379 / 386
あなたの声が好き
あなたの声が好き・・・その18
しおりを挟む
「でも、夏樹さんも変わってますよね?」
「どうして・・・?」
「だって~、美人で優しくて気遣いも出来て、その上、お料理だってシェフ顔負けの腕前なのに」
「そんなに褒めなくてもいいわよ」
「それにですよ?」
「それに・・・な~に?まだあるの?」
「裕子さんってプロポーションだってモデル顔負けですよね!」
「ふふっ、そんな事はないわよ」
「それなのにどうしてなのかな?普通の男性だったら100人中100人全員が裕子さんを選ぶと思いますよ!」
「それを言ったら、うちの旦那は幸せな人生をエンジョイ中みたいじゃない?」
「裕子さんにとっては、誰でもよかったんですよね?夏樹さん以外はどうでも・・・よかった?」
愛奈の突然急カーブする話題の変化球に別に驚く事もなく、優しい笑みで返す裕子。
「あれ・・・?」
「な~に・・・?」
「裕子さん、ちょっとは戸惑うかな?って思ったんですけど」
「あら?ちょっとは戸惑ったりした方がよかったのかしら?」
「ん~もう~・・・」
コーヒーと一緒に運ばれてきていたケーキの乗った可愛い絵皿を手前に引き寄せながら
裕子は、少し懐かしそうに愛奈に語りかける。
「夏樹さんってね、ケーキが大好きなのよ?」
「えっ・・・?」
「しかも、いちごの乗ったショートケーキが大の大好物なの」
そう言いながら、目の前のショートケーキを見つめる裕子。
そんな裕子を見つめていると、愛奈にはどうしても疑問が生まれてきてしまうのである。
「だから、どうして裕子さんじゃなくて、うちのお母さんなんですか?」
「あら?愛奈ちゃんはショートケーキはあまり好きじゃないの?」
「いえ、そういう・・・う~ん・・・あのですね?」
「ふふっ・・・。でもね、私もそんな風に思った時も、正直に言うとあるのよ」
「裕子さんも?」
「ええ・・・。どうして私じゃダメなの?ってね。そんな自分も今では懐かしいけどね」
「ですよね~。でも、裕子さんはどうやって納得したんですか?」
「正直、分からなかったわ。なんとなくは分かってたつもりだったんだけど」
「なんとなく・・・ですか?」
「そう・・・なんとなく・・・」
「う~ん・・・どうして、なんとなくだったんですか?」
「あの人は、優しすぎる人だったから・・・きっと、今でも・・・」
あの人・・・?
愛奈は何気なく呟いた(あの人・・・)の言葉を口にする裕子にドキッとしてしまった。
それは、先日、夏樹に会いに行った時に見せた、愛奈の知らない、もう一人の裕子。
きっと、夏樹の前でだけ見せるのかもしれない、艶めかしい大人の色気と、ほのかな香り。
(あのひと・・・)たった4文字の短い言葉なのに、こんなにも雰囲気が変わってしまう裕子に
心乱れるような驚きと同時に、裕子が淡く弾くほのかな香りに、愛奈の中で憧れが生まれ始めていた。
「あら?どうしたの?」
「へへへっ・・・。というか、どうして裕子さんじゃなくてお母さんだったんですか?」
「夏樹さんと一緒にいる時の雪子を見たら、きっと、愛奈ちゃんにも分かるわ」
「まさか~そんな~。それじゃまるで、お母さんがいきなり魅力満点の女性に変身しちゃうみたいじゃないですか?」
「でも、愛奈ちゃんも見たでしょ?写真?」
「ええ・・・お母さんの写真を見た時はちょっと驚きましたけど、あれって写真だからとかじゃないんですか?」
「ふふっ、写真だったから綺麗に写っていたって思うの?」
「違うんですか?」
「ふふっ、夏樹さんといる時の雪子は、写真に写っている雪子よりもずっと魅力的な女性なのよ」
まさか~それはいくら何でもないような・・・。
普段のお母さんをずっと見てきた私としては、どこにでもいるような普通な感じだし。
それに、どちらかといえば目立たないというか、控えめというか地味というか・・・う~ん。
「どうして・・・?」
「だって~、美人で優しくて気遣いも出来て、その上、お料理だってシェフ顔負けの腕前なのに」
「そんなに褒めなくてもいいわよ」
「それにですよ?」
「それに・・・な~に?まだあるの?」
「裕子さんってプロポーションだってモデル顔負けですよね!」
「ふふっ、そんな事はないわよ」
「それなのにどうしてなのかな?普通の男性だったら100人中100人全員が裕子さんを選ぶと思いますよ!」
「それを言ったら、うちの旦那は幸せな人生をエンジョイ中みたいじゃない?」
「裕子さんにとっては、誰でもよかったんですよね?夏樹さん以外はどうでも・・・よかった?」
愛奈の突然急カーブする話題の変化球に別に驚く事もなく、優しい笑みで返す裕子。
「あれ・・・?」
「な~に・・・?」
「裕子さん、ちょっとは戸惑うかな?って思ったんですけど」
「あら?ちょっとは戸惑ったりした方がよかったのかしら?」
「ん~もう~・・・」
コーヒーと一緒に運ばれてきていたケーキの乗った可愛い絵皿を手前に引き寄せながら
裕子は、少し懐かしそうに愛奈に語りかける。
「夏樹さんってね、ケーキが大好きなのよ?」
「えっ・・・?」
「しかも、いちごの乗ったショートケーキが大の大好物なの」
そう言いながら、目の前のショートケーキを見つめる裕子。
そんな裕子を見つめていると、愛奈にはどうしても疑問が生まれてきてしまうのである。
「だから、どうして裕子さんじゃなくて、うちのお母さんなんですか?」
「あら?愛奈ちゃんはショートケーキはあまり好きじゃないの?」
「いえ、そういう・・・う~ん・・・あのですね?」
「ふふっ・・・。でもね、私もそんな風に思った時も、正直に言うとあるのよ」
「裕子さんも?」
「ええ・・・。どうして私じゃダメなの?ってね。そんな自分も今では懐かしいけどね」
「ですよね~。でも、裕子さんはどうやって納得したんですか?」
「正直、分からなかったわ。なんとなくは分かってたつもりだったんだけど」
「なんとなく・・・ですか?」
「そう・・・なんとなく・・・」
「う~ん・・・どうして、なんとなくだったんですか?」
「あの人は、優しすぎる人だったから・・・きっと、今でも・・・」
あの人・・・?
愛奈は何気なく呟いた(あの人・・・)の言葉を口にする裕子にドキッとしてしまった。
それは、先日、夏樹に会いに行った時に見せた、愛奈の知らない、もう一人の裕子。
きっと、夏樹の前でだけ見せるのかもしれない、艶めかしい大人の色気と、ほのかな香り。
(あのひと・・・)たった4文字の短い言葉なのに、こんなにも雰囲気が変わってしまう裕子に
心乱れるような驚きと同時に、裕子が淡く弾くほのかな香りに、愛奈の中で憧れが生まれ始めていた。
「あら?どうしたの?」
「へへへっ・・・。というか、どうして裕子さんじゃなくてお母さんだったんですか?」
「夏樹さんと一緒にいる時の雪子を見たら、きっと、愛奈ちゃんにも分かるわ」
「まさか~そんな~。それじゃまるで、お母さんがいきなり魅力満点の女性に変身しちゃうみたいじゃないですか?」
「でも、愛奈ちゃんも見たでしょ?写真?」
「ええ・・・お母さんの写真を見た時はちょっと驚きましたけど、あれって写真だからとかじゃないんですか?」
「ふふっ、写真だったから綺麗に写っていたって思うの?」
「違うんですか?」
「ふふっ、夏樹さんといる時の雪子は、写真に写っている雪子よりもずっと魅力的な女性なのよ」
まさか~それはいくら何でもないような・・・。
普段のお母さんをずっと見てきた私としては、どこにでもいるような普通な感じだし。
それに、どちらかといえば目立たないというか、控えめというか地味というか・・・う~ん。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。


白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。


【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる