この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件

なかの

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第三話『スキルの譲渡』

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「ところでお願いがあるんだけど・・・」
とニコがキャラとは違う神妙な面持ちで聞く。

「なに?出来ることであれば」
と僕は答える。

「さっきの、あなたの『スキル』もらえないかしら?」
ニコはそう言った。

「それは構わないんだけど・・・」
と、僕は言った。
え?いいの?とニコは言っている。
しかし僕が気になるところはそこではない。

「『スキル』って渡せるの??」
と僕は聞いた。

そう、それこそが一番気になるところだ。
RPGのゲームにスキルがあるものは結構あるけれど
スキルを譲渡できるようなものはなかった気がする。

そんなにたくさんゲームをやってないから、知らないだけかもしれないけれども。

「スキルを交換できる・・・?」
それはなかなか新しい世界観だな・・・と僕は思った。

スキルのやりとりが出来るとかなり概念が変わりそうだ。
たとえば、スキルが通貨の代わりにもなり得る。
そういうことだろう。

大根とバナナを物々交換するかのように
『炎拳 - ファイヤーパンチ』と『風弾 - ウインドショット』を交換する。みたいなことが起こりえるはずだ。

なかなかおもしろい異世界に飛んできちゃったな。

おもしろくなってきた。

「なんで、『炎弾 - ファイヤーバレット』欲しいの?」
と僕は本題に戻って、聞いた。

この気の強そうな、ニコが僕にお願いしてまで欲しがるんだ。
なにかわけがあるんじゃないのかな、と思ったのだ。

「私は基本、剣士だから、剣のスキルはあるの。ここに、遠隔攻撃があるとかなり戦いの幅が広がって、救える人が増える」
「救える人・・・。それも気になってたんだけど。君はここに襲ってくるモンスターを退治する役割なのか?」
と僕はニコの話から推測して聞いた。

「そう。わたしだけじゃないわ。私達の中で戦える人がモンスターを倒すのよ!」
と、ニコか言う。そういう部署。
警察、みたいなものなのだろう。
なぜこんな少女がその役割にならなければならないのかは、気になったが。

「とりあえず、『炎弾 - ファイヤーバレット』はあげる。代りに要らないスキルを貰えるかい?流石に何もないと僕も困るから・・・」
「わかったわ!」
と交渉した。

「『炎拳 - ファイヤーパンチ』が余ってるわ!」
と言う。

「余ってる??どういうこと?」
と僕が聞く。

「どういうことってそのままよ!『炎拳 - ファイヤーパンチ』を私は3つ持ってるの!2つ以上あっても意味ないのよね」
とニコが言った。

「なるほど!」
と僕は言った。これはいい流れになってきたな。と思った。
それは、『スキル合成 - シンセサイズ』を持つ僕に有利な展開になってきたようだ。

「ニコ!悪いんだけど、『炎拳 - ファイヤーパンチ』2つと交換でもいいかい?」
「え?いいけど?1つしかつかえないわよ!」
とニコは言った。

「うん。わかってる」
そう、2つ持っていても意味が無い。
普通ならね。
そして僕は普通ではなかった。
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