愛して欲しいと言えたなら

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あなたの声が好き

あなたの声が好き・・・その7

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「そして、あんたは、また、あたしに会いにここへ来るの・・・」

「それを京子が望んでいるのだから・・・なのですね?」

夏樹は直美の表情が変わっていくのを、素っ気なくも楽しみながら確認している。

「人の心模様や性格ってさ、ドラマの配役のように単純じゃないのよね。ドラマなんかだと、こういう性格でこういう感じの考え方をする人でって感じでストーリーを作っていくんだろうけど、現実は違うのよね。人の性格なんてころころ変わる。季節に応じても変わるし、季節に関係なくその日その日のお天気模様でも、朝起きた時の目覚めの気分でも、その人その人が感じる何かしらの環境に応じて適応するように、人の心なんていくらでも変わるものなの。」

「京子も、そうなんでしょうか?」

「どうして、そう思うの?」

「とりあえず京子とは、それなりに長いお付き合いの仲なので私なりに思うんですけど、私の中にある京子って、こういう性格みたいなひとつのモデルっていうかタイプっていうか、そんな感じに・・・」

「整理されている・・・?」

「あっ、はい。そんな感じなんですけど・・・それって違うんでしょうか?」

「間違っていないと思うわよ。それは固定されている性格。それとは別に固定されていない性格があるのよ。」

「固定されていない性格・・・?」・・・う~ん・・・新しい夏樹さん語録?

「猫が好き。犬が好き。これが固定されている性格ね。で、この猫可愛い。このわんちゃん可愛い。こっちは固定されていない性格になるわね」

わんちゃん?犬がわんちゃんになっちゃった・・・。もしかして、夏樹さん語録の五段活用?

「あの・・・固定されている場合は犬で、固定されていない場合はわんちゃんなのですか?」

「何、言ってるのよ?わんちゃん!わんわん!って言わない?」

「はい・・・?」・・・いえ、あの・・・普通は言わないと思うんですけど・・・はい。

「あら?やっぱり、あたしだけなのかしら?わんちゃん!わんわん!って言うのって」

「たぶん・・・はは・・・は。」

「やっぱり、あたしの表現の仕方ってちょっと変わってるのかもしれないわね?京子も、よく、そんな風に言っていたから。」

「京子も・・・?」

「そうなのよ。あたしの言葉が変わってるとか、面白いとかって」

「面白い・・・言葉?」

「例えばね、あれ?時計がトントンしなくなってきたけど電池さんがなくなってきたのかな?とかって。あっ、そん時はまだ男だから言葉も男だけど」

「時計がトントン・・・?」・・・なぜに時計がトントン・・・?

「あら?言わない・・・?」

「いや~・・・普通は言わないような・・・でも、気にシマウマさんだけではなかったんですね」

「あら?よく覚えていたわね?」

「へへっ、一度聞いたら忘れないですよ。あっ、でも、京子も覚えていたみたいですよ」

「それが、今の京子とあんたの違いなのね?・・・きっと・・・」

「えっ・・・?」

「あたしの言葉で遊んでいる今のあんた・・・そして、遠い想い出の中でしか遊べない京子」

「・・・確かに・・・」

「でもね、あんたがいれば大丈夫かもしれないわね?」

「へっ・・・?どうしてですか?」

「ふふっ・・・。それは、宿題にした方がいいかもよ。あんたなら、きっとその答えをすぐに見つけてくれると思うから。・・・ね!」

ね!って・・・あの・・・すみなせん・・・私、今、男性とお話していると思うんですけど・・・
あっ、間違った・・・。すみません。の方だったわん。・・・わん?・・・ん?
あれ?もしかして、夏樹さんの、わんちゃん!わんわん!って、ここから来てるのかも?

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