362 / 386
あなたの声が好き
あなたの声が好き・・・その1
しおりを挟む
愛せない感情・・・それが、夏樹さんと雪子さんが別れを決めた本当の理由・・・。
そう言えば、さっきも京子に対して同じように言っていたけど、雪子さんの時とは違うのかしら?
「確か、さっきも京子に対して同じ言葉を聞いたように思うんですけど、雪子さんの時とは違うんですか?」
「京子はね、愛されたいと望み、自分だけの愛を求めようとしたの」
自分だけの愛を・・・京子が求めていたのは自分だけのために存在する愛?
「雪子は愛してあげたいと願い、移りゆく季節のように愛に寄り添おうとしたの」
雪子さんは、愛してあげたいと願い・・・
「あっ!それって、もしかして?」
「ん・・・?」
「あ、あの・・・それって、もしかして?私が分からなかったっていうか、知りたかったっていうか、雪子さんと京子のどこが違うの?っていう・・・あの・・・」
「あら・・・?な~に?雪子に会った時に訊いたんじゃなかったの?」
「いえ・・・あの・・・雪子さんに教えて頂いた事は教えて頂いたんですけど・・・その時は、夏樹さんに対しての気遣いの違いだとばかり思っていたんです・・・はい・・・です」
「ふふっ。まあ、そんなところだとは思ってたけどね」
そうだったんだ・・・。これが、雪子さんと京子の違いだったんだ!
愛されたいと望む京子・・・愛してあげたいと願う雪子さん・・・。
愛に包まれたいと望む京子・・・愛で包んであげたいと願う雪子さん・・・。
夏樹さんに愛されたいと望み、夏樹さんに愛されていた京子だったはずなのに・・・
愛されていたはずの愛の姿に、居るはずのない雪子さんの影を追いかけてしまった京子。
だから、いつも愛を探してばかり・・・春も、夏も、秋も、冬も、来る日も、来る日も・・・
あるはずの愛が見えない京子は、夏樹さんに愛されたくて、霞んでいく愛を探し続けていたんだわ。
でも・・・それじゃ、どうして夏樹さんと雪子さんは別れを選んだのかしら?
だって、雪子さんの性格っていうか、愛し方っていうか、どう考えても別れには繫がらないように思うんだけど。
そういえば、夏樹さんが前に、雪子さんとはしょっちゅうケンカをしていたって・・・。
「あの・・・今の私が描いている雪子さんは・・・」
「大人しいあやつ?物静かで優しいあやつ?」
あっ、雪子さんから、あやつに変わっちゃった!
「ええ・・・まあ。でも、確か以前に・・・」
「雪子ってね、季節の中で生きているような子なの」
「季節の中で・・・?」
「そうよ。普通の人は季節を覗いては大丈夫そうかな?って思うと季節に触れるんだけど。雪子の場合はちょっと違っていてね。いつも季節の中にいるの。春の暖かい風の中、夏の暑い日差しの中、秋の模様替えが始まる中、そして透き通るような空気の中の冬も。雪子ってね、いつも季節の中で踊ってるような子なのよ」
「はあ・・・あの・・・なんていうか・・・」
「雪子って可愛いでしょ?だからね、雪子は小さな身体を全部を使って愛してくるの」
「はあ・・・」
「なに、ため息ついてんのよ?」
「だって・・・と、言いますか・・・」
「だから、いつもケンカにもなっちゃうのよ。こんにゃろめ!こんにゃろめ!ってね!」
「とはいっても・・・なかなかに・・・」
「雪子はね、確かに、大人しくて物静かだけど、控えめじゃないのよ。言ったでしょ?あやつは季節の中で踊ってるような子だって!四季ってさ、過ごしやすい日ばかりじゃないでしょ?雨の日も風の日もあるし、台風だって来るし、大粒の雪だって降るし。自然ってさ、優しくて怖くて、それでもやっぱり優しくて・・・。じゃないかしら?」
「いや~、余計にこんがらがってくるといいますか・・・です」
どこか嬉しそうに話す夏樹の言葉の中に、大人しくて物静かな雪子が見え隠れしているみたいで
聞いている直美も、時折、笑みが浮かんでくるから、その片隅に追いやられてしまう京子の姿が
同情してはいけないと分かっていても、どこか不憫に思えてしまう視線が直美には寂しかった。
そう言えば、さっきも京子に対して同じように言っていたけど、雪子さんの時とは違うのかしら?
「確か、さっきも京子に対して同じ言葉を聞いたように思うんですけど、雪子さんの時とは違うんですか?」
「京子はね、愛されたいと望み、自分だけの愛を求めようとしたの」
自分だけの愛を・・・京子が求めていたのは自分だけのために存在する愛?
「雪子は愛してあげたいと願い、移りゆく季節のように愛に寄り添おうとしたの」
雪子さんは、愛してあげたいと願い・・・
「あっ!それって、もしかして?」
「ん・・・?」
「あ、あの・・・それって、もしかして?私が分からなかったっていうか、知りたかったっていうか、雪子さんと京子のどこが違うの?っていう・・・あの・・・」
「あら・・・?な~に?雪子に会った時に訊いたんじゃなかったの?」
「いえ・・・あの・・・雪子さんに教えて頂いた事は教えて頂いたんですけど・・・その時は、夏樹さんに対しての気遣いの違いだとばかり思っていたんです・・・はい・・・です」
「ふふっ。まあ、そんなところだとは思ってたけどね」
そうだったんだ・・・。これが、雪子さんと京子の違いだったんだ!
愛されたいと望む京子・・・愛してあげたいと願う雪子さん・・・。
愛に包まれたいと望む京子・・・愛で包んであげたいと願う雪子さん・・・。
夏樹さんに愛されたいと望み、夏樹さんに愛されていた京子だったはずなのに・・・
愛されていたはずの愛の姿に、居るはずのない雪子さんの影を追いかけてしまった京子。
だから、いつも愛を探してばかり・・・春も、夏も、秋も、冬も、来る日も、来る日も・・・
あるはずの愛が見えない京子は、夏樹さんに愛されたくて、霞んでいく愛を探し続けていたんだわ。
でも・・・それじゃ、どうして夏樹さんと雪子さんは別れを選んだのかしら?
だって、雪子さんの性格っていうか、愛し方っていうか、どう考えても別れには繫がらないように思うんだけど。
そういえば、夏樹さんが前に、雪子さんとはしょっちゅうケンカをしていたって・・・。
「あの・・・今の私が描いている雪子さんは・・・」
「大人しいあやつ?物静かで優しいあやつ?」
あっ、雪子さんから、あやつに変わっちゃった!
「ええ・・・まあ。でも、確か以前に・・・」
「雪子ってね、季節の中で生きているような子なの」
「季節の中で・・・?」
「そうよ。普通の人は季節を覗いては大丈夫そうかな?って思うと季節に触れるんだけど。雪子の場合はちょっと違っていてね。いつも季節の中にいるの。春の暖かい風の中、夏の暑い日差しの中、秋の模様替えが始まる中、そして透き通るような空気の中の冬も。雪子ってね、いつも季節の中で踊ってるような子なのよ」
「はあ・・・あの・・・なんていうか・・・」
「雪子って可愛いでしょ?だからね、雪子は小さな身体を全部を使って愛してくるの」
「はあ・・・」
「なに、ため息ついてんのよ?」
「だって・・・と、言いますか・・・」
「だから、いつもケンカにもなっちゃうのよ。こんにゃろめ!こんにゃろめ!ってね!」
「とはいっても・・・なかなかに・・・」
「雪子はね、確かに、大人しくて物静かだけど、控えめじゃないのよ。言ったでしょ?あやつは季節の中で踊ってるような子だって!四季ってさ、過ごしやすい日ばかりじゃないでしょ?雨の日も風の日もあるし、台風だって来るし、大粒の雪だって降るし。自然ってさ、優しくて怖くて、それでもやっぱり優しくて・・・。じゃないかしら?」
「いや~、余計にこんがらがってくるといいますか・・・です」
どこか嬉しそうに話す夏樹の言葉の中に、大人しくて物静かな雪子が見え隠れしているみたいで
聞いている直美も、時折、笑みが浮かんでくるから、その片隅に追いやられてしまう京子の姿が
同情してはいけないと分かっていても、どこか不憫に思えてしまう視線が直美には寂しかった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。


白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。



【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる