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愛せない感情
愛せない感情・・・その10
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「分かる?どこまで信じているかって意味が?」
「あっ、はい。何となくですけど・・・」
「裏切られたという感情はね、信じているから生まれて来る感情じゃないの。愛していない感情から生まれて来る産物なのよ」
「愛していない感情・・・?」
「そうよ。愛している感情の中には裏切りも疑念も予想しない結末も存在していないの。裏切られたと思う全ての感情は、愛したい、そして愛されたいという感情の中から生まれて来る感情なの。でもね・・・」
「でも・・・?」
「愛して欲しいと・愛してあげたい・いう感情には何も存在していないの」
「どうしてですか?」
「愛されたいという感情の右のポケットには損得勘定が入ってるの」
「損得勘定・・・それじゃ左のポケットには何が入ってるんですか?」
「別れの片道切符・・・」
「う~ん・・・」
「ふふふっ・・・。あんたには、どの愛も同じような愛に思えてしまうんでしょ?」
「ええ・・・まあ、そんな感じかと・・・・ははは。でも、どこまで信じているのかっていうのは分かる気がします」
「どこまで信じているのか。言い換えれば、どのあたりまで損得勘定を弾いているのかってなるわね」
「信じているのかを損得勘定に変換しちゃうんですか?」
「あははっ・・・。いいのよ!あたしは変態なんだから!きっと、考え方も変態なのよ!」
う~ん・・・愛を信じるに変換して、そんでもって損得勘定に変換って何が何だか分からなくなってしまうんですけど・・・。
でも、ドラマとか映画とか、それにアニメもだけど、見る側の人が感動したり心にジーンときたりするのって、それを見ている人たちが納得出来る状況だから、というよりも、きっとこうなると良いなって思えるような状況になったり結末になったりするからなのよね?
そして、そんな状況や結末が、実際の世の中では滅多にあり得ないからであって、
もし、どこにでも転がっているような結末だったら感動なんてしないはず。
何気ない日常を描いた映画だって、そう。
そんな何気ない日常だって、考えてみれば、そうそうあるような日常じゃないような気がするし。
ましてや、会社が倒産して一家離散とか、相手が浮気していなくなっちゃったとかなんて結末だったら誰も感動なんてしない。
「何となく分かるような分からないような、でも、夏樹さんの言いたい事は何となくですけど分かる気がします」
「そんなに無理して分かろうとしなくてもいいのよ。これは、あたしの考え方ってだけで、人には人それぞれの考え方があって当たり前だし、人それぞれの思い描く愛の姿があって当たり前なんだから」
「そう言われると、余計にこんがらがってしまうような・・・ははは」
「あたしね、思うの。ありそうでないものだから、人はそれに惹かれてしまうんじゃないかなって?」
「あっ、そう言われると分かります。愛って、どこにでもありそうなんだけど、なかなか見つからないし、それに身近にあっても愛は見えないから、とっても儚いっていうか、掴めそうで掴めないっていうか」
「何気ない日常の家族にも見え隠れするし、飼っている猫や犬のようにペットにも、でしょ?」
「あっ、はい。そうです!」
「ふふっ、随分とお話が脱線しちゃったわね」
そう言いながら煙草に火をつける夏樹の姿から少し視線を移してみると
冴子がクマのぬいぐるみと何かお話をしている。
そんな冴子たちの姿に直美は少し笑みを浮かべてみる。
「あの・・・冴ちゃんはいつもあのクマさんのぬいぐるみさんと遊んでいるんですか?」
「ふふっ、遊んでいるというよりは、同じ時間を一緒に過ごしているって感じかしら」
「えっ?それじゃ冴ちゃんは夏樹さんと一緒に暮らしているんですか?」
「今は違うけど、近いうちに一緒に暮らそうと思ってるわ」
「一緒にって、あの・・・それじゃ冴ちゃんのご両親も一緒に?」
「冴ちゃんのご両親はどちらも早くに亡くなってしまったの。今はおばあちゃんと一緒に暮らしてるのよ」
冴ちゃんのご両親がどっちもって・・・それじゃ冴ちゃんは・・・。
「あっ、はい。何となくですけど・・・」
「裏切られたという感情はね、信じているから生まれて来る感情じゃないの。愛していない感情から生まれて来る産物なのよ」
「愛していない感情・・・?」
「そうよ。愛している感情の中には裏切りも疑念も予想しない結末も存在していないの。裏切られたと思う全ての感情は、愛したい、そして愛されたいという感情の中から生まれて来る感情なの。でもね・・・」
「でも・・・?」
「愛して欲しいと・愛してあげたい・いう感情には何も存在していないの」
「どうしてですか?」
「愛されたいという感情の右のポケットには損得勘定が入ってるの」
「損得勘定・・・それじゃ左のポケットには何が入ってるんですか?」
「別れの片道切符・・・」
「う~ん・・・」
「ふふふっ・・・。あんたには、どの愛も同じような愛に思えてしまうんでしょ?」
「ええ・・・まあ、そんな感じかと・・・・ははは。でも、どこまで信じているのかっていうのは分かる気がします」
「どこまで信じているのか。言い換えれば、どのあたりまで損得勘定を弾いているのかってなるわね」
「信じているのかを損得勘定に変換しちゃうんですか?」
「あははっ・・・。いいのよ!あたしは変態なんだから!きっと、考え方も変態なのよ!」
う~ん・・・愛を信じるに変換して、そんでもって損得勘定に変換って何が何だか分からなくなってしまうんですけど・・・。
でも、ドラマとか映画とか、それにアニメもだけど、見る側の人が感動したり心にジーンときたりするのって、それを見ている人たちが納得出来る状況だから、というよりも、きっとこうなると良いなって思えるような状況になったり結末になったりするからなのよね?
そして、そんな状況や結末が、実際の世の中では滅多にあり得ないからであって、
もし、どこにでも転がっているような結末だったら感動なんてしないはず。
何気ない日常を描いた映画だって、そう。
そんな何気ない日常だって、考えてみれば、そうそうあるような日常じゃないような気がするし。
ましてや、会社が倒産して一家離散とか、相手が浮気していなくなっちゃったとかなんて結末だったら誰も感動なんてしない。
「何となく分かるような分からないような、でも、夏樹さんの言いたい事は何となくですけど分かる気がします」
「そんなに無理して分かろうとしなくてもいいのよ。これは、あたしの考え方ってだけで、人には人それぞれの考え方があって当たり前だし、人それぞれの思い描く愛の姿があって当たり前なんだから」
「そう言われると、余計にこんがらがってしまうような・・・ははは」
「あたしね、思うの。ありそうでないものだから、人はそれに惹かれてしまうんじゃないかなって?」
「あっ、そう言われると分かります。愛って、どこにでもありそうなんだけど、なかなか見つからないし、それに身近にあっても愛は見えないから、とっても儚いっていうか、掴めそうで掴めないっていうか」
「何気ない日常の家族にも見え隠れするし、飼っている猫や犬のようにペットにも、でしょ?」
「あっ、はい。そうです!」
「ふふっ、随分とお話が脱線しちゃったわね」
そう言いながら煙草に火をつける夏樹の姿から少し視線を移してみると
冴子がクマのぬいぐるみと何かお話をしている。
そんな冴子たちの姿に直美は少し笑みを浮かべてみる。
「あの・・・冴ちゃんはいつもあのクマさんのぬいぐるみさんと遊んでいるんですか?」
「ふふっ、遊んでいるというよりは、同じ時間を一緒に過ごしているって感じかしら」
「えっ?それじゃ冴ちゃんは夏樹さんと一緒に暮らしているんですか?」
「今は違うけど、近いうちに一緒に暮らそうと思ってるわ」
「一緒にって、あの・・・それじゃ冴ちゃんのご両親も一緒に?」
「冴ちゃんのご両親はどちらも早くに亡くなってしまったの。今はおばあちゃんと一緒に暮らしてるのよ」
冴ちゃんのご両親がどっちもって・・・それじゃ冴ちゃんは・・・。
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