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愛せない感情
愛せない感情・・・その2
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それに、ちょっと、変じゃない?
それって、京子は結婚してからも、ちゃんと実家付き合いや親せき付き合いをしてたって事よね?
悪く言われる、悪く言われないは別としてさ。
でも、確か夏樹さんは自分のご両親やご兄弟とは疎遠っていうか絶縁状態っていうか・・・でしょ?
なんかそれって、親や親戚たちに反対されても、結婚を強行していながら、
京子だけは、ちゃんと逃げ道を作っておいて、
夏樹さんだけが、逃げ道も、頼れる帰り道も失っていたって状況になるわよね?
それにさ、夏樹さんが挨拶も出来ないみたいな事を言われるのが嫌だっていうのってさ、
それって、夏樹さんがじゃなくて、京子が・・・じゃないの?
結局は、挨拶もろくに出来ないような男と一緒になった京子の悪口を言われるのを
京子自身が嫌がってっていう事なんじゃないの?
そういえば夏樹さんが言ってたわよね?
離婚が現実味を帯びてきたら、それからの京子の動きが早かったって。
実家も親戚も周りみんなをあっという間に自分の味方に付けちゃって、悪者は夏樹さんただ一人!
そんな状況を京子が作り上げて、用意周到に離婚届を夏樹さんの前に差し出したってわけなの?
「直美・・・軽蔑したでしょ?」
「えっ・・・?」
「私の事、卑怯な女だって思ったでしょ?」
波が引くように静かな声で呟くように伝えてきた京子の言葉に直美はちょっと驚いた。
「そんな事はないけど・・・」
「いいわよ、無理しなくても」
「でも、どうしたの?急にそんな事を言うなんて?」
「あの人と、何度か話をした直美には分かるでしょ?」
「どうして、そう思うの?」
「あの人は、そういう人だから・・・」
「そういう人って言われても・・・」
「なぜかしらね?あの人と会話を交わしていると、自分でも気がつかないうちに分かるようになってしまうのよね? 自分の周りの今っていうか、人の感情っていうか、不思議なんだけどね。以前の私がそうだったように、きっと、今の直美には、そういう風に感じられているじゃないかなって?ちょっと思ったの」
「そう言われましても・・・あのですね」
「周りの反対を押し切って結婚しておきながら、私だけはいつでも帰れるようにちゃんと布石を打っていたみたいよね」
「でも、それは・・・」
「誰でもやってるって言いたいんでしょ?」
「うん・・・まあ・・・」
「そうね、どんなに格好良いような事を言ってても、普通は、みんなそうよね・・・。」
「だと思うわよ」
「でも、あの人は違った・・・」
「う~ん・・・まあ、今となってみれば、そういう事になるのかな?」
「そう、今となってみれば・・・離婚したばかりの時は、私の方がずっと良い立ち位置に居たはずなのに、実家の親や兄弟にも周りにいる親戚たちにも、そしてあの人と知り合いだった人たちにも私はみんなに同情されまくっちゃってさ・・・。本当に悲しかったなら、きっと誰にも何も言わないで自分一人、貝のようになって毎日泣いていたはずなのに・・・でも、私は違ったみたい」
「良い立ち位置とかって・・・」
「いいのよ、本当の事なんだから」
「でも・・・」
「若い頃は天才だの麒麟児だのって言われたくせに、独立したら事業に失敗はするわ!借金まみれになるわ!挙句の果てには私のカードに手を出すわ!ついでに家まで抵当に入れちゃってるわ!まったく見掛け倒しもいいところだわ!こんなにも情けない男だったとは思ってもみなかったわ」
「いや・・・あの・・・」
「私は離婚した後、みんなの同情と協力を手に入れて、でも、あの人は信用も何もかも全部失って、誰一人頼る人もいなくなってしまって」
「まあ~、それは、なんとも・・・」
「そして・・・今の、あの人・・・」
「えっ・・・?」
「また、あの人の周りには人が集まり始めている・・・」
「まあ・・・確かに・・・」
「この先、きっと亜晃や省吾も、そして、直美までも・・・」
「でも、それは・・・あの・・・」
「どこで間違えたのかな?あの人と私・・・ねぇ?直美は、どう思う?」
それって、京子は結婚してからも、ちゃんと実家付き合いや親せき付き合いをしてたって事よね?
悪く言われる、悪く言われないは別としてさ。
でも、確か夏樹さんは自分のご両親やご兄弟とは疎遠っていうか絶縁状態っていうか・・・でしょ?
なんかそれって、親や親戚たちに反対されても、結婚を強行していながら、
京子だけは、ちゃんと逃げ道を作っておいて、
夏樹さんだけが、逃げ道も、頼れる帰り道も失っていたって状況になるわよね?
それにさ、夏樹さんが挨拶も出来ないみたいな事を言われるのが嫌だっていうのってさ、
それって、夏樹さんがじゃなくて、京子が・・・じゃないの?
結局は、挨拶もろくに出来ないような男と一緒になった京子の悪口を言われるのを
京子自身が嫌がってっていう事なんじゃないの?
そういえば夏樹さんが言ってたわよね?
離婚が現実味を帯びてきたら、それからの京子の動きが早かったって。
実家も親戚も周りみんなをあっという間に自分の味方に付けちゃって、悪者は夏樹さんただ一人!
そんな状況を京子が作り上げて、用意周到に離婚届を夏樹さんの前に差し出したってわけなの?
「直美・・・軽蔑したでしょ?」
「えっ・・・?」
「私の事、卑怯な女だって思ったでしょ?」
波が引くように静かな声で呟くように伝えてきた京子の言葉に直美はちょっと驚いた。
「そんな事はないけど・・・」
「いいわよ、無理しなくても」
「でも、どうしたの?急にそんな事を言うなんて?」
「あの人と、何度か話をした直美には分かるでしょ?」
「どうして、そう思うの?」
「あの人は、そういう人だから・・・」
「そういう人って言われても・・・」
「なぜかしらね?あの人と会話を交わしていると、自分でも気がつかないうちに分かるようになってしまうのよね? 自分の周りの今っていうか、人の感情っていうか、不思議なんだけどね。以前の私がそうだったように、きっと、今の直美には、そういう風に感じられているじゃないかなって?ちょっと思ったの」
「そう言われましても・・・あのですね」
「周りの反対を押し切って結婚しておきながら、私だけはいつでも帰れるようにちゃんと布石を打っていたみたいよね」
「でも、それは・・・」
「誰でもやってるって言いたいんでしょ?」
「うん・・・まあ・・・」
「そうね、どんなに格好良いような事を言ってても、普通は、みんなそうよね・・・。」
「だと思うわよ」
「でも、あの人は違った・・・」
「う~ん・・・まあ、今となってみれば、そういう事になるのかな?」
「そう、今となってみれば・・・離婚したばかりの時は、私の方がずっと良い立ち位置に居たはずなのに、実家の親や兄弟にも周りにいる親戚たちにも、そしてあの人と知り合いだった人たちにも私はみんなに同情されまくっちゃってさ・・・。本当に悲しかったなら、きっと誰にも何も言わないで自分一人、貝のようになって毎日泣いていたはずなのに・・・でも、私は違ったみたい」
「良い立ち位置とかって・・・」
「いいのよ、本当の事なんだから」
「でも・・・」
「若い頃は天才だの麒麟児だのって言われたくせに、独立したら事業に失敗はするわ!借金まみれになるわ!挙句の果てには私のカードに手を出すわ!ついでに家まで抵当に入れちゃってるわ!まったく見掛け倒しもいいところだわ!こんなにも情けない男だったとは思ってもみなかったわ」
「いや・・・あの・・・」
「私は離婚した後、みんなの同情と協力を手に入れて、でも、あの人は信用も何もかも全部失って、誰一人頼る人もいなくなってしまって」
「まあ~、それは、なんとも・・・」
「そして・・・今の、あの人・・・」
「えっ・・・?」
「また、あの人の周りには人が集まり始めている・・・」
「まあ・・・確かに・・・」
「この先、きっと亜晃や省吾も、そして、直美までも・・・」
「でも、それは・・・あの・・・」
「どこで間違えたのかな?あの人と私・・・ねぇ?直美は、どう思う?」
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