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第三十二話『剣術の稽古』

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「さ、今日も走るわよ!」
と、にっこりと元気な姿で現れたニコに、おはよう、と挨拶できるくらいには、早く起きることが出来た。
おかげで、今日はニコの金属によるカンカン攻撃を受けずに済んだ。
僕も成長しているようだ。

「走りましょうか!今日も!」
と僕は、言った。

僕はすでにもう、このハードワークを受け入れ始めていた。
確かにきついので、弱音を吐くことはやめないと思うけど
これを避けて通れない、ということはもう完全に理解した。

基本的にモンスターとの戦いはスキル戦になるから、いらないともとれるけど、そんなことはなく、基礎運動能力がないと、スキルを発動させる前にやられることなども十分考えられる。

いままで、勝てたのはたまたま、という部分はどうしても否めない。スキル以前の勝負になったら、せっかくの『三重炎拳 - フレイムヘブン』も宝の持ち腐れとなってしまう。

「走るぞー!」
と、食事を済ませて、グラウンドに下りてきて僕は言った。
腕を高くあげて、ストレッチのようなことをする。
正しく習ったことがないから適当ではあるけれど。

「お、今日はやる気ね!」
とヒカルがにっこり笑顔で言う。

「改心したんですよ」
と僕はにっこり笑った。
そう、ぶーぶーいいながら走る僕はもういない!!
新生タカシが誕生したのだ!

「じゃぁ、見せてもらおうかしら!新生タカシの実力を!」
とニコが言って、ランニング、グラウンド10周が始まった。

そして、あっという間に、3人は視界から消え、残りの数週を一人でヘトヘトになりながら走り、なんとか、10周をクリアした。新生タカシの実力はそんなもんだった。

「なんとか・・・クリアした・・・」
と、はぁはぁ言いながら、僕は呟いた。

「やっぱり遅いわね!」
とニコが微笑みながら言う。

「一朝一夕で早くはならないか・・・気合で早くなったりするのは少年漫画だけだよな・・・」
と僕は呟いた。
やはり、テンションでなんとかなるものではなかった。
覚悟が決まってもつらいものは辛かった。

そうやって肩で息をしていると
「さて、今日は私と剣術の稽古しましょうか!」
とニコが言う。

とても楽しそうだった。

「どうやるの?」
「そうね、どうしようかしら、私もリオンと同じにしようかな」とニコは考えながらいい、道具箱の方を見る。
その視線の先で、すでに、ヒカルは道具箱から何かを探していた。

「はい、どうぞ!これよね!」
とヒカルが僕と、ニコの二人に棒を渡した。

「そうそう!さすがヒカル!私より私の事わかってる!」
とヒカルが言う。さすがにそれはどうなんだ、と僕は笑った。

「これは?竹刀を柔らかいものでくるんだ物?」
と僕は呟いた。
ようはスポーツチャンバラみたいなものなのだろうな、と思った。

当てても死なないけど、太刀筋の訓練には使えるといった感じの道具なのだろう。剣道の竹刀は、防具無しで打ち合うとかなり危険だし。

その柔らかい竹刀を僕と、ニコは構えた。

「かかってきなさい!」
ニコは笑顔で言った。
新たな訓練が始まる。
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