ビッグデータ探偵

なかの

文字の大きさ
上 下
88 / 100

第88話 派手な事件

しおりを挟む
「仲間が2人もいたんですね」
高崎くんが言う。
あっという間にその二人を倒した。
二人目に気づくのが遅れたことを彼女は気にしている様子だった。

「用心棒的な人を一瞬でななちゃんが倒しちゃった!」
ヒカルちゃんが言う。
そう、彼女は歩き方から強さを予測して、先読みして動いて倒していた。

「ヒカルちゃんありがとう、危なかったよ」
僕は言う。
彼女が引っ張ってくれなかったら、用心棒的な人にやられているところだった。
彼女の機転により助かったと言える。

「先生もうちょっと俊敏に!!」
高崎くんは笑いながら僕に言う。
確かに僕よりはるかにヒカルちゃんの方が反応が早かった。
うん、若さってすごいよね。

「いや、無茶言わないでよ、僕は頭脳担当だからね」
僕は言う。
そう、僕は頭脳担当。
戦う仕事は避けたい。警察官の中のエンジニアだったらもしかしたらそういう訓練もするのかもしれないけれども、僕には難しそうだ。

「うんうん、いいコンビなんだよ!」
ヒカルちゃんはそんな二人のやりとりをみながら笑った。

「そうですよ!私たちはゴールデンコンビですよ!」
高崎くんが言う。
まぁ、確かに二人の得意な部分がお互いの苦手な部分を補っているような気はするかな。

「そうかな・・・まあ、無事だったし良しとするか」
僕は呟いた。
誰も怪我しなくてよかった。
頭脳労働に支障をきたすようなことは避けられると嬉しい。

「そうです!」
高崎くんが元気よく言う。
とにかく全員無事でよかった。
そしてまぁ現場の感じももちろんよくわかった。これは危険なものなのだ、その不安を減らせるようなアプリを作る必要がある。

「まあ、これで全員捕まえたしそれで良しとしようか」
僕は言う。
色々あったけれども、無事でよかった。
僕らのソフトのウェアで全員捕まったみたいだし、少し怖い思いはしたが、望んでいたものは全部手に入ったようだ。

「いやぁ、流石にスリリングだったね、研究室戻ろうこわいこわい!」
僕は言う。
そう、怖い。今度からはこういう派手な出来事は減らしていただきたい。

「先生だらしないなぁ!先生の好きな血出てないですよ!」
高崎くんが言った。
先生が求めている派手な事件である血が出てないですよ、と笑った。

「だから好きじゃないって、派手な事件は勘弁してほしいよ」
僕は言う。
とにかく派手な事件は僕の心拍数をあげるので、少なくして欲しい。僕らはあくまでテクノロジーを活かす担当だ。

「社会的にはかなり派手な事件でした。我々警察の威厳も保てました!先生のおかげです」
高崎くんが言う。
脱走と言うのは警察にとってかなり困ることみたいなので、解決してよかった。

「それはそれは」
僕は頷いた。
解決してよかった。

「良い仕事でした!」
高崎くんが言う。
ビシッとポーズをとっていた。

「それはよかった」
僕は言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

この満ち足りた匣庭の中で 一章―Demon of miniature garden―

至堂文斗
ミステリー
――鬼の伝承に準えた、血も凍る連続殺人事件の謎を追え。 『満ち足りた暮らし』をコンセプトとして発展を遂げてきたニュータウン、満生台。 巨大な医療センターの設立を機に人口は増加していき、世間からの注目も集まり始めていた。 更なる発展を目指し、電波塔建設の計画が進められていくが、一部の地元住民からは反対の声も上がる。 曰く、満生台には古くより三匹の鬼が住み、悪事を働いた者は祟られるという。 医療センターの闇、三鬼村の伝承、赤い眼の少女。 月面反射通信、電磁波問題、ゼロ磁場。 ストロベリームーン、バイオタイド理論、ルナティック……。 ささやかな箱庭は、少しずつ、けれど確実に壊れていく。 伝承にある満月の日は、もうすぐそこまで迫っていた――。 出題篇PV:https://www.youtube.com/watch?v=1mjjf9TY6Io

マスクドアセッサー

碧 春海
ミステリー
主人公朝比奈優作が裁判員に選ばれて1つの事件に出会う事から始まるミステリー小説 朝比奈優作シリーズ第5弾。

幸せの日記

Yuki
ミステリー
自殺した次の日に目覚めた主人公。捨てたはずの命がある代わりに死んだ理由も記してある日記がない日常。どうやって命を拾ったのか。2つ目の日記に綴られる幸せを探す物語。

死後の世界で生前譚、語られるのは謎解奇譚、理論破綻の推理譚、唖然失笑真相譚、悲嘆感嘆後日譚、ミステリーの超異譚

静 寒寝具
ミステリー
死者が死後の世界で死を語る推理小説。 テーマの重さとは正反対の軽さで、謎掛けを交えながら語られるエピソード。 それは本格派だとか社会派だとかのジャンルでもなければ、ただの単なる暇潰し。 ライトノベルがあるのならライト推理があってもいい。 犯人や動機、犯行方法は問われません。ただ、面白ければいいんです。 推理小説は敷居が高いとか思っていましたら、こちらの敷居は低いです、ご安心ください。

ステルスセンス 

竜の字
ミステリー
出版社に入社した羽津宮 一年後に退職を考えるまで追い詰められてしまう。 そんな時、1人のホームレスと出会う。 そのホームレスが持つ「ステルスセンス」 と書かれたノート、そこに書かれて居る事を 実戦して行く事で人生が好転し始める羽津宮 その「ステルスセンス」と書かれたノートの 意味とは?

六等星の憂うつ

そで
ミステリー
 大学2年の得田和十(とくだ わと)は作家から原稿を受け取るアルバイトをしていた。その日も作家たちの原稿集めに回っていたのだが、何故か返事がなく…。 売れっ子作家の家並舎六(いえなみ)舎六と共に、和十が事件を解決していく舎六シリーズ第一段。

くすぐりジャック

藍子
ミステリー
街中で女の子を襲うくすぐり男。そのくすぐり男に憧れる高校生。事件の報告を受けては興奮する警察官。担当クラスの女子生徒が襲われた教師。同僚をくすぐりたい独身男。くすぐりに興味がある小学生。 女の子をくすぐって襲う【くすぐりジャック】が街に出現。捕まらない犯人の驚くべき能力は記憶を消す能力。その威力は興奮すればする程増していく。 そして増えていくくすぐりジャックの仲間、信者達。くすぐりが弱い女の子を集団でくすぐる!! 2024 2月より →【くすぐりが弱い栗原さん】をこちらでアップします。

有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』

ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第十話。 『デスペラード』を手に入れたユースティティアは天使との対決に備えて策を考え、準備を整えていく。 一方で、天使もユースティティアを迎え撃ち、目的を果たそうとしていた。 平等に進む時間 確実に進む時間 そして、決戦のときが訪れる。 表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(X:@studio_lid)

処理中です...