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霧の中のささやき
霧の中のささやき・・・その5
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雪子が付けたかった名前・・・?
まさか・・・だって、それって、夏樹さんと雪子の間に生まれた子供の名前って事よね?
あっ、もちろん結婚していなかったんだから、生まれてはいないんだけど。
でも、もし二人が結婚していたとしたら・・・
というか、確か、夏樹さんは子供は二人って言ってなかったかしら?・・・う~ん
「やっぱり、裕子さんも驚いたでしょ?」
「ええ、まあ。驚いたっていうか、なんていうか。だって、雪子ったら、一度もそんな話をした事なんてなかったのよ?」
「裕子さんも、そっちに来ちゃった」
「えっ・・・?」
「夏樹さんが付けたいアトリエの名前の方じゃなくて・・・」
「よね~。愛奈ちゃんも?」
「はい。お母さんが?の方に驚いちゃいました」
「よね~よね~!だって、もし、雪子が夏樹さんとだったとしたら、愛奈ちゃんの名前が、もしかしたら奈津美ちゃんだったかもしれないものね?」
「えっ?でも、それはないんじゃないかなって?」
「どうして・・・?」
「だって、もし、お母さんが夏樹さんと結婚していたら、私は生まれなかったと思いますよ」
「あっ、それ?それがね、夏樹さん曰く、どうも違うみたいなのよ」
「違う・・・?ん?ですか?」
「そうみたい。夏樹さんが曰く、生まれる運命の子は必ず生まれてくるみたい」
「生まれてくるみたいって・・・それって、ちょっと無理があるような・・・」
「でも、そうみたいなの。でね、どっちに生まれるの?って訊いたらね、母親の方から生まれるって言ってたのよ」
「でもですよ?という事はですよ?お母さんが、もし、夏樹さんでもお父さんでもない、別の人と結婚したとしても、私は生まれていたって事になるんですよ?」
「そうみたいよ・・・」
「いえ、あの・・・そうみたいって。裕子さんは夏樹さんの言葉、信じてるんですか?」
「ええ、信じてるわ。しかもよ?」
「しかも?まだ、先があるんですか?」
「生まれてくる子供は、その母親が、この人の子供が欲しいって願った男性と、もし結婚していたとしたら、その二人の間に生まれてくるはずの子供が母親側から生まれてくるの」
「くるの?って・・・あの・・・それは、ちょっと」
「ただし・・・が、あるみたいでね。男性でも女性でもなんだけどね。その生まれてくる運命の子を授かるにはある条件があるみたいなの。」
「条件・・・?」
「そうみたいなの。でね、その男女の愛が一生変わらない。たとへ傷つけあったとしても、たとへ一緒になれなくて別々の道を歩いたとしても、その愛は決して色あせない、しかも、死ぬ瞬間までその愛は生き続ける事が条件だって。あっ、この時は夏樹さんはまだ男だったから。な、そうなのよ」
「いえ・・・あの・・・それはあまりに現実離れをしているというか、かなりのオカルトが混入しているというか・・・」
「そう思うでしょ?実は、私も、心のどこかでは、そう思っていたの。夏樹さんと雪子が再会してからの愛奈ちゃんを見るまではね」
「私を・・・ですか?」
「そうなの。夏樹さんがらみの状況になると特にね」
「いえ・・・あの・・・。えっ?」
裕子はコーヒーのお代わりを愛奈と二人分、再注文しながら話を続ける。
「そりゃ~ね、正直言って、私も、最初それを夏樹さんから聞かされた時はね、まさか~っていうか、また夏樹さんワールドが始まった~みたいに思ってたのね」
「今の私と同じだったんですね」
「そうよ。でもね、考えてみるとね、夏樹さんワールドの、生まれる運命の人は必ず生まれるっていうのって、それを否定する根拠も証明する証拠もないわけじゃない?」
「う~ん・・・」
「ようするにね、幽霊とかと同じなのよ。宇宙人だったら、地球という星に人類がいるんだから、他の星に人類と同じように誰かがいても不思議じゃないし、たとえ、宇宙人がいるって証明が出来なくても、それを否定する人ってそんなにいないじゃない?でもね、幽霊って、あっ、ごめんごめん、なんだかお話が変な方向にいっちゃったわね?」
「あっ、いえ・・・」
「ふふっ、幽霊のお話になっちゃうと、魂のお話までいかないとなんだけど、でも、魂のお話になっちゃうと、けっこう長くなっちゃうのよね。で、分かりやすく簡単に言うとね、愛奈ちゃんのお母さんが違う人と結婚していても愛奈ちゃんは生まれてくるっていうのはね、今の愛奈ちゃんの身体で生まれてくるって意味じゃなくて、愛奈ちゃんの魂が生まれ変わってまたこの世界に現れるって意味なの」
「生まれ変わって・・・?」
「うん、そう。身体は生まれ変われないじゃない?だから生まれてくる。でも、魂は生まれ変わるから、またこの世界に現れるになるのよ」
「輪廻転生って事ですか?」
「そうよ・・・」
「裕子さんは輪廻転生って信じてるんですか?」
「う~ん・・・そこはちょっとややこしいんだけどね。でも、夏樹さんの輪廻転生っていうか、生まれ変わるっていう話って、妙につじつまが合ってるのよ」
「夏樹さんって、霊感があるっていうか、霊能力者とかなんですか?」
「ううん・・・さあ、どうかしら。ふふっ、愛奈ちゃんも、いつか夏樹さんに訊いてみると良いわ。それに、愛奈ちゃんも見たでしょ?夏樹さんのところに居たぬいぐるみさんたち」
「あっ、はい・・・確かに・・・」
「それに、今の愛奈ちゃんを見ていると、尚更、納得させられてしまうし」
「・・・?」
不思議そうな瞳で見つめてくる愛奈を愛らしい視線で和らげながら、運ばれてきたコーヒーに砂糖を入れる裕子である。
まさか・・・だって、それって、夏樹さんと雪子の間に生まれた子供の名前って事よね?
あっ、もちろん結婚していなかったんだから、生まれてはいないんだけど。
でも、もし二人が結婚していたとしたら・・・
というか、確か、夏樹さんは子供は二人って言ってなかったかしら?・・・う~ん
「やっぱり、裕子さんも驚いたでしょ?」
「ええ、まあ。驚いたっていうか、なんていうか。だって、雪子ったら、一度もそんな話をした事なんてなかったのよ?」
「裕子さんも、そっちに来ちゃった」
「えっ・・・?」
「夏樹さんが付けたいアトリエの名前の方じゃなくて・・・」
「よね~。愛奈ちゃんも?」
「はい。お母さんが?の方に驚いちゃいました」
「よね~よね~!だって、もし、雪子が夏樹さんとだったとしたら、愛奈ちゃんの名前が、もしかしたら奈津美ちゃんだったかもしれないものね?」
「えっ?でも、それはないんじゃないかなって?」
「どうして・・・?」
「だって、もし、お母さんが夏樹さんと結婚していたら、私は生まれなかったと思いますよ」
「あっ、それ?それがね、夏樹さん曰く、どうも違うみたいなのよ」
「違う・・・?ん?ですか?」
「そうみたい。夏樹さんが曰く、生まれる運命の子は必ず生まれてくるみたい」
「生まれてくるみたいって・・・それって、ちょっと無理があるような・・・」
「でも、そうみたいなの。でね、どっちに生まれるの?って訊いたらね、母親の方から生まれるって言ってたのよ」
「でもですよ?という事はですよ?お母さんが、もし、夏樹さんでもお父さんでもない、別の人と結婚したとしても、私は生まれていたって事になるんですよ?」
「そうみたいよ・・・」
「いえ、あの・・・そうみたいって。裕子さんは夏樹さんの言葉、信じてるんですか?」
「ええ、信じてるわ。しかもよ?」
「しかも?まだ、先があるんですか?」
「生まれてくる子供は、その母親が、この人の子供が欲しいって願った男性と、もし結婚していたとしたら、その二人の間に生まれてくるはずの子供が母親側から生まれてくるの」
「くるの?って・・・あの・・・それは、ちょっと」
「ただし・・・が、あるみたいでね。男性でも女性でもなんだけどね。その生まれてくる運命の子を授かるにはある条件があるみたいなの。」
「条件・・・?」
「そうみたいなの。でね、その男女の愛が一生変わらない。たとへ傷つけあったとしても、たとへ一緒になれなくて別々の道を歩いたとしても、その愛は決して色あせない、しかも、死ぬ瞬間までその愛は生き続ける事が条件だって。あっ、この時は夏樹さんはまだ男だったから。な、そうなのよ」
「いえ・・・あの・・・それはあまりに現実離れをしているというか、かなりのオカルトが混入しているというか・・・」
「そう思うでしょ?実は、私も、心のどこかでは、そう思っていたの。夏樹さんと雪子が再会してからの愛奈ちゃんを見るまではね」
「私を・・・ですか?」
「そうなの。夏樹さんがらみの状況になると特にね」
「いえ・・・あの・・・。えっ?」
裕子はコーヒーのお代わりを愛奈と二人分、再注文しながら話を続ける。
「そりゃ~ね、正直言って、私も、最初それを夏樹さんから聞かされた時はね、まさか~っていうか、また夏樹さんワールドが始まった~みたいに思ってたのね」
「今の私と同じだったんですね」
「そうよ。でもね、考えてみるとね、夏樹さんワールドの、生まれる運命の人は必ず生まれるっていうのって、それを否定する根拠も証明する証拠もないわけじゃない?」
「う~ん・・・」
「ようするにね、幽霊とかと同じなのよ。宇宙人だったら、地球という星に人類がいるんだから、他の星に人類と同じように誰かがいても不思議じゃないし、たとえ、宇宙人がいるって証明が出来なくても、それを否定する人ってそんなにいないじゃない?でもね、幽霊って、あっ、ごめんごめん、なんだかお話が変な方向にいっちゃったわね?」
「あっ、いえ・・・」
「ふふっ、幽霊のお話になっちゃうと、魂のお話までいかないとなんだけど、でも、魂のお話になっちゃうと、けっこう長くなっちゃうのよね。で、分かりやすく簡単に言うとね、愛奈ちゃんのお母さんが違う人と結婚していても愛奈ちゃんは生まれてくるっていうのはね、今の愛奈ちゃんの身体で生まれてくるって意味じゃなくて、愛奈ちゃんの魂が生まれ変わってまたこの世界に現れるって意味なの」
「生まれ変わって・・・?」
「うん、そう。身体は生まれ変われないじゃない?だから生まれてくる。でも、魂は生まれ変わるから、またこの世界に現れるになるのよ」
「輪廻転生って事ですか?」
「そうよ・・・」
「裕子さんは輪廻転生って信じてるんですか?」
「う~ん・・・そこはちょっとややこしいんだけどね。でも、夏樹さんの輪廻転生っていうか、生まれ変わるっていう話って、妙につじつまが合ってるのよ」
「夏樹さんって、霊感があるっていうか、霊能力者とかなんですか?」
「ううん・・・さあ、どうかしら。ふふっ、愛奈ちゃんも、いつか夏樹さんに訊いてみると良いわ。それに、愛奈ちゃんも見たでしょ?夏樹さんのところに居たぬいぐるみさんたち」
「あっ、はい・・・確かに・・・」
「それに、今の愛奈ちゃんを見ていると、尚更、納得させられてしまうし」
「・・・?」
不思議そうな瞳で見つめてくる愛奈を愛らしい視線で和らげながら、運ばれてきたコーヒーに砂糖を入れる裕子である。
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