ばっかりになるらしい…。
その魔法袋に食料を入れ終わったので、後は出発のみ!って所なんだけど…
「やぁぁ!やぁや!!」
「主さま…」
「…主…」
「いっちゃやなのぉ!!」
そう!現在、駄々コネコネ中でロンズたちにくっついて離れないのだ。
この世界で目覚めて初めての妖精以外の人間なので、離れがたい。自分でも何してるの!?って感じなんだけど、子どもになってから気持ちの抑えが聞かず、本能のままに行動してしまっている。みんな、ごめんよ!
「困ったな…」
ロンズたちはくっつかれて苦笑いだ。でも、無理やり離したりとか振りきることもせずに、優しく離してもらおうと宥めたりとしてくるだけ。
なので、余計に離れたくないのだ。
「…ユズキ様…」
「ビクッ…」
セバスに名を呼ばれて肩が跳ねたがそれでも離さない。むしろ、更に力を込めた。
「…フゥ、ユズキ様。これ以上、引き留めては彼らが街に戻るのが遅くなってしまいます。遅くなればなるほど魔物達との遭遇の危険も増すのですよ?それでも宜しいのですか?」
「ふぇぇっ。…でもぉ…、いっちゃやなのぉ…」
グスグスと鼻を啜りながらそれでも離れない。
「困りましたね…」
セバスもお手上げというように右手で顔を覆い上を向いた。
「主さま!!」
この騒ぎの中、ずっと思案顔をしていたミミは良いことを思い付いたとばかりに手を合わせ、ユズキに声をかけた。
「主さま。良いことを思い付きましたわ。」
「…グスッ…、いいこちょ…?」
「そうですわ!主さまも一度、一緒に街に向かえば良いんですわ!」
「!!」
「ちょっ!ミミ!!何を言っているのです!?そんな危険なこと…!」
ミミの提案にそれだ!っと、顔をあげた。
しかし、セバスは駄目とばかりに反対する。危険な上に子どもが簡単に越えられない距離でもあるのだ。反対するのも仕方ない。
「でもセバス、他に主さまが納得される方法は無いと思いますの」
「ぐっ…」
「それに、主さまはユエかサンと共に行けば問題ありませんわ!」
「はぁ、それもそうですね。どちらかと共に行けば問題ないですね。」
「…ほんちょ?いっちょにいってもいい…??」
「仕方ありませんな。ユズキ様には敵いませんよ。ただし!ロンズ様方が了承されればですよ。」
セバスが折れ、一緒に行く案を了承してくれた。後はロンズ達が了承してくれるだけ!と、キラキラとした目でロンズ達を見上げた。
「…ろんじゅ、うぃーしゅ、ずいーと、…いっちょにいってもいい…??」
「「「ヴッ」」」
「こんなん断れるわけねぇだろぉ!」
「キラキラとした目は…」
「まぁ、ユエさんかサンさんが一緒に来てくれるなら問題ないと思うが…本当に大丈夫か?遠いぞ?」
「だぁじょぶ!帰りはもっちょだぁじょぶだよ!」
了承してくれたとばかりに顔を輝かせ、心配の声にも問題ないと返す。
「…ん?何で帰りはもっと大丈夫なんだ?」
「だっちぇね!かえりはしゅぐにつくのよ!」
「「「???」」」
問題なし!とばかりに答えはするが、全くもって通じていない。
「はぁ。主、通じていないぞ…」
「?そなの?」
「あぁ、主のは特殊能力だからな。」
「主さんは、一度行ったことのある場所からこん牧場の場所を繋げることが出きるんじゃよ。じゃから、帰りは一瞬じゃ」
「「「…な!?」」」
「あぁ、この事も他言無用じゃ。ソナタ達は無闇に話さんとは思っておるが念のため忠告しておくぞ。」
「わ、わかった」
「誰にも言わねぇ。というか言えねぇよ…」
「むしろ、言っては駄目な内容だな」
何故かサンとユエと3人で話が完結してしまった。ちゃんと自分でも説明出来たのに…!
「あ!主さま?」
「ん?なに?ミミ?」
「折角、街まで出掛けるんですもの、拠点を作って何時でも行けるようにされるのも良いのでわ?」
「!!」
「そして、拠点でこの牧場の産物を売るとかどうですか?そのお金で街で買い物なども楽しめますわよ!」
「それいい!しょうしよう!!セバス!」
「はっ。用意して参りますので少々お待ちください。拠点の用意もされるのであれば交渉役に私もついて行きます。護衛は…ユエ。サンはこちらで牧場を守りなさい」
「「わかった(了解じゃ)」」
トントン拍子にミミの思い立った案が通され、護衛とユズキだけでなく執事のセバスも一緒に行くことになった。ロンズたちは最早置いてきぼりである。
目指すは近隣の街!
そこで拠点を手に入れて牧場の産物の販売!あとは買い物を楽しむ!ロンズたちともまた会える!
行き来は一度行ってしまえば問題ないため、ユズキの機嫌は最高潮に良くなった。
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