この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件

なかの

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第五十三話『スキル獲得』

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「た!倒した!!」
と、僕は言った。

「うおおぉぉぉぉぉぉぉ!」
僕はさらに雄叫びを上げた。

そう、僕は、この森、最強のモンスター、ヒカルが全滅もあり得ると覚悟した『キングゴーレム』を倒したのだった!

「やったね〜!!」
とヒカルが微笑む。

「倒した!」
とリオンがグッと親指を立てて言う。

「タカシ!すごい!!」
と、ニコが走ってきて僕に抱きつく。

そこには喜びがあふれていた。
いつものツンツンした態度は微塵もなかった。
これでもか、というくらいの笑顔だった。
その姿はほんとに可愛かった。

しかし、その喜びに溢れた抱擁は、力強かったので
キングゴーレム戦でボロボロになっていた僕には力が強すぎた。
「痛い痛い!」と僕が笑う。

「ごめんごめん!」
とニコが言って、少し、抱きしめる力が弱まる。

でも勝利の興奮は薄れていないようだった。
そう、それもそのはず、さっきまで僕らは全滅すら覚悟している状況だったのだから。

「すごい、あのキングゴーレムを倒しちゃうなんて、信じられない!!」
とニコが抱きついたままさらに大喜びだった。

「ニコちゃんいつまで抱きついてるの〜、タカシくんのこと好きなの?」
とヒカルが笑う。
キラーンと眼鏡を押し上げて笑うヒカル。
笑顔でニコをからかうヒカルだった。

「ちょ!そんなんじゃないわよ!!勝利の感動を分かち合ってただけよ!!」
と、ヒカルに言われたニコは、優しく、僕から手を離す。

今度はちゃんと気を使ってくれたみたいだ。
ふわっとやさしく、離してくれた。
離された部分には、ほのかに体温が残っていた。

そして、ニコの顔はほんのり赤くなっているように見えた。

「それはともかく凄い!凄いわ!!」
「すごい。これでしばらく街は平和になる」
と、ヒカルも喜び、リオンも大きく頷く。

そう、僕らは、この森のボスをやっつけたのだ。
街はこのモンスターたちのおかげで毎日緊張を強いられていた。そのモンスターたちを支配していた、キングゴーレムをやっつけたのだ。

僕らが、感動を噛みしめていると、天の声が聞こえた。

<<『土震 - アースクエイク』をタカシは獲得しました>>
<<『土盾 - マッドシールド』をタカシは獲得しました>>
<<『土剣 - マッドソード』をタカシは獲得しました>>

「おお、スキルが手に入った!これは、キングゴーレムが使っていたスキル全部だ!」
「すごい。そんなことがあるのね!」
とヒカルが感心して言った。
3つも、ボスクラスが使うスキルを手に入れてしまった。

「しかし、止めを刺した人にスキル入っちゃうシステムなんとかならないの?」
と天に向かって抗議した。

もちろん返事はない。

「ま、あとで、皆に上げればいいのか・・・」
とすぐに理解した。

ボロボロの僕らはしばらく休憩した。

「さ!ボスも倒したし!学校に戻りましょう!」
とヒカルが言って、僕らは学校に向かって歩き出した。
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