愛して欲しいと言えたなら

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愛せない感情

愛せない感情・・・その15

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「そこまで理解出来たならもう大丈夫ね」

「へっ・・・?」

「へっ?じゃないわよ。あんた、何しにここまで来たのよ?」

「何しにって言われましても・・・ははっ」

「もしかして、あたしに会いたくて?だったりして」

「いんにゃぁ~・・・。それを言われちゃいますと、ちょっと・・・です。はい。」

「ほんと、あんたって可愛いわね」

夏樹に可愛いと言われると悪い気がしないどころか、なぜか不思議と嬉しくなってしまう直美である。

「ほんとなら、起爆剤でも使えたなら良かったんだけど、もう、それも使えなくなっちゃたし」

「起爆剤って、確か前にも同じような事を聞いた事がありましたけど、どうして、それが使えなくなったんですか?」

「あたしと京子の全ての時間を粉々に砕く事が出来るのは雪子しかいないじゃない?」

「いや~、それって、ちょっと雪子さんが可哀そうな・・・」

「んなもんで雪子はいちいち文句なんて言わないわよ。それに、良いにつけ悪いにつけ雪子の存在しかないでしょ?」

「そうはっきり言われましても、私としては、何とも・・・」

「雪子の存在を京子の起爆剤として使えたのは、あたしと雪子の関係がまだ京子に知られていない、そして、もしかしてという信じたくない思いが、京子の心に芽生え始めていた頃だけなのよ」

「その方が、京子が受けるショックが大きいから・・・」

「そう。でも、雪子の存在が京子に知れてしまった今となっては、起爆剤ではなくてあきらめに変わってしまうでしょうし」

「それじゃ、どうしたら?」

「だから、さっき言ったじゃない?会わないわよって!」

「会わないって、亜晃君や省吾君にですか?」

「そうよ」

「そうよって言われましても・・・あの、それって?」

夏樹の言葉が理解出来ないらしく、なぜ子供たちに会わない事が京子のためになるのか訊き返す直美なのだが、そんな彼女に笑みを浮かべながらコーヒーを口にする。

「京子の事だから、あんたに、あたしに子供たちを会わせてあげて欲しいとでも頼んだんじゃない?」

「えっ?分かるんですか?」

「分かるもなにも、あんた、さっきからそう言ってるじゃないのよ」

「へっ?いえ・・・あの・・・」

「それとも、な~に?あんたの人情論で京子には内緒でとでも言いたいの?」

「そうかもしれませんよ」

「んなわけないでしょ?」

「ひぇ・・・?」

「京子の性格を知ってるあんたが、京子に隠れてそんな事するわけないでしょ?」

「あはは・・・確かに・・・かもです」

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